行程・コース
天候
晴れのち曇り
登山口へのアクセス
バス
その他:
JR奥多摩駅から西東京バス東日原行き
7:27よりも前に増便が出た
帰りも東日原バス停14:50発に増便が出て2台で運行
この登山記録の行程
東日原(7:50)・・・小川谷橋(8:12)・・・一石山神社(8:18 8:23)・・・人形山 ミズナラ巨木(9:45 9:50)・・・金袋山 (10:20)・・・篶坂の丸(10:44)・・・ウトウノ頭 (11:31 12:01)・・・
篶坂の丸(12:28)・・・金袋山 (12:46)・・・一石山神社(13:56)・・・東日原(14:21)
高低図
登山記録
行動記録・感想・メモ
奥多摩のタワ尾根に紅葉とミズナラの巨木を訪ねて、ウトウの頭まで往復してきました。紅葉は標高1000〜1300mあたり、特に一石山から人形山あたりが素晴らしかったです。
秋になっても暖かい日が続き、紅葉も遅れ気味だった印象ですが、このところ急に寒くなってきて紅葉も一気に進んだようです。タワ尾根は、一部植林、またウトウの頭(うとうのかしら)付近は常緑照葉樹林ですが、その大部分が美しい落葉広葉樹林です。以前から他の方のレコを拝見して、新緑や紅葉の時期にぜひ登ってみたいと考えていたところでした。今シーズンは、台風などの影響で紅葉は今ひとつという印象だったのですが、タワ尾根の紅葉は期待にたがわず素晴らしいものでした。このところの気温低下で一気に紅葉が進んだらしく、標高1000〜1300mあたり、特に一石山から人形山あたりが素晴らしく、しばらくぶりに山中を歩いていてうっとりした気分を味わいました。
ここは東京都の水源地。都心の私の部屋の蛇口から出る水にも、こんな美しい紅葉色を映した一雫が含まれているのでしょうか。
なお、このコースはある程度ルートファインディングの能力を要求されるバリエーションコースです。迷い込みやすいところにロープが貼ってある箇所もありました。しかし、普段踏み跡と道標だけを頼りに登っている様な方(私も良く整備されているコースではそうしています)には、道迷いのリスクが高いコースですので、技能と経験を積んでから登ることをお勧めします。
<一石神社から一石山まで>
取り付きは神社の石段を上がり社務所のような建物のわきなのですが、入り口部分には小さな標識があるだけで、積極的には誘導していないようです。落石防止壁の間を進むと、草が伸びたためかいきなり踏み跡が不明瞭で、憧れのバリエーションルートということで緊張気味だった私の緊張はさらに高まりました。こちらの登山道は、かつてはかなりしっかり整備されていたことをうかがわせる石組みやベンチなどがもありますが、メンテナンスはあまり行われていないようです。しばらく登ると踏み跡は明瞭になりますが、急斜面につけられた道は狭く、特に尾根末端の下りは注意が必要です。
なお、一石神社から人形山のミズナラの巨樹までは、日原鍾乳洞先から取り付く「ミズナラ巨樹周回コース」というのも別にあるそうです(当初の記述を訂正します)。「登山詳細地図・奥多摩西編」によれば、こちらも経験者同行が望ましいとされています。
<一石山から篶坂ノ丸>
一石山までで急登は一服。広やかな尾根は広葉樹に覆われていて、素晴らしい紅葉が楽しめました。特に一石山から人形山あたりが鮮やかで、なかなか前に進めません(笑)。一方、この時期特有の落葉による踏み跡が不明瞭になっていることに注意が必要です。特に尾根が広く緩やかになっている箇所では、位置と方向確認を怠らないようにしましょう。人形山の山頂南側直下にミズナラの巨樹がそびえていて、圧巻です。周囲は厚く落ち葉が積もっていて、踏み跡を見失いやすく、私も人形山ピークから周囲を見回してミズナラの巨木を見つけた次第です。
人形山から先は、踏み跡はさらに不明瞭になって行きます。地図やコンパス、もしくはGPSで位置確認を怠らず、基本的に尾根伝いのコースだということを念頭に進路を定め、時折出てくるピンクや赤のテープや標石で答え合せをしながら歩くのがいいように思えます。篶坂ノ丸あたりは、薄い藪っぽくなっていました。人形山から金袋山をうっとり歩いている際に、鹿の鋭い鳴き声を何度か耳にしました。ああ、秋だな。
<篶坂ノ丸からウトウの頭>
