主要な山域では冬季閉鎖の時期。入山前に情報収集の徹底を 島崎三歩の「山岳通信」 第418号
長野県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。第418号では、各山域では冬期に向けて閉鎖に向けた作業が進捗していることを説明。入山前の情報収集の徹底を呼びかけている。
10月29日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第418号では、期間中に起きた3件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。
10月23日(木)、伊那市富県地籍の山林内で、きのこ採りのために2人パーティで入山した90歳の男性が、きのこ採り中に発病して死亡した。
10月24日(金)、八ヶ岳連峰の天狗岳で、4人パーティで入山した74歳の男性が、黒百合から天狗岳に向けて登山中に発病して死亡した。
10月24日(金)、北アルプスの唐松岳で、2人パーティで入山した32歳の男性が、唐松岳から八方尾根を下山中に転倒し、負傷した。
長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス
先週、長野県内では、3件の山岳遭難が発生しました。このうち2件は死亡遭難で2名の方が亡くなりました。登山に向けてのトレーニングや体調管理に努め、入山前や行動中に体調に不安がある場合は、登山の中止を検討してください。
11 月に入ると、長野県内の主要な山域では一部を除いて多くの山小屋は営業期間が終了し、閉鎖されます。標高の高い山域では、初冠雪や初氷など冬の便りが届き、高山帯の季節が秋から冬になりつつあります。例年、山小屋の営業期間を調べずに入山し、頼みの綱として「あそこまで行けば山小屋がある」と思って限界ギリギリで登山するものの、現地で山小屋の営業が終了していることを知り、落胆される方がいます(ビバーク装備がなくて救助要請される方も……)。
この時期は、冬期に向け、「ハシゴや橋の撤去」や「山小屋の営業期間終了」があるので、入山前に必ず情報収集を行なってください。登山口に注意喚起の張り紙がされている場合があるので、見落とさずに確認しましょう。「あれ? 橋がない……」「山小屋やってないの……?」とならないようにしてください。
長野県山岳遭難防止対策協会からのお知らせ
「焼岳 登山道」冬期間の通行止め(10月22日~)
松本市アルプスリゾート整備本部によりますと、上高地から焼岳への登山道の中腹に架かるハシゴは、冬期間の凍結と春先の雪崩により、破損の恐れがあるため撤去されます。このため、上高地側の登山口から焼岳小屋の間は完全通行止めとなります。
- 1.通行止め区間:上高地側焼岳登山口~焼岳小屋(迂回路はありません)
- 2.通行止め期間:2025年10月22日(水)~2026年5月中旬(予定)
詳細は松本市アルプスリゾート整備本部までご確認ください。
山岳遭難防止につながる寄付を募集中
登山の楽しい思い出作りを陰から支える活動をご支援ください。長野県では長野県山岳遭難防止対策協会の活動などを通じ、登山者の安全確保に向けた啓発活動や遭難救助に取り組んでいます。信州の山岳を安全に楽しんでいただくため、全国の皆様の温かいご支援を心からお待ちしています。なお、1万円以上の寄付をしていただいた方には、「安全登山啓発カード」を差し上げます。
⇒詳細は長野県ホームページから
プロフィール
島崎三歩の「山岳通信」
信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。
島崎三歩の「山岳通信」
長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。
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