登山のカメラはミラーレス一眼が主流に。購入予算は20〜30万円|登山のカメラに関するアンケート結果①
山と溪谷オンラインでは、カメラ・写真撮影に関するアンケート調査「登山ではどんなカメラを使っていますか?」を実施しました。回答いただいた253人のカメラの使用状況を分析したところ、「スマートフォン」が約3割に対して、ミラーレス一眼やコンデジといった「カメラ」が7割で、登山者の中ではカメラユーザーが圧倒的に多く、なかでもミラーレス一眼が主流になっていることがわかりました。
構成・文=山と溪谷オンライン、写真=PIXTA
基本データ
募集期間:2024年12月13日~2025年1月5日(オンラインアンケート)
総回答数:253
性別:男性215、女性36、回答しない2
登山歴
登山頻度
登山で使うカメラはミラーレス一眼が主流。スマホも併用
現在カメラの主流となっているデジタルカメラだが、近年スマートフォンの普及に伴ってユーザーが減少している。内閣府による2024年3月末時点での消費動向調査では、世帯あたりのスマホ普及率が93.8%なのに対し、デジカメ普及率は48.6%となった。その一方で、ミラーレス一眼の出荷台数が伸びており、趣味として写真撮影を楽しむ人が増えていることがうかがえる。今回のアンケートでも「現在、主にどのようなカメラを使用していますか?」(複数回答可)の設問では、スマホ、ミラーレス一眼ともに回答数は134と同数となっており、登山者のなかでもミラーレス一眼人気が目立つ結果となった。
現在、主にどのようなカメラを使用していますか?(複数回答可)
携行性に優れ、かつてはデジカメの主流だったコンパクトデジタルカメラ(コンデジ)は86にとどまったほか、デジタル一眼レフカメラも78となっており、ミラーレス一眼が一眼レフにとって代わって主流となっていることがわかった。それでも、コンデジ支持者も少なくなく、愛用者からは「高倍率コンパクトカメラの新製品が出てこない」(60代男性)、「そろそろ買い替えだが、コンデジが絶滅危惧種で選択肢がない」(50代男性)といったコメントがあった。
各カメラメーカーはミラーレス一眼の開発にあたってマウントを変更してレンズをミラーレス専用設計とした。従来の一眼レフのレンズはアダプターなどを介さない限り使用できず、これまで一眼レフを愛用してきたユーザーの買い換えのハードルになる懸念もあった。しかし、今回のアンケートでは、こと登山者においてはカメラ本体が軽く小型で画質もよいミラーレス一眼が山で使用するカメラの主流となっている状況がうかがえる。
カメラを選ぶ際は「重量」と「画質」を重視
「カメラを選ぶ際に重視するポイントはなんですか?」(複数回答可)の質問で、最も多かった回答がやはり「重量」で157。カメラを持って山に登る人なら誰でも痛感している「登山装備+数キロ」の苦しさが、軽いカメラを選ばせているのだろう。続いて2位が「画質」で147、3位が「防水性・防滴性」で116となっている。カメラの最重要ポイントである画質に加えて、登山の負担にならない携行のしやすさや、厳しい気象条件下での耐久性などを重視する登山者ならではのカメラ選びのポイントが上位に上がった。カメラに関する悩みのフリーコメントでは「フルサイズ機を使いたいけど重さで躊躇している」(30代男性)、「軽くて性能のいいカメラが欲しい」(50代女性)、「土砂降り時にも使えるミラーレス機がないこと。防水コンデジやアクションカメラより、もう少ししっかりとした写真の撮れる雨に強いカメラが欲しい」(40代男性)といったコメントが寄せられた。
カメラを選ぶ際に重視するポイントはなんですか?(複数回答可)
メーカーはニコンが最多、機種ではOMシステムのマイクロフォーサーズ機が1位に
では、実際にどのようなカメラを使用しているのだろうか。使用しているカメラのメーカーと機種(2台目まで)を聞いたところ、メーカーではニコンが101と最多で、キヤノン76、OMシステム(オリンパス)61と続く結果となった。ファンが多いソニー(55)や富士フイルム(23)がそれに続いた。
現在メインで使用しているカメラのメーカー