篶坂ノ丸から左手(南)に天祖山の石灰岩採石場が望め、右手には長沢背稜、前方にはウトウの頭のピークが見えます。わずかに降った鞍部からウトウの頭を目指しますが、ここから再び急斜面、岩場も何箇所か出てきますが全て巻きます。どこを進めば安全に上り下りできるか、指導標やペンキマークがついているわけではありませんから、見定めて進みます。この辺りから植生が変わって、照葉樹林になっています。三つばかり岩場をやり過ごすとウトウの頭のピークに飛び出します。展望に恵まれているわけではありませんが、数人が休憩したり食事ができるくらいのスペースはありました。ウトウの頭のトレードマークの、カラフルな山頂標識を写真に収めて、ランチにします。
私は、ここから元きた道を引き返しました。支尾根が分かれる箇所など、迷い込みやすいところはロープなども張ってありましたが、方向確認は怠らないようにしたいものです。一石神社からの取り付き、および篶坂ノ丸との鞍部からウトウの頭への登り返しは急斜面で、特に後者は岩場もあります。切り立った箇所もあり、特に下降はスリップしないように足元に十分注意して進むべきです。落ち葉のせいもあるのでしょうが、足場が悪い上に滑りやすい状態でした。
マイナーなコースかと思いきや、紅葉の時期限定かもしれませんが、五組ほどパーティーが入山していました。ピークなどで言葉を交わした人々は、ここからさらに長沢背稜へ進む人、すでに天祖尾根から長沢背稜を経て下にかかる方、破線コースですらないオロセ尾根から登ってきた方々、いやはや大変な健脚やベテランが集まる山域なのだなと感じました。
コース定数34.7 主観的グレーディングC、コースタイム比0.88
<なぜウトウノ頭なのか?>
さて、「ウトウノ頭(かしら)」にはウトウ(善知鳥)のカラフルな山名標がかかっているのだが、これはそもそも北方の海鳥。なぜ、奥多摩の秘峰ともいわれるピークにその名が冠されているのか、疑問だった。気になってググって見たら、以下のような説得力のある説明を見つけた。なお、この記事によれば山名標の裏側には藤原定家の歌も刻まれているのだとか。あー、これは気付いていませんでした。それにしても、北方の古い民話、定家や西行法師、謡曲などをへて名前がついているとしたら、なんとも重層的な話だと思う。
https://toshihiroide.wordpress.com/2010/11/12/ウトウの頭の考証学/amp/
フォトギャラリー:36枚
いつもの稲村岩。周囲も色づいているようです。気温が低く、上着を羽織っての歩き出しです
一石神社。ここで清めてから社殿に向かいます
一石神社
石段を登ると拝殿の前に出るが、思わずおーっと声が出てしまう。背後に燕岩が迫り、右手には川をはさんで槍の様に岩が屹立しており、厳かな雰囲気。
今日の無事登山をお願いする。
社務所のような建物の脇に、目立たず登山口がありますが、案内もなくあまり積極的に誘導していないようです。踏み跡も薄く、本当にここでいいのか迷う場面も。いきなりこのコースはハードルが高いなと思わされました。
下部は、かなりしっかり整備された痕跡がありますが、長いことメンテナンスが行われていないように思えました。
急登に喘ぎながら一石山に出ると、傾斜が緩んで美しい広葉樹の黄葉が広がる。あー、美しい。
惚れ惚れしてしまい、なかなか前に進めません。
紅葉は標高1000〜1300mあたり、特に一石山から人形山あたりにかけてが、素晴らしかったです。
ミズナラの巨樹。人形山のピークから少し南に下ったところにあります。やはり迫力があります。
東京都の標石。落ち葉で踏み跡が不明瞭なところも多々出てきますから、時折出てくる赤テープや標石で、答え合わせをしながら歩くといいでしょう。
すでに落葉している銀白色の木々を見下ろす。これもまた美しいものです。
ウトウの頭近くには、岩場が数カ所でてきますが、全て巻きます。かなりの急斜面で息が上がります。
ウトウの頭に到着。お昼ご飯を食べてから、元来た道を戻ります。帰りは、入山者の踏み跡のおかげか、コースに迷う場面は減りますが、尾根が二筋に分かれる場面など、慎重に進路を定める必要があります。
ところで、なぜ奥多摩のピークに北方の海鳥であるウトウの名が冠されているのか?猟師が難渋を極める謡曲「善知鳥(ウトウ)」に由来するのだとか。
ウトウの頭と篶坂ノ丸の鞍部付近の黄葉
曇ってしまい鮮やかさは今ひとつなのだけれど、やはり美しいなあ