秋の登山は天気急変に備えることが大切。引き返す勇気を持って入山を 島崎三歩の「山岳通信」 第413号

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長野県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。第413号では、長野県の山では急速に秋が深まっていることを伝え、天候急変のリスクを意識して入山することを促している。


9月25日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第413号では、期間中に起きた6件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 9月16日(火)、八ヶ岳連峰の赤岳で、単独で入山した26歳の男性が、赤岳から下山中の日没となり、装備不足(ヘッドランプ不携行)により行動不能となった。

  • 9月17日(水)、北アルプスの燕岳で、11人パーティで入山した70歳の女性が、山小屋に滞在中に発病により行動不能となった。

  • 9月18日(木)、北アルプスの涸沢で、2人パーティで入山した71歳の女性が、涸沢から横尾に向けて下山中に濡れた岩でスリップして転倒、負傷した。

  • 9月18日(木)、八ヶ岳連峰の東天狗岳で、単独で入山した77歳の女性が、東天狗岳から下山中に転倒、負傷した。

  • 9月20日(土)、北アルプスの槍ヶ岳で、単独で入山した香川県の33歳の男性が、北鎌尾根に向かったまま行方不明になり、その後遺体で発見された。

  • 9月21日(日)、北アルプスの乗鞍岳で、33人パーティで入山した45歳の女性が、剣ヶ峰から畳平に向けて下山中に砂利で足を滑らせて転倒、負傷した。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

先週、長野県内では、6件の山岳遭難が発生し、うち1件は行方不明です。
前線の影響により秋の空気に入れ替わり、標高が高い稜線では日中でも低体温症のリスクが伴います。低体温症は気温の低下だけでなく、雨や風にさらされることにより体温が奪われて、震えや動作の鈍化、判断力の低下などを招き、転倒や滑落の原因にもなります。また、進行すると意識障害や心停止に至る場合があります。登山される方は、以下のことを徹底しましょう!

  • 天気予報を必ず確認する:「前線の通過」「低気圧の通過(発達)」「気圧の谷の通過・接近」などのワードが出た場合、山は大荒れ
  • 雨具・防寒着・非常食・ヘッドランプは必ず携行する
  • 天候不良の場合は、登山計画を中止・変更する
  • 天候悪化時は引き返す勇気を持つ

 

【槍ヶ岳北鎌尾根 を登山される方へ】
北鎌尾根はバリエーションルートであり、一般登山道ではありません。国内でも屈指の難関ルートであり、過去にも死傷や行方不明者が出る遭難が数多く発生しています。北鎌尾根は、高い技術や体力、判断力が必要になることはもちろんのこと、一度取り付くと、エスケープルートや水場はなく、携帯電話も通信圏外の場所が多いため、遭難しても救助要請が困難な場合があります。

また、遭難した場合でも、ルート特性からすぐに救助活動ができない場合があり、天候などによっては、何日間もビバークを要することがあります。北鎌尾根を登山される方は、事前の下調べや装備準備を入念に行ない、経験者やガイドと入山するなど、トラブルや遭難のリスクに対応できる計画をお願いします。

 

長野県山岳遭難防止対策協会からのお知らせ

「秋山登山相談所」を開設します

県遭対協では、秋山シーズンにあたり、県内の各山域の主要登山口に「登山相談所」を開設します。現地の山域や登山ルートに詳しい相談員が登山者に最新の情報を提供し、積極的な声かけを行います。問い合わせにも応じますのでお気軽にご利用ください。
 ⇒詳細はこちらから

北アルプス横尾登山口に入山ゲート設置 試行実験を開始!

「北アルプストレイルプログラム」では、槍ヶ岳や涸沢に通じる横尾地区の登山口に入山ゲートを設置しました。近年、登山計画の不備や登山装備の準備不足などが原因となる山岳遭難の発生が後を絶たないため、入山前に、登山準備と登山のルールやマナーを確認する取り組みを始めるものです。ゲートにて、「登山準備・登山ルート確認票」を確認のうえ、署名と指定ポストへの投函をお願いします。

  • 実施期間:2025年9月13日(土)~10月13日(火)
  • 実施場所:横尾登山ゲート(横尾避難小屋横に設置)

⇒詳細はこちらから

「秋山情報」をご活用ください!

鮮やかな紅葉に包まれる秋山は、多くの登山者を魅了し、毎年、紅葉シーズンを中心に県内外から多くの登山者が訪れるほか、きのこ採りなど「山の幸」を求めて入山する人も数多く見られます。   
この時期は、滑落や道迷い、低体温症、準備不足による行動不能などの山岳遭難が多発しています。秋山は周期的な晴天に恵まれやすく、気候的にも登山に適していますが、日没時刻が早く、天候もひとたび崩れると真冬並みの寒さになるなど、秋山特有のリスクがあります。   
「秋山情報」では、過去の遭難事例や秋山登山における注意点などを紹介します。安易な気持ちで登山することなく、最新情報の収集と事前準備を入念に行なうとともに、体調を万全にして入山しましょう。   
⇒「秋山情報(PDF)」はこちら

クマにご用心!

8月中旬、知床の羅臼岳で登山者がヒグマに襲われ、死亡する事故が発生しました。長野県内でも春先からクマによる人身被害が相次いでおり、夏山シーズンに入ってから上高地をはじめ、各山域の登山道周辺でも目撃情報が寄せられています。   
山の中では、どこでクマと遭遇してもおかしくありません。登山の際は、クマとの遭遇を避けるための対策を必ず行ないましょう(以下、プレスリリースから抜粋)。

  • 朝夕は特に注意、複数人で行動する
  • クマ鈴、ラジオ、笛などを携帯して存在を知らせる
  • クマの存在を意識する
  • 子グマを見たらそっと立ち去る

⇒(参考)関連ウェブサイト

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

⇒バックナンバーはコチラ!

島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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