標高の高い山域では残雪あり。滑落、道迷いのリスクを認識して準備を 島崎三歩の「山岳通信」 第396号

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長野県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。第396号では、残雪が原因の遭難が多いことについて言及。情報確認の徹底とともに、残雪対策の実施と緊急時への備えを呼びかけている。


5月28日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第396号では、期間中に起きた6件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 5月19日 (月)、北アルプスの焼岳で、2人パーティで入山した56歳の男性が、下山中に転倒して負傷した。

  • 5月19日(月)、雨飾山で、単独で入山した52歳の男性が入山後に行方不明となっている。

  • 5月20日(火)、北アルプスの槍ヶ岳で、2人パーティで入山した51歳の男性が、下山中に滑落して負傷した。

  • 5月23日(金)、北アルプス蝶ヶ岳で、単独で入山した57歳の女性が、蝶ヶ岳に向けて登山中に滑落して負傷した。

  • 5月24日(土)、八ヶ岳連峰の硫黄岳で、3人パーティで入山した59歳の男性が、赤岳から硫黄岳に縦走中に転倒、負傷した。

  • 5月25日(日)、志賀高原で、山菜採りのため3人パーティで入山た77歳の男性が、2人からはぐれてしまい、行方不明となった。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

先週、長野県内では、2件の行方不明遭難を含む6件の山岳遭難が発生しました。

北アルプスなど標高の高い山域では、日陰となる樹林帯や沢筋を中心にかなりの雪が残っています。残雪がある場所では、滑落の危険性があるほか、残雪によってルートが不明瞭な登山道もあるため、地図などで現在地やルートなどを確認しましょう。
また、事前に最新の現地の情報を確認するとともに、アイゼンやピッケルを携行し、安全に正しく使いこなしましょう。万が一、トラブルに遭遇し救助要請をしても、すぐに救助隊が来るとは限りません。ビバーク装備の携行もお願いします。

一方、先週は、山菜採り遭難も発生しています。山菜採り遭難は、山菜を採ることに夢中になるあまり、急斜面に入り込んだり、現在地がわからなくなったりして遭難してしまいます。「山菜を採りに行くだけだから」という安易な気持ちで入山するのではなく、必要な装備を携行するとともに単独入山は控え、複数人で入山しても、互いの声が届く範囲で行動しましょう。

 

長野県山岳遭難防止対策協会からのお知らせ

信州登山案内人が「一期一会」の山旅をお手伝いします!

初めて登山をされる方、久しぶりに登る方、山をもっと知りたい方――。長野県が実施する筆記・実技試験に合格し、知事の登録を受けた山岳ガイド「信州登山案内人」と一緒に山旅を経験してみませんか。信州の山に精通した山岳ガイドが、楽しく、安全・安心な登山のお手伝いをいたします。詳細は、長野県Webサイト(山岳情報)をご確認ください。
 ⇒信州登山案内人名簿はこちら
 ⇒長野県内の登山案内人組合・山岳ガイド協会はこちら

あまとみトレイル(長野駅~斑尾山)西野発電所の吊り橋は、通行止め継続!

5月下旬に開通予定だった西野発電所(新潟県妙高市杉野沢)の吊り橋は、冬の間の大雪のため、手すりなどの破損が確認されました。管理元の東北電力によると、復旧の見通しは立たない状態だということです。迂回路等の詳細は、あまとみトレイルのWebサイトをご確認ください。

山小屋情報ポータルサイト~山小屋の開設(営業)期間を更新しました

春山シーズンの幕開けに合わせて、営業が始まった山小屋や夏山シーズンの営業を予定している山小屋の開設期間を順次、更新しています。長野県ホームページ(山岳情報~山小屋情報ポータルサイト)でご確認ください。
 ⇒山岳情報~山小屋情報ポータルサイト

御嶽山の噴火警戒レベルを「2」から「1」に引き下げ

御嶽山は、5月20日(火)午前11時、「噴火警戒レベル」が「2」(火口周辺規制)から「1」(活火山であることに留意)に引き下げられました。詳細は御嶽山火山防災協議会のWebサイトからご確認ください。

「山岳遭難の現場からNo.9」が発行されました!

長野県警山岳安全対策課では、春の大型連休中に八ヶ岳連峰で発生した実際の遭難事例を掘り下げ、その原因や背景を検証しました。リポートは、登山の抱えるリスクや遭難の実態を大勢の登山者に知っていただくとともに、遭難という最悪の事態を回避する具体的な対策について考える迫真の内容となっています。ぜひ、ご覧ください。
 ⇒八ヶ岳連峰阿弥陀岳で発生した滑落遭難、救ったのは登山計画書だった

 

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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