長野の山では天候が崩れれば一瞬で真冬に戻ります。適切な装備品の選定を 島崎三歩の「山岳通信」 第385号

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長野県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。第385号では、3月16日に八ヶ岳赤岳で起きた遭難について言及。春山気分で登山をするのではなく、状況や天候を必ず確認して適切な装備を用意することを促している。


3月19日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第385号では、期間中に起きた2件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 3月10日(月)、北アルプスの八方尾根で、バックカントリー滑走のために2人パーティで入山した42歳の男性が、八方尾根を滑走中に滝壺に転落して行動不能となった。

  • 3月16日(日)、八ヶ岳連峰の赤岳で、2人パーティで入山した58歳の男性2人が、日帰りの予定で赤岳に登頂した後に、積雪とホワイトアウトにより道に迷い、行動不能となった。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

先週、長野県内では、2件の山岳遭難が発生しました。3月になり、死亡遭難が相次いで発生しています(3件3名)。

都市部では暖かい日が続き、梅の開花など、日に日に春を感じるようになりましたが、長野県内の標高が高い山域では、天候が崩れれば、一瞬で真冬に戻ります(3月16日の赤岳の遭難現場では、約50cm/腰高の積雪があり、ラッセルに苦労しました)

○雪の斜面は、ガチガチのアイスバーンになります。

  • チェーンスパイクでは、登ることも、下りることもできません。
  • 転倒や滑落したら止まりません。ピッケルお持ちですか? 滑落停止できますか?
  • 滑落する危険性があるのにヘルメットを被らないなんて・・・。 頭部負傷は致命傷です。

○吹雪となり、ホワイトアウトになります 
 (例:気温−10度+風速10m=体感気温−20度)

  • 防寒装備を持っていますか? 
  • 麓は暖かいのに、こんなに寒くなるとは思いませんでした。
  • ツエルトやガスバーナーは持っていますか?
  • 救助を待つために、ビバーク装備が必要です。
  • 今どこにいるか分かりません 
  • 登山アプリや地図を使えるようにしましょう。 

この時期は春山気分で登山をすると、致命的な遭難に至る場合があります。今一度、事前にルート状況や天候を必ず確認し、持って行くべき装備品を選定しましょう。

 

春休みミニ講座「県内の活火山を知ろう~焼岳も活火山」を開催

長野県内では現在、浅間山、御嶽山、焼岳の3つの火山が噴火警戒レベル2となっています。御嶽山火山マイスターネットワークでは、春休み企画として、最近活動が活発になっている「焼岳」の話題を中心に、県内の火山の活動や防災について学ぶミニ講座を開催します。子供から大人まで、幅広くご参加いただけます。

日時: 3月29日(土)、3月30日(日) 10時〜15時 
場所: 木曽町御嶽山ビジターセンター さとテラス三岳(木曽郡木曽町三岳10491-12 道の駅「三岳」の隣) 
内容: 
 ①火山に関するミニトーク(30分程度)10時~、11時~、13時~、14時~ 
 ②噴火メカニズムの実験、火山灰の椀掛け実習などは随時行なえます 
 ③火山岩や火山灰の展示観察 
 ※事前申込は不要 入館・ミニトークや展示観察は無料(実験や実習を希望される方は材料費として1名300円)  
問合せ先: 木曽町御嶽山ビジターセンターさとテラス三岳   TEL:0264-24-0197(池井・竹脇)

 

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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