行程・コース
天候
薄曇り、風ほぼなし、全行程メリノウール1枚の暖かさ
登山口へのアクセス
バス
この登山記録の行程
(coは標高、地点名称はおもに吉備人出版の「登山詳細図」から)
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07:55~倉沢バス停をスタート
08:00~神庭尾根に取り付く
/↑神庭尾根/
08:16~co650付近~08:36
09:00~(P925)
09:38~笙ノ岩山
/↓笙ノ岩山西尾根/
10:02~co1090付近~10:12
12:16~倉沢谷に降りる
12:21~倉沢林道に上がる
13:11~倉沢林道終点、沢に降りる~13:16
13:23~松岩ノ頭西尾根に取り付く
/↑松岩ノ頭西尾根/
13:50~co840~14:14
15:04~松岩ノ頭
15:07~松岩尾根下降点
/↓松岩尾根/
16:03~松岩
16:13~鞍部から歩道の下降開始
16:39~川乗林道に上がる
16:50ごろ~軽トラに拾ってもらいフィニッシュ
高低図
登山記録
行動記録・感想・メモ
笙ノ岩山西尾根の倉沢谷への着地、松岩ノ頭西尾根の取り付き、記録者のルート選択はかなり危険です。ふたつの尾根歩きを検討するならご自身のプランニングで白紙からお願いします。だれか歩いたからみんな歩けるルートではありません。※ここまで20230325に加筆訂正。
概略は本文を、詳細は写真のキャプションを参照ください。
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〇 プロローグ
先週、おそらくはじめて倉沢谷エリアに入った。林道に降りる機会があり、周囲を眺めながらぽつぽつ歩き、左岸=鳥屋戸尾根西面の険しさが印象に残った。急斜面というよりは崖の連続、あるいは巨岩が鎮座して取り付きを探すのがむずかしい。地形図を眺めれば右岸=ヨコスズ尾根東面より等高線が密で、尾根を上下するのもたいへんそうだ。そうとなればかえって歩きたくなるのが天邪鬼、引き際だけは忘れないように心がけてチャレンジしてみた。
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〇 神庭〈カニワ〉尾根(登り)
吉備人出版の登山詳細図にルート記載のあるオフトレイル。上部に「ガレ場注意」とあるが、それも含めて通過に工夫を要する場所はなかった。
これまで幾度となくバスで前を通過し、取り付きの金網を眺めながらあまり気乗りしなかったが、上がってしまえば展望のきく明るい尾根だった。
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〇 笙ノ岩山西尾根(降り)
笙ノ岩山西尾根は仮称、本来の名前を知らない。笙ノ岩山から西に向かいco1170m・1000・870と3か所の支尾根の分岐をすべて右に見送り、いちばん南=左を選択して笙ノ岩沢の出合いに降りた。
上部は笙ノ岩山からco1170付近まで境界標識とピンテがある。その後しばらく人工物を見ない。co900付近から青テを見かけ、標柱によれば令和4年度のごく最近の林業現場となり、倉沢谷の水線近くまで続いた。
最後の谷への下降は踏み跡を見つけられずルートを描くのにも難儀し、1時間かけてギリギリで倉沢谷に降りた。
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/笙ノ岩沢に降りる。降った斜面→笙ノ岩沢上流→下流/
https://youtube.com/shorts/wN2PG0tdXMQ?feature=share
/笙ノ岩沢を降るが最後は滝、右手の小尾根に上がり倉沢谷に降りるルートを探す。笙ノ岩沢上流→小尾根上方→倉沢谷上流方向→下流。このあと撮影地点上流寄りの窪を降り、倉沢谷におりた/
https://youtube.com/shorts/XElwQbQzIck?feature=share
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〇 松岩ノ頭西尾根(登り)
登り返すのをどこにしようか。詳細図を眺めていると、鳥屋戸尾根の反対側、塩地谷と名前が変わっているらしい川乗谷に落ちる「松岩尾根」が目に入った。ならば倉沢谷から松岩ノ頭に上がり川乗に降りよう、径路えらびはごく直感的なものだった。
倉沢林道の終点から沢に降りる。水量少なく滝もなく「遡行」というほどではない。シューズはまったく濡らさなかった。