機種別で見ると、主流のミラーレス一眼のほか一眼レフ、コンデジとさまざまな機種が使われていることがわかった。メーカーでは3位のOMシステムのミラーレス一眼「OM-5」が9で最多に。小型軽量と高性能を両立したマイクロフォーサーズシステムが登山者にも支持されているようだ。
続く2位は同数でニコンの2機種となっており、高機能で防塵防滴仕様のAPS-Cサイズの一眼レフ上級機種「D7500」、フルサイズのミラーレス一眼「Z5」がともに8となった。ニコンについてはデジタル一眼レフとミラーレス一眼が拮抗している。4位はリコーのコンデジと富士フイルムのミラーレス一眼が同数6という結果に。リコーの「GR Ⅲ」は高画質にこだわったコンデジで、18.3mm F2.8という単焦点レンズの描写などに定評がある。富士フイルムのミラーレス一眼「X-T5」は軽く小さなボディとメカニカルな雰囲気の外観に加えて、フィルムメーカーならではのカラーモードなどを搭載した人気機種だ。
使用しているカメラの機種
82%がスマートフォンのカメラを使用
スマートフォンに搭載されたカメラの使用状況についても聞いてみた。最多は「サブカメラとして利用している」の57%で、ほかになんらかのカメラを使用しつつ、スマホのカメラも併用するという使い方が主流になっているようだ。2位の「ほとんど利用していない」が25%なので、実に82%がスマホ以外のカメラをメインで使用していることがわかった。
スマートフォンに搭載されたカメラは撮影画像の自動補正機能や複数のレンズを搭載するなど自動化・高性能化が進んでいるが、意図通りの作品撮影を可能とするカメラのユーザーの多さを裏付ける結果となった。
スマートフォンカメラの利用状況
カメラの予算は20〜30万円。実機に触れてから購入
カメラ購入時の予算についての設問では、「20〜30万円」が51で1位。APS-Cサイズのミラーレス一眼とレンズを購入できる予算規模が最多となった。2位は15〜20万円の50、3位が10〜15万円の42で、入門機や中級機を中心にAPS-Cサイズのミラーレス一眼本体とレンズが検討できる予算規模となっている。
カメラを購入する際、予算はいくらまでですか
購入は「予算」が最大の課題。買うなら実機を確認してから
「カメラを購入する際、最もハードルに感じるのはどんな点ですか」という設問では、「予算」が94で最多となっている。購入後の登山をイメージした「重さやサイズが気になる」が2位の74だった。
購入場所はカメラ専門店の実店舗が115で最多。次いで家電量販店の実店舗が99。3〜5位はインターネット通販・オンラインショップが占めているが、事前に実店舗やショールームで製品を確認してからネットで購入するケースも含まれると考えられるため、やはりカメラは「触れて選ぶ」という登山用具と共通した購買パターンが主流とみられる。
これに関連して、体験会についての設問では「参加したい」が38%、「興味はあるがわからない」が39%でほぼ同率で、「興味を持っている人」を合計すると77%に達した。カメラメーカーなどが企画する体験会はフィールドでの使い勝手を実際に確認できることもあって人気が高い。
カメラを購入する際、最もハードルに感じるのはどんな点ですか?
カメラを購入する際、主にどこで購入しますか?(複数回答可)
カメラを購入する際、タッチ&トライなどの体験会があれば参加したいですか?
予算の課題をクリアするため中古も視野に
「中古でカメラを購入することに抵抗はありますか?」という設問に対し、90人が「特に抵抗はない」と回答。「価格が安ければ購入を考える」の62人を合わせて、中古も許容する回答数は152だった。対して、「品質や状態に不安があるので抵抗がある」と63人が回答したほか、どんな理由があっても購入しない」の21人を加えて84人が中古に否定的な回答。15人から「保証やアフターサービスがないと不安なので抵抗がある」との回答もあった。こうした声に対応して、最近は販売店が中古カメラに保証をつけることが増えている。
中古でカメラを購入することに抵抗はありますか?
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