体調管理には日差しの強い日中の長時間の行動を避けることも必要 島崎三歩の「山岳通信」 第121号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2018年8月13日に配信された第121号では、19件の遭難事例を紹介。疲労や体調不良により行動不能となった遭難が8件発生していることから、日差しの強い日中の行動について言及している。

 

8月13日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第121号では、7月30日~8月5日に起きた19件の山岳遭難事例について説明している。以下に抜粋・掲載する。

  • 7月30日、北アルプス不帰岳で、60歳の男性が不帰嶮二峰北峰付近を登山中に登山靴が破損し、行動不能となる山岳遭難が発生。遭対協隊員などにより救助された。

  • 7月30日、北アルプス八方尾根で、76歳の女性が八方池山荘付近を下山中に段差でバランスを崩し転倒して軽傷を負う山岳遭難が発生。遭対協夏山常駐隊員により救助された。

  • 7月31日、北アルプス白馬鑓ヶ岳で、45歳の男性が白馬鑓温泉に向けて登山中に小日向のコル付近で体調不良のため行動不能となる山岳遭難が発生。山岳遭難防止対策協会隊員により救助された。

  • 7月31日、中央アルプス木曽駒ヶ岳で、51歳の女性が下山中に宝剣山荘付近で浮石でバランスを崩し転倒・負傷し歩行困難となる山岳遭難が発生。県警ヘリにより救助された。

  • 7月31日、八ヶ岳連峰蓼科山で、70歳の女性が蓼科山から下山中に将軍平付近で転倒・負傷する山岳遭難が発生。県警ヘリにより救助された。

  • 8月1日、北アルプス北穂高岳で、67歳の女性が北穂高岳から北穂南稜を下山中にバランスを崩し転倒・負傷する山岳遭難が発生。県警ヘリにより救助された。

北穂高岳での遭難現場の状況(長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)8月9日付)

 

  • 8月1日、北アルプス白馬岳で、60歳の女性が大雪渓を下山中に白馬尻付近で体調不良により行動不能となる山岳遭難が発生。警察官により搬送され、その後救急隊に引き渡された。

  • 8月2日、中央アルプス南駒ヶ岳で、59歳の男性が南駒ケ岳付近を登山中に何らかの原因により負傷して倒れているところを発見され、県警ヘリに救助された。

  • 8月2日、北アルプス涸沢岳で、63歳の女性が涸沢岳に向けて登山中に最低コル付近で、何らかの原因により滑落する山岳遭難が発生。県警ヘリにより救助されたものの、のちに死亡が確認された。

  • 8月2日、戸隠連峰高妻山で、69歳の男性が高妻山から下山中に弥勒尾根付近で道に迷い行動不能となる山岳遭難が発生。遭対協隊員、消防署救助隊員、長野中央署員により救助された。

  • 8月3日、北アルプス白馬乗鞍岳で、43歳の男性が栂池から白馬大池に向けて登山中に栂池平付近で、体調不良により行動不能となる山岳遭難が発生。山小屋従業員が付き添って下山し、救急車で病院に収容された。

  • 8月3日、北アルプス白馬岳で、53歳の女性が白馬岳に向けて登山中に白馬岳の山小屋付近で体調不良のため行動不能となる山岳遭難が発生。県警ヘリで救助された。

  • 8月4日、北アルプス白馬岳で、62歳の女性が唐松岳から白馬岳へ縦走中に杓子岳と白馬岳の中間付近で、疲労による体調不良で行動不能となる山岳遭難が発生。県警ヘリで救助された。

  • 8月4日、北アルプス焼岳で、64歳の男性が焼岳から下山中に疲労により行動不能となる山岳遭難が発生。消防救助隊により救助された。

  • 8月5日、八ヶ岳連峰硫黄岳で、53歳の男性と51歳の女性が硫黄岳に向け登山中に道に迷い、行動不能となる山岳遭難が発生。山岳遭難救助隊員、山岳遭難防止対策協会隊員などにより救助された。

  • 8月5日、北アルプス白岳で、56歳の男性が五竜岳から下山中に白岳付近で何らかの原因により滑落する山岳遭難が発生。意識のない状態で県警ヘリにより救助されたが、のちに死亡が確認された。

  • 8月5日、北アルプス霞沢岳で、37歳の男性が霞沢岳に向けて登山中に何らかの原因により滑落する山岳遭難が発生。県警ヘリにより救助されたものの、死亡が確認された。

  • 8月5日、雨飾山で、33歳の男性が雨飾山に向けて登山中に疲労による体調不良で行動不能となる山岳遭難が発生。県警ヘリにより救助された。

  • 8月5日、北アルプス烏帽子岳で、21歳の男性が烏帽子岳付近の山小屋で体調不良により行動不能となる山岳遭難が発生。山岳遭難防止対策協会隊員により救助された。

 

山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

7月5週は、19件の山岳遭難が発生しました。そのうち3名の方が滑落により亡くなっています。特に北アルプスは痩せた稜線や尾根が多いことから、行動中は気を抜くことなく慎重な行動を心掛けてください。

また、疲労や体調不良により行動不能となった遭難も8件発生しています。今年は山の上でも高温が続いており、日差しの強い中で長時間行動をすれば、体力は消耗し、体調を崩しやすくなります。早朝の涼しい時間帯に行動を開始し、日差しの強い日中の長時間の行動を避けるとともに、こまめな水分補給と休息を心掛けてください。

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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