本格的な夏山シーズン到来。暑い日差しを浴びながらの行動に注意を 島崎三歩の「山岳通信」 第401号

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長野県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。第401号では、7月に入り本格的な夏山シーズンの到来となった今、過去の遭難事例を振り返りながら夏山での注意点を挙げている。


7月2日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第401号では、期間中に起きた5件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 6月28日(土)、八ヶ岳連峰の硫黄岳で、単独で入山した64歳の男性が硫黄岳に向けて登山中に、疲労により行動不能となった。

  • 6月28日(土)、八ヶ岳連峰の東天狗岳で、単独で入山した74歳の女性が、東天狗岳から下山中に転倒して負傷した。

  • 6月28日(土)、北アルプスの赤岩岳で、2人パーティで入山した49歳の男性が、槍ヶ岳から赤岩岳に向けて縦走中に技量不足により行動不能となった。

  • 6月29日(日)、北アルプスの常念岳で、11人パーティで入山した21歳の男性が、常念岳から蝶ヶ岳に向けて縦走中に転倒、負傷した。

  • 6月29日(日)、北アルプスの燕岳で、単独で入山した64歳の女性が、大天井岳から燕岳に向けて縦走中に技量不足により行動不能となった。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

先週、長野県内では5件の山岳遭難が発生しました。

今週から7月に入り、本格的な夏山シーズンとなります。長野県内の山は夏休みを利用して多くの登山者が訪れる一方で、多くの山岳遭難も発生昨シーズンは、7月と8月の2カ月間で116件の山岳遭難が発生し、死者15人、行方不明者1人、負傷者53人、無事救助56人の計125人が遭難しました。

例年、夏山シーズンに山岳遭難が多く発生し、特に暑い日差しを浴びながらの行動となるため、疲労などによる行動不能の遭難が多く発生しています。疲労による遭難は、綿密な事前準備、登山計画や日々のトレーニングによって防ぐことができます。

夏山に向けて登山の計画をしている方は、
 ・自身の体力や技術に見合った山域を選ぶこと
 ・余裕ある登山計画を立てること
 ・登山に向けたトレーニングを行うこと
を実践し、安全登山を心掛けましょう。

 

長野県山岳遭難防止対策協会からのお知らせ

御嶽山の登山道の通行規制について

御嶽山の登山道の立ち入り規制は、7月1日(火)から規制の解除(緩和)が予定されています。ただし、王滝村によると王滝頂上~剣ヶ峰ルート、王滝頂上~黒沢十字路ルート(二ノ池トラバース)は、積雪などの状況により、登山道の安全が確保できないため、規制緩和を延期するということです。今後の火山活動や残雪の状態によっては、さらに変更される可能性があります。詳細については、木曽町、王滝村などにご確認ください。 
 ⇒【黒沢口・開田口】木曽町役場 総務課危機管理室  0264-22-4280 
 ⇒【王滝口】王滝村役場 総務課 0264-48-2001

白馬大雪渓(猿倉登山口)につながる県道の通行規制について

県道白馬岳線(猿倉登山口~二股ゲート)は、白馬館ヘリポート(猿倉登山口の手前、車両転回場)と二股ゲートとの間の車両の通行規制が解除されました。この区間は、タクシーや路線バスなどの車両に限って通行できます。一般車両の通行はできません。 
ただし、この区間における歩行者の徒歩による通行は可能です。現在、県道の復旧工事が行なわれていますが、全面復旧の見通しはたっていません。 詳細は関係機関のウェブサイトでご確認ください。  
 ⇒白馬村ホームページ  
 ⇒大町建設事務所  
 ⇒(株)白馬館 

北アルプス地域に「ツキノワグマ出没注意報」

北アルプス地域における6月8日から6月14日までの里地でのツキノワグマ目撃件数が、前週の1.5 倍以上と増加するなど、クマの移動が活発になっています。みなさんにあらためて注意いただき人身被害を回避するため、北アルプス地域を対象に「ツキノワグマ出没注意報」を発出します(長野県林務部)。

発出期間: 6月19日(木)~7月31日(木) 
対象区域: 北アルプス地域 
人身被害: 令和7年度(6月18日現在) 5件 8名

①朝夕の行動はできるだけ避け、複数人で行動する 
②クマ鈴、ラジオ、笛などを携帯する 
③クマのいる場所に近づかない 
④子グマを見たら立ち去る 
 ⇒ツキノワグマ出没注意報

「登山計画書」を作成・提出しましたか?

登山のリスクを意識し、自分の体力や技術に見合ったゆとりある山行計画をたてましょう。登山計画書は必ず提出してください。その際、山小屋・地元自治体・観光協会などを通じて、登山口までの道路や登山道の状態、残雪の状況など、現地の最新情報を事前に把握しておきましょう。そのうえで、家族や知人などにも詳細な予定(行き先・登山ルートなど)を伝えましょう。登山計画書を提出し、情報を共有しないと、入山場所や遭難地点の特定に時間がかかり、捜索活動が遅くなってしまいます。  
 ⇒詳細はこちら

「信州 山のグレーディング」登りたい山よりも登れる山を!

「体力の低下を意識できない中高年者」や「山の怖さを知らない初心者」が、県内の急峻な山岳を訪れ、遭難増加の一因となっています。「信州 山のグレーディング」は、長野県内の登山ルートの難易度の情報を提供し、登山者が「自分の力量に合った山選び」をすることによって、山岳遭難の防止に役立てようと、考案されました。夏山登山を計画する際は、ぜひとも参考にしてください。  
次に登る山はどこにしよう? 「信州 山のグレーディング」を「自分に合った山選び」の参考にして下さい。  
 ⇒詳細はこちら

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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