例によってワン・ルックで取り付いたのが失敗で、モロモロの急斜面の抜ける石・崩れる岩・折れる木の根に難渋し、ずいぶん時間をかけた。取り付きと稜線ちかくをのぞき標識・サインを見ない。
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○ 松岩尾根(降り)
ざっと調べた範囲で歩いた記録を拾えず、ひとつだけ見つかったのは途中で引き返している。かなり用心して立ち入り禁止ロープをくぐったが、問題なく松岩に達して川乗林道に降りることができた。
推測だが、ごくさいきん水源林巡視路として整備されたのではないか。松岩までのふたつの小ピーク北面の巻き道・松岩手前の鞍部から北面を林道へ下る道、ともにはっきりしている。鞍部から川乗林道までは桟道の多い短い径路だが、道中の岩肌の眺めがスペクタクルで、楽しめた。
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/松岩尾根先端の小ピークにて、全周/
https://youtube.com/shorts/8I5_310VEJQ?feature=share
/松岩尾根から川乗林道への下降路。振り返る→眼下に塩地谷→進路→「離岩」方向/
https://youtube.com/shorts/m-dBaPAB6f8?feature=share
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● エピローグ
今日のプランはもう一本ずつ尾根を上り下りするプランを立てていた笑。松岩尾根を終えたところで下山する可能性をあまり考えておらず、通行禁止の川乗林道を申し訳ない思いで歩きはじめる。
後方から車が近づく音がし、「日曜なのに工事か。とにかく詫びよう」と山側に寄る。追い越されるとき、工事関係の車両ではないようだ、とは思いながらも、後ろめたい気分からどうぞどうぞ(=はやく行ってください)と手を振って合図をする。これが「止まってください」に見えたのかもしれない。すぐ先で止まり、乗っていきますか、と声をかけていただいた。
乗せてもらえば丹三郎に加工場と店舗をもつ「千鳥わさび園」の店主さんだった。もっと上流にワサビ田があり、手入れをしてきた帰りとのこと。先代の御主人が亡くなり跡を継いで1年、新鮮な気持ちでワサビづくりに励んでいらっしゃる様子を、言葉少なく話される。まだ熊に遭ったことがことがない、という。大げさとわかるようにこちらの熊目撃談をつたえると、近くにワサビ田をもつ同業のかたの遭難の様子を教えてくださった。
崖から熊が落っこちてきた。人を襲いに下りてきたわけではなく、足を踏み外したらしい。落っこちたところがワサビ田で手入れする人がおり、取っ組合いになった。指を何本か失う大けがをされたそうだ。
軽く上っ面に体験談を話したことを反省し、しかし熊の多い奥多摩で臆病にすぎると思い切りオフトレイルのハイキングができなくなる。出合い頭で遭遇したさいの、具体的な対策を講じておかねば危ないと考えさせられた。
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(20230322 了)
フォトギャラリー:96枚
1.
今回歩いた尾根の位置関係。軽トラに乗せてもらったあともログが残っているが、じっさいは緑の●でハイキングは終了している。
2.
倉沢バス停で降りる。神庭尾根取り付きはひとつ手前のバス停が近いが、いろいろ観察したいので。
3.
そそられない神庭尾根取り付き。
4.
植林の急斜面を上がる。
5.
尾根に上がりさっそく店開き。暖かいので上は長袖1枚に、下はタイツに半ズボンに着替える。手袋は綿なしでOK。
6.
すでにシューズが黄色い粉だらけなんだが。杉花粉?
7.
鹿よけネットを右にしながらの登り。
8.
9.
P925を過ぎて露岩があらわれる。踏み跡は左寄りについている。
10.
11.
鳥屋戸尾根に上がる、振り返って。前方は川乗橋に降る「登り尾尾根」方向、やや右から上がってきた。
12.
笙ノ岩山に着く。
13.
そのまま西尾根の下降に入る。標柱がにぎやかで意外。
14.
林業ピンテも下がっている。ただしco1170m付近で鍾乳洞方向へ下る尾根を右に分けると見なくなった。
(20230319追記)鍾乳洞へ下る尾根に標柱とテープ?の疑問が翌週のハイキングプランにつながる。
15.
16.
17.
co1000m付近。再度、鍾乳洞方向へ下る支尾根を右に見送り、
18.
笙ノ岩沢の出合いにへ向かうこちらを選ぶ。前後は人工物なし。
19.
