一日の寒暖差が大きくなる時期、雪の状況をしっかりと見極めて行動を 島崎三歩の「山岳通信」 第383号

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長野県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。第383号では、3月に入り気温が上昇してきていることから、雪山を楽しむ際には雪の状況をしっかりと見極めて行動する必要性を説明している。


3月5日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第383号では、期間中に起きた2件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 2月25日(火)、北アルプスの鵯峰(ひよどりみね)で、バックカントリー滑走のために3人パーティで入山した37歳の女性が、滑走中に転倒して負傷した。

  • 3月1日(土)、浅間連峰の車坂山で、単独で入山した59歳の男性が、黒斑山に向けて登山中に発病のために体調を崩して行動不能となった。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

先週、長野県内では、2件の山岳遭難が発生しました。

先週は気温が上昇し、暖かい陽気となった日もありました。これからは一日の寒暖差が大きくなる時期です。標高の高い山域でも気温の上昇により、雪が融け、気温の低下とともに一気に凍結してアイスバーン状になることが少なくありません。

歩行中や滑走中は、雪の状況をしっかりと見極めて行動する必要があります。また、アイスバーン状の雪面に新雪が積もると表層雪崩の発生リスクが高まります。

冬山登山やバックカントリー滑走は、積雪の状況を見極めて、雪崩のリスクや滑落の危険がある場合には、自分の技術を過信せず、慎重な行動を心がけましょう。状況が悪い時は、入山を控える判断もとても大切なことです。また、アクシデントにより救助要請をしても、時間帯や天候によってはすぐに救助ができない場合がありますので、日帰りで入山する際も、「万が一に備えた装備」(ビバーク装備など)を必ず携行しましょう。

※ビバーク装備とは? ツエルト(簡易テント)、ガスバーナー(火器類)、防寒着、非常食などです。

※積雪が多い場合は、雪洞やイグルーを作成することができます。スコップの携行や雪洞などを作成する技術は、身に着けておくと冬山登山では、大変有効です。

 

焼岳、噴火警戒レベル「2」に引き上げ

気象庁は、北アルプス焼岳で、山頂付近を震源とする微小な火山性地震が増加したことから、3月4日(火)9時20分に「噴火警戒レベル2(火口周辺規制)」に引き上げました。

<火山活動の状況>
焼岳では、3月3日の14時頃から山頂付近を震源とする微小な火山性地震が増加しています。GNSS連続観測では、山頂付近で緩やかな膨張を示すと考えられる変化が続いており、中長期的に火山活動が高まってきています。想定火口域からおおむね1kmの範囲に影響を及ぼす噴火が発生する可能性があります。

<防災上の警戒事項など>
想定火口域からおおむね1kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石に警戒してください。地元自治体などの指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。噴火時には、風下側では火山灰だけでなく小さな噴石が風に流されて降るため注意してください。

■御嶽山も 噴火警戒レベル「2」が続いています

御嶽山は、1月16日(木)「火口周辺警報」が発表され、噴火警戒レベルが「2」(火口周辺規制)に引き上げられ、継続中です。

地元町村等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。噴火時には、風下側では火山灰だけでなく小さな噴石が風に流されて降るおそれがあるため注意してください。

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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