南アルプス南部調査人、四国遍路を歩く⑬結願のその先へ

第八十八番大窪寺から第一番霊山寺へ（満願）

巡礼のループを閉じさせる（満願する）ために、結願後、第一番霊山寺にお参りしている多くの遍路も多いことと思う。ただし霊山寺は徳島県の霊場として東端にあり、そこまでの距離も遠く途中で宿泊が必要なことから、第十番切幡寺（きりはたじ）、第九番法輪寺（ほうりんじ）で満願とする遍路も多いという（なお切幡寺まで歩く場合、切幡寺周辺にはバスも走っていないので、結局阿波川島駅まで歩く必要がある点、頭の片隅に入れておこう）。

霊山寺へは、まずは大窪寺付近の宿を出発して東進する。大窪寺と竹屋敷からの道は地蔵堂で合流し、五名（ごみょう）トンネル入口に向かう。三叉路を右に行き、すぐに切幡寺への道と分かれ、やや不明瞭な田んぼの中の道から、荒れた山道の五名峠を越えて大きなイチョウの木のある境目（さかいめ）に出る。中尾峠は下り一方のショートカットの遍路道だが、以降は一般道をひたすら東に向かって歩く。

なお途中の白鳥温泉は廃業、またコンビニなどもないので、昼食は事前に用意する必要がある。引田（ひけた）駅で海岸に出てその日の行程は終わるが、引田は遍路道では香川県の最後の町で付近に宿は一軒しかない。引田の宿が予約できない場合は、途中で北上し、三本松、讃岐白鳥（さぬきしろとり）周辺の宿に泊まる。

瀬戸内海側最後の集落・坂元東から南下し、大坂峠へ登る。大坂峠は雰囲気があり、源義経も通ったといわれている旧道だ。峠の先で一般道を横断してからは、猛烈な急な下りの階段なので注意。阿波大宮駅を通り、金泉寺の門前を過ぎて（満願する寺に向かう途中の霊場参拝は不要といわれている）、霊山寺に到着する。金泉寺からは逆打ちになるため、文字通り真っ白な白衣を着た遍路とすれ違うこともあり、遍路発心時の自分に重ね合わせられ感慨深いものがある。

もう１ルート、大坂峠先の一般道から東進すると、卯辰（うだつ）越えの分岐になる。卯辰越えはアップダウンがあるが霊山寺への距離が短く、また直接霊山寺に入ることができる。

MAP＆DATA

高低図

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最適日数：1泊2日

コースタイム： 10時間25分

行程：【1日目】
第八十八番大窪寺・・・地蔵堂・・・五名遍路道・・・中尾峠・・・白鳥温泉跡・・・石清水八幡神社・・・福栄・・・引田駅入口・・・引田駅

【2日目】
引田駅・・・坂元東・・・大坂峠入口・・・香川県・徳島県県境・・・阿波大宮駅南三差路・・・第三番金泉寺・・・第二番極楽寺・・・第一番霊山寺

総歩行距離：約39,776m

累積標高差：上り 約719m　下り 約1145m

コース定数：39