見送った支尾根を横から、カメラの水準器をゼロにして。
20.
露岩に生える樹。どっちも達者でね。
21.
ひさしぶりに青テと赤い頭の境界標識、振り返って。
22.
境界標識のアップ、令和4年度にびっくり。
お「あなたGPS内臓なの?バッテリーはどうしてるんだろ?どうせならQRコードで谷までの下降路を表示してくれたりすると、ありがたいんだけどなあ」
オ「……」
23.
木口も鮮やかな伐採あとを降る。co870付近、ここでも支尾根を右にわけた。
24.
足元モロモロの激斜面を振り返る。
25.
色が変わってオレンジテープ。仕事道の下降路への分岐ではないかと疑いながら、しかしもう少し尾根末端を歩きたくてパスする。
26.
引き続きの下降した斜面を振り返る。ザレではなく砂状のモロモロ。
27.
右側の窪が幅広く、降りられそうだなと観察しながら。右中段、立木のあいだに倉沢谷の滝が写っている。
28.
尾根末端、正面はアセビの大ヤブで突っ込む気にならない。
29.
植林の窪へ降りて谷への下降路を探すことにするが(写真右の尾根から窪に降りつつ窪を見上げて撮影)、
30.
谷が真下。ハイカーが立つ位置と倉沢谷の標高差がありすぎる。見える範囲+想像の範囲はすべて崖。こりゃダメだな。
31.
窪から左上、アセビに阻まれてあきらめた尾根末端を見上げると微妙なところにビニテが下がっており、
32.
しばらくたどってみたが非常に悪く、元に戻る。尾根の末端に上がったところで谷に降りられるわけもなし。
33.
いったん尾根に上がりなおし、左=笙ノ岩沢寄りの植林帯を降ることに。標高を下げながら沢の上流に向かう踏み跡をゆく。
34.
笙ノ岩沢に降りる。下降した斜面を見上げて。
笙ノ岩沢の写真を撮り忘れたが、細い流れがある。
35.
倉沢谷は目前というか眼下、まだ7-8mの高度差がある。
36.
すったもんだして倉沢谷に降りる。
37.
最後に下降した窪を見上げて。写真右の灌木たちの世話になった。
(20230319のハイキングから追加)
右が笙ノ岩沢の倉沢谷出合い、滝になっている。左が下降した窪。
倉沢谷対岸の林道から撮影。
39.
倉沢谷を渡るとピッタリ正面に林道から谷への踏み跡あり、助かった。林道は石積みの擁壁の上にあるので、こうしたきっかけがないと上がれない。
40.
路肩の切れこみから林道に上がった。上流方向を写す。
41.
林道に上がった地点は、前の週に倉沢オキ尾根を下降し林道に降り立った場所とまったく同じだった。余談だが。
42.
上流に向かいながら、封鎖された倉沢鍾乳洞を対岸に眺める。2倍ズーム。(20230319追記)写真15同様、入洞口まで上がれるなら、続きの踏み跡があるのでは?の思いつきが翌週のハイキングプランになった。
43.
魚留橋の広場を過ぎ、
44.
棒杭尾根の取り付きを過ぎ、
45.
荒れた林道を歩く。右へ上がる尾根はP985へ向かうのだろう。倉沢谷を歩くなかではもっとも傾斜がゆるく、取り付きも容易そうだった。
46.
さらに崩落が進めば、高巻くか谷に降りないと通過できなさそう。
47.
林道終点に着く。道はまだ右岸に続いているが、桟道を谷に降りる。
48.
林班界標識から右の支沢に入る。「シオジ窪」だろうか。本流の長尾〈ナゴー〉谷は写真の左に続いている。
49.
晴天続き・残雪なしだから水量はごく少ない。小滝もなく「ガラ場をゆく」といった感じ。
50.
見えた。コブみたいなのが松岩ノ頭西尾根の末端。
51.
先ほどのコブはパスしてその先の小鞍部目指して上がろうとするも、
52.
石・岩がグズグズ、根っこでさえ抜ける。きちんとルートを見定めるべきだった、チェーンスパイクもつけときゃよかった、と後悔の1枚。下方を振り返って。
53.
