入山前に必ず最新の情報を入手してから計画して登山を開始しましょう 島崎三歩の「山岳通信」 第416号

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長野県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。第416号では、通行止めとなっていた白馬岳の大雪渓に誤って入山し、行動不能に陥った道迷い遭難について取り上げ、入山前の下調べの重要性を強く訴えている。


10月15日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第416号では、期間中に起きた12件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 10月6日(月)、北アルプスの横尾谷で、2人パーティで入山した80歳の女性が、涸沢から横尾に向けて下山中に転倒、負傷した。

  • 10月6日(月)、北アルプスの乗鞍岳で、単独で入山した59歳の男性が、乗鞍岳の剣ヶ峰から畳平に向けて下山中に転倒、負傷した。

  • 10月6日(月)、松本市波田地籍の山林内で、きのこ採りのために単独で入山していた82歳の男性が滑落、負傷した。

  • 10月9日(木)、中央アルプスの千畳敷で、2人パーティで入山した69歳の男性が、千畳敷を下山中に疲労により行動不能となった。

  • 10月10日(金)、北アルプスの白馬乗鞍岳で、2人パーティで入山した80歳の男性が、白馬大池から下山中に疲労により行動不能となった。

  • 10月10日(金)、戸隠連峰の戸隠山西岳で、2人パーティで入山した61歳の女性が、鏡池登山口から西岳に向けて登山中にバランスを崩して滑落、負傷した。また、同行者の66歳の男性が、技量不足により行動不能となった。

  • 10月11日(土)、北アルプスの蝶ヶ岳で、単独で入山した62歳の男性が、常念岳から蝶ヶ岳に向けて縦走中に、悪天候により行動不能となった。

  • 10月11日(土)、北アルプスの燕岳で、3人パーティで入山した84歳の男性が、燕岳から中房登山口に向けて下山中に、疲労により行動不能となった。

  • 10月12日(日)、松本市安曇地籍の山林内で、きのこ採りのために3人パーティで入山した85歳の男性が滑落、死亡した。

  • 10月12日(日)、北アルプスの白馬岳で、2人パーティで入山した19歳と17歳の男性が、猿倉登山口から白馬岳に向けて大雪渓を登山中に道に迷い、行動不能となった。

  • 10月12日(日)、北アルプスの前穂高岳で、2人パーティで入山した64歳の女性が、前穂高岳から岳沢に向けて下山中に滑落、負傷した。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

先週、長野県内では1件の死亡遭難を含む12件の山岳遭難が発生しました。

北アルプス白馬岳で発生した道迷い遭難は、通行止めとなっている大雪渓に入山した結果、登山道を外れて下山することも登ることもできずに行動不能となったものです。遭難者はその場でビバークし、翌日、救助隊によって救助されました。幸いケガはありませんでしたが、猿倉登山口から白馬岳へのルートは9月29日(月)からすでに通行止めになっており、登山計画の下調べが不足していたと言わざるを得ません。

入山前の下調べはとても重要であり、「知らなかった」では、命取りになる可能性もあります。特に、これからの季節は北アルプスの山小屋の多くが営業を終え、環境的に厳しい時期を迎えるため、登山計画の下調べをしっかりと行なった上で入山しましょう。

また、きのこ採り遭難も2件発生し、滑落による死亡遭難が発生しています。きのこ採りは高齢の方が多く遭難しています。家族のひと言で防げる遭難も多くあります。もし、ご家族にきのこ採りをする方がいる場合には、以下のことを伝えて下さい。

  • 単独入山や単独行動は控えること
  • 入山場所と予定を必ず共有すること
  • 万が一に備え、携帯電話・ヘッドランプ・防寒着などを必ず携行すること

 

長野県山岳遭難防止対策協会からのお知らせ

「焼岳 登山道」冬期間の通行止め(10月22日~)

松本市アルプスリゾート整備本部によりますと、上高地から焼岳への登山道の中腹に架かるハシゴは、冬期間の凍結と春先の雪崩により、破損の恐れがあるため撤去されます。このため、上高地側の登山口から焼岳小屋の間は完全通行止めとなります。

  • 1.通行止め区間:上高地側焼岳登山口~焼岳小屋(迂回路はありません)
  • 2.通行止め期間:2025年10月22日(水)~2026年5月中旬(予定)

詳細は松本市アルプスリゾート整備本部までご確認ください。

「白馬大雪渓ルート」通行止め(9月29日~)

白馬村などによりますと、白馬大雪渓ルートは、9月末になって安全なルートを確保することが難しくなってきたため、関係者が現地調査を行なうなどして協議した結果、9月29日(月)から通行止めとすることになりました。白馬岳頂上へは白馬鑓温泉ルート、または栂池ルートを利用することになります。  
 ⇒詳細はこちらから

「徳本峠越え」のクラシックルートの通行止め解除

松本市の島々から徳本峠を通り、上高地の明神に至る登山道(島々明神線歩道)の通行止めが解除されました。大規模な土砂崩落のため、4月9日から通行止めになっていましたが、このほど整備が完了したため、9月30日(火)から通れるようになりました。

  • 落石や滑落のリスクがあるうえ、体力と技術を要する難ルートですので充分にご注意ください
  • 入山にあたっては、必ず登山計画書を提出してください

 ⇒詳細はこちらから(PDF) 

北アルプス地域に「ツキノワグマ出没注意報」クマにご用心!

北アルプス地域において、9月14日から20日までの里地でのクマ目撃件数が、前週の1.5倍以上に増加したことから、北アルプス地域に「ツキノワグマ出没注意報」が出されました。

上高地や後立山連峰をはじめ、各山域の登山道周辺でも目撃情報が寄せられています。秋山では、どこでクマと遭遇してもおかしくありません。登山の際は、なによりもクマとの遭遇を避けるための対策を行ないましょう!

<注意点>

  • 朝夕は特に注意、複数人で行動する
  • クマ鈴、ラジオ、笛などを携帯して存在を知らせる
  • クマの存在を意識する
  • 子グマを見たらそっと立ち去る

※長野県の関連ウェブサイトをご参照ください。

北アルプス横尾登山口に入山ゲート設置 試行実験を開始!

「北アルプストレイルプログラム」では、槍ヶ岳や涸沢に通じる横尾地区の登山口に入山ゲートを設置しました。近年、登山計画の不備や登山装備の準備不足などが原因となる山岳遭難の発生が後を絶たないため、入山前に、登山準備と登山のルールやマナーを確認する取り組みを始めるものです。ゲートにて、「登山準備・登山ルート確認票」を確認のうえ、署名と指定ポストへの投函をお願いします。

  • 実施期間:2025年9月13日(土)~10月13日(火)
  • 実施場所:横尾登山ゲート(横尾避難小屋横に設置)

⇒詳細はこちらから

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

⇒バックナンバーはコチラ!

島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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