【ルポ】埼玉・坂戸に「グランドキャニオン」と都電!?城跡の崖と森をめぐる里山ハイキング
「キワ」や「端」、「境目」には、なにかおもしろい発見がある気がする。今回取り上げるのは、埼玉県坂戸市の西の端あたり。地図を見ると坂戸市西端の境界線がまるでパズルのようにぽっこりと出っ張っている場所がある。市街地と里山の混ざり合うエリアの、ちょっとニッチな自然探索。
写真・文=中島タツヤ
武者小路実篤の「新しき村」
農地を過ぎてこんもりした斜面を上がっていくと、「武者小路実篤 新しき村美術館」に出た。一帯は「新しき村」という場所で、もともとは大正7年に武者小路実篤が仲間とともに宮崎県に開設し、昭和14年に毛呂山町のこの地にも建設されたそうだ。坂戸市と毛呂山町のちょうど境目にまたがって位置している。敷地には茶畑や井戸があり、とても落ち着く場所だ。
しばらく散策していると、「都電7022号」の看板が目に留まった。少し脇に入ってみると、巨木の下にひっそりとたたずむ鉄道車両が1台。明るく塗装されており、また当時のものではないとは思うが、正面には「銀座」の文字。まるでアニメの世界のような雰囲気である。ここでレトロな車両に出会うとは思いもしなかった。
説明板によると、かつて都内を走っていた昭和29(1954)年製造の車両だそうで、幼稚園の施設などとして活用された後、修復を経て現在に至るとのこと。
新しき村の静かな雰囲気と、レトロな車両との出会いにほっこりとした気分に包まれながら、北側の農地を抜けて住宅地から武州長瀬駅に向かい、里山自然探索を終えた。なお後日問い合わせたところ、「武者小路実篤新しき村美術館」は、11月14日の埼玉県民の日には無料公開となるそうだ。
今回の探索コースは、追ってヤマタイムに反映する予定だ。また今回のコース以外でも、少し足を延ばせば巾着田・高麗(こま)神社方面や鎌北湖も近い。いろいろなコースが計画できるだろう。
MAP&DATA
この記事に登場する山
都市近郊の自然探索ハイキング
都市近郊の里山を歩いていると、道や分岐が結構多く、また小さな尾根を隔てて風景がガラッと変わることもあっておもしろい。この道はどこにつながっているのだろう?また、どんな景色が広がっているのだろう?まだ見ぬトレイルや風景を求めて、都市近郊の自然探索へ
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