頭の赤い木柱ではなく「木札」。昔の魚屋さんがマジックで値段を書き入れトロ箱にポイっと放りこみ値札にしてたようなやつ。
誰がなんの目的で・どこから来てどこへ行ったのか。驚愕の1枚。
54.
難場を切り抜けてほっとする。久しぶりにザックを下ろし休憩。
55.
天目山?を眺めながらお昼ごはんを終える。
56.
松岩ノ頭西尾根の歩きはじめ。
57.
58.
傾斜は緩急あり、ずいぶん岩屑の多い尾根。
59.
稜線まであとわずか。
60.
ピークの50m手前で石柱。登りはじめの標板(写真53)とこれを除いて人工物は見なかった。
61.
松岩ノ頭に着く。
62.
鳥屋戸尾根をわずかに下り、松岩尾根の分岐に着く。厳重にロープが張ってある。
63.
松岩尾根の歩きはじめ。
64.
立木に白ペンキの、ペンキがずいぶん剥げている。
65.
テープもあり。
66.
用心のためチェーンスパイクをつける。結果的に必要なかったし、つけるなら松岩ノ頭西尾根の取り付きだったな。
67.
ここにも標板。
68.
ひとつめの小ピークを乗り越している。下りの傾斜がかなりあった。
69.
ひとつめの小ピークを越えて小鞍部に着く。ふたつめの小ピークの左についている巻き道を撮っている。まんなか下に標板と左上にピンテ。
70.
同地点。ひとつめの小ピークを越えるまえ、左(写真だと右)に巻き道らしい踏み跡を見ながら直接乗りこし急斜面を降ったが、振り返れば踏み跡も小鞍部につながっていた。巻ける、登る必要なし。
71.
ふたつめの小ピークの巻き道を歩きだし、フッと振り返れば石積み。道があったんだ!
72
巻き道をたどる。右上がふたつめの小ピーク。
73.
「松岩」手前の鞍部に着くところ。
74.
鞍部に着けば、頭をはずされた標識の四角柱だけが残る。
75.
そして北面には踏み跡と赤テみっつ。下山可能な様子にほっとする。やや振り返り気味に撮影。
76.
「松岩」にとりかかる。往路は露岩をまっすぐ登った。さほど難しくはない。
77.
松岩のてっぺんと思われる場所にて。昭和のハイカーたちが岩に腰かけてお弁当を広げたのかな、などと想像しながら。北~北西を撮ったはず。
松岩の少し先まで行ったのだが、東日原17:30発のバスが頭にあり、おそらく崖なのだろう突端は確認していない。
78.
戻り道の途中にて。
79.
もういちど、往路に登った露岩と、
80.
復路にたどった北面の巻き道?獣道?を振り返る。崖っぷちをゆき高度感がある。
81.
写真75から下降を開始する。直後に鞍部を振り返って。鞍部で滑り止めは外した。
82.
路肩を伐採木で土留めした跡が残る。写真71とあわせて、むかしの径路のかなりor部分をレストアした道のように思えた。
83.
高度を下げながら、詳細図によれば「桂谷」の上流へむかい、
84.
木橋を渡り、折り返して下流方向へ。
85.
左上に林班界標識。
86.
このあたり、「離岩」方向の眺めが見事。本文中に動画を添えた。
87.
桟道と、巡視路にしてはトラロープが多い印象。写真を撮り忘れたが小尾根の突角で高度を2-3m下げる場所にはトラロープと錆びたワイヤーロープが下がっていた。
88.
89.
90.
塩地谷をはさんで川乗林道が見える。鳥屋戸尾根のむこうにもシオジ窪と塩地谷、ややこしいな。
91.
谷の渡渉は問題なく、川乗林道に上がる。
92.
林道を歩く。「ピンテが落ちている」のではなく「路面に打ってある」。
93.
お「オルソくん、ミーティングだ。川乗林道は通行止めなんだ。日曜だがもし仕事をしている職人さんに会ったら、だな。おじさんはひたすら恐縮して頭を下げるから。きみも『ゴメンなさい』って悲しげな顔をするんだ。『自転車泥棒』のブルーノ少年みたいに」
オ「……」
94.
本文に記したとおり、ワサビ田の手入れを終えた軽トラに拾ってもらう。工事現場は徒歩、現場の上流と下流で車の乗り換えがある。
95.
ありがとうございました!




