行程・コース
天候
1日目:曇り 2日目:晴れ
登山口へのアクセス
バス
その他:
往路:塩山駅からバスにて西沢渓谷入口
復路:毛木平から梓山バス停まで徒歩1時間半、川上村営バスで信濃川上駅へ
この登山記録の行程
【1日目】
西沢渓谷入口(09:35)・・・近丸新道入口(09:53)・・・徳ちゃん新道入口(09:59)・・・合流点[休憩 20分](11:57)・・・木賊山(13:53)・・・甲武信小屋(14:10)
【2日目】
甲武信小屋(05:38)・・・甲武信岳[休憩 10分](06:00)・・・三宝山[休憩 10分](06:36)・・・大山[休憩 20分](08:46)・・・十文字小屋[休憩 30分](09:31)・・・毛木平(11:21)
高低図
標準タイム比較グラフ
登山記録
行動記録・感想・メモ
甲州から入り、武州の最高峰を経て、信州に下るコースを歩いた。その要は奥秩父の名峰、甲武信岳。笛吹川(富士川)、荒川、信濃川(千曲川)の源流で、麓の紅葉、シラビソやコメツガの深い森、時折開ける展望、林床の苔と霧に包まれいぶし銀のような味わいだった。
<天気予報が外れて少々残念>
出発直前まで、どこに行くか迷っていた。この時期、丹沢は捨てがたい。いや、まだ鳳凰三山にも登れるのではないか?しかし天気予報や、公共交通機関(10月も下旬になると季節運行のバスがなくなる)でのアクセスを考えて、甲武信岳を選んだ。決め手は、天気予報できっぱりと晴れマークが続いていたこと。ところが、あれほどきっぱりと、何の迷いもないかのような晴れマークだったはずが、西沢渓谷についてみると曇り、山にはガスがべったりとまとわりついている。曇天に紅葉の彩りもややさめて見えるが、登山口目指し進む。
<紅葉の広葉樹、シャクナゲ、そしてシラビソの林と苔の世界へ>
徳ちゃん新道は、登りごたえがある。登り口から標高1700mあたりまでは紅葉、2000mあたりからはシラビソ、コメツガなどに植生が移り変わり、林床を苔が覆う奥秩父らしい落ち着いた景色になる。標高を稼ぐに連れて霧がいよいよ濃くなり、木の梢からは雨ならぬ、霧を集めた下露が降る。これはこれで味わい深く、自分の奥秩父のイメージ通りだ。
展望のない木賊山を行き過ぎて、本日の宿、甲武信小屋に到着。いわゆる昔ながらの山小屋という風情。食事も最近の贅沢になったそれと比べると質素で、例えて言うと梅干一個でどんぶり一杯のご飯を食べる感じ。決して悪口のつもりではない。カレーライスは美味しかったし、デザートもつく。トイレも水洗の清潔できれいなものだ。有名なオーナーさんは不在で、ちょっと残念。
平日にもかかわらず(平日だからか)団体客がふたグループも入っていて、個人客はなんとなく肩身が狭い。布団は2枚を3人で分ける程度の混雑。小屋で一休みしていると、外が少し明るい。霧が晴れると読んで甲武信岳山頂へ向かうと、しばらくの間だったが青空も広がり周囲の山も見渡せた。
<深い森から時折現れる岩と展望>
翌未明には満天の星空、5時に朝ごはんをいただいて、出発。夜明けの頂上からは、ご来光と富士山、南アルプス、八ヶ岳、これから登る三宝山が見渡せる。風もなく素晴らしい天気だ。三宝山(埼玉県最高峰)までは苔に覆われたコメツガやシラビソのいかにも奥秩父といった風情の樹林帯を行く。行き違う人もほとんどなく、静かな山旅が楽しめた。コースは全般に針葉樹林帯だが、武信白岩山、大山はそれぞれ立派な岩峰で、ちょっとした鎖場もあり適度に変化がある。こうしたピーク付近に限られるが、樹冠から突き出た岩峰からのたまの展望が素晴らしい。
シャクナゲも多く見られ、なるほど花の季節は素晴らしいだろう。十文字小屋は、甲武信小屋と同じ経営でこちらも昔ながらの良い雰囲気の小屋。とれたての美味しいきのこ汁と、甲武信小屋で用意してもらったちらし寿司をいただく。よく晴れて静寂に包まれている。風が立つと、カラマツの葉がハラハラと降り注いでくる。このまま下山するのが、とても惜しくなる。小屋番さんに6月初旬のシャクナゲの素晴らしさをお話ししてもらう。
信州と武州を往還したという江戸時代以来の交易路だった道を、毛木平まで下る。広葉樹とカラマツの黄葉が晴天に映えて美しい。信濃川上駅行きのバスが出る梓山までは、毛木平から1時間半ほどの歩きだが、山で行き交った方に車に乗せていただき、大変助かった。ありがとうございました。
<逆コースや千曲川源流を遡るコースも良さそう>
甲武信岳は、毛木平から千曲川源流をたどるコースも取れ、シャクナゲも素晴らしそうで、一度では味わい尽くせない魅力的な山だった。当初は帰りに西沢渓谷の紅葉と滝巡り、お風呂も考えて毛木平→西沢渓谷のコースも検討したが、公共交通機関の運行の関係で入山時間が遅くなってしまうので今回は断念。マイカー利用なら毛木平からの逆コースも良さそう。公共交通機関でも十文字小屋泊とすれば、逆コースが組めるのではないか。
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