山菜採りシーズン到来、里山こそ入山前の準備が必須。 島崎三歩の「山岳通信」 第113号

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2018年6月6日に配信された第113号では、5件の遭難事例を紹介。山菜採りシーズンを迎えて、里山での遭難救助の難しさを説明している。

 

6月6日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第113号では、5月21日~27日に起きた5件の山岳遭難事例について説明している。以下に抜粋・掲載する。

  • 5月21日、北アルプス槍ヶ岳で、35歳の男性が槍ヶ岳から上高地に向けて下山中に発病し、体調不良により歩行困難・行動不能となる山岳遭難が発生。県警ヘリで救助された。

  • 5月26日、北アルプス奥穂高岳で、43歳の女性が奥穂高岳から涸沢に向けて下山中、奥穂高岳小豆沢付近で残雪に足を滑らせ滑落・負傷する山岳遭難が発生。県警ヘリにより救助され、病院に収容された。

  • 5月27日、北アルプス常念岳で、62歳の男性が常念岳から一ノ沢登山口に向けて下山中、「胸突八丁」付近で残雪に足を滑らせ滑落・負傷する山岳遭難が発生。県警ヘリにより救助され、病院に収容された。

  • 5月27日、下高井郡木島平村カヤの平高原で、山菜採り(ネマガリタケ・竹の子採り)のため入山していた3名(54歳、13歳、10歳、それぞれ男性)が、道に迷い行動不能となる山岳遭難が発生。県警および志賀高原地区遭対協が出動して、3名を発見・救助した。

  • 5月27日、北安曇郡小谷村で、70歳の男性と65歳の女性が、戸倉山へ向けて登山中に道に迷い行動不能となる山岳遭難が発生。県警ヘリで救助された。

小谷村・戸倉山付近の遭難現場の様子(長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)6月1日付)

 

山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

標高の低い、いわゆる里山での登山・山菜採りによる道迷い遭難が多発しています。里山での遭難は、樹林が濃く、視界が効かないため地上及びヘリコプターでの救助・捜索が困難で、発見の遅れや、発見に至らないケースもあります。
入山する山の情報を事前に入手するとともに、地図とコンパスは必ず携行し、現在地を確認しながら行動するように努めてください。また、里山であっても、万が一のために備えて、登山計画書を作成、提出し、家族や同僚にも渡しておくとともに、携帯電話を携帯し、複数人で行動するようにしてください。

 

信州 山のグレーディング、NHK「視点・論点」で解説

2018年6月6日にNHK「視点・論点」(Eテレ13:50~14:00)の放送で、静岡大学の村越真教授による「アウトドアを安全に楽しむには」が放送されました。

山岳遭難の現状・分析、遭難リスクのハザード要因、リスク特定能力についてわかりやすく解説されています。また、ハザード要因の回避のために「信州 山のグレーディング」を取上げています。

信州 山のグレーディングの詳しい見方と、登山者のためになる情報が掲載されていますので、ぜひ御覧ください。

⇒NHK「視点・論点」アウトドアを安全に楽しむには

 

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

⇒バックナンバーはコチラ!

島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

編集部おすすめ記事