播磨の絶景低山ハイキング。加古川と淡路島を一望できる平荘湖アルプスへ

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兵庫県の北東部付近から瀬戸内海へと流れ下る長大なる一級河川、加古川(かこがわ)。その下流域の右岸に、平荘湖(へいそうこ)というダム湖があります。これを囲むように小さな山々が連なっていて、近年「平荘湖アルプス」という呼び名が定着しつつあります。

文・写真=根岸真理、トップ写真=平荘湖アルプス・升田山の「八十の岩橋」

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平荘湖アルプスの最高峰・飯盛山へ

升田山からは、西側へ下るルートもありますが、ここではまっすぐ平荘湖方面へ。岩場を少し下っていき、いったん樹林の中に入って、石切り場の縁に出ます。古墳時代から、このエリアで産する溶結凝灰岩「竜山石」は、石棺の材料などとして各地へ運ばれたという記録があります。

〉ルートは石切り場の上を通過するので滑落に注意
ルートは石切り場の上を通過するので滑落に注意

石切り場の上を通過し、さらに北へ。植生があるので気づきにくいですが、左側も切れ落ちた崖が続くので、くれぐれも油断しないように歩いてください。忠実に踏み跡をたどって、岩場を過ぎて平坦地を右へ。先ほど上を通った石切り場を右手に見ながら、湖畔へ続く踏み跡を進みます。

湖畔の遊歩道に出たら右方向へ、平荘ダムの堰堤上を歩きます。ダムの反対側から、右手へ入るかすかな踏み跡をたどり、二座目の嶽山へ。季節によってはヤブが茂って、踏み跡がわかりにくいかもしれません。

〉嶽山の山頂には小さな祠がある
嶽山の山頂には小さな祠がある

嶽山は標高96mですが、意外とアップダウンがあり歩きごたえがあります。先を急ぐ場合はこの山はスキップして湖畔道をそのまま進んでもよいでしょう。次の飯盛山への登山道はいくつかありますが、湖に浮かぶ小島の向かい側から登るルートが一番わかりやすく、近年よく歩かれているようです。

〉飯盛山山頂
飯盛山山頂

飯盛山からは、さらに西へ進んで洞貝山(ほらがいやま)をめざしてもよし、相ノ山(あいのやま)経由で湖畔に戻ってもよし。ただし、平荘湖の北側にキャンプ施設があり、飯盛山~洞貝山間、相ノ山の西側など、キャンプ施設へつながる道は立ち入り禁止になっているので、注意してください。分岐に看板が設置されているので、確認しながら歩きましょう。

平荘湖の西側エリアにも、神吉山(かんきやま)、行者山(ぎょうじゃやま)、小山、黒岩山(くろいわやま)、鍋山(なべやま)などの山々があります。嶽山から湖畔を歩いて湖上の一ツ山(ひとつやま)から相ノ山へ登るルートで12座を巡ると、歩いた軌跡がペリカン型になるということで、ひと筆書きに挑戦するのも人気です。

下山後は以前は加古川ウェルネスパークからバス便がありましたが、現在は廃止になっています。近隣にバス停がいくつかありますが、いずれも本数が非常に少ないため、最寄り駅まで歩くのがよいかもしれません。黒岩山登山口付近からJR加古川駅、あるいは宝殿駅へは徒歩約1時間。日岡駅へ戻る手もありますが、加古川線は本数が少ないのであらかじめダイヤの確認を。

MAP&DATA

平荘湖アルプス
ヤマタイムで付近の地図を見る
コースタイム: 約5時間
行程:日岡駅・・・升田山登山口・・・升田山・・・嶽山・・・飯盛山・・・黒岩山登山口・・・加古川駅
総歩行距離:約13,900m
備考:地図内青線はサブコース
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プロフィール

根岸真理(ねぎし・まり)

六甲山西端の神戸市須磨区生まれ。現在は六甲山東端の宝塚市在住。アウトドア系を得意とするフリーライター。親に連れられ、歩き始めると同時に須磨の山に登っていたため六甲登山歴60年。アルパイン歴は約30年。 神戸新聞「青空主義」欄で月に1回六甲山の情報(六甲山大学)を発信中。主な著書に『六甲山を歩こう!』『六甲山シーズンガイド春夏』『六甲山シーズンガイド秋冬』など。兵庫県立六甲山ガイドハウスで「山の案内人」ボランティア活動中。

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