カタクリ、シラネアオイなど花々彩る天空の稜線歩きを満喫 新潟県佐渡島・ドンデン山~金北山縦走

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※緊急事態宣言による外出自粛要請が出ている状況ですが、来年以降の登山の参考のため、また、外出ができないなかでも山行の楽しみを記事を読んで感じていただければと思います。

日本海に浮かぶ新潟県・佐渡島。ドンデン山から最高峰の金北山への縦走路は花の宝庫です。

マトネ付近から見る金北山へと続く縦走路(写真=奥谷晶)

佐渡島の最高峰は標高1172mの金北山(きんぽくさん)。遮るもののない日本海に浮かぶ島の特性から、冬はシベリアからの北風をまともに受ける厳しい気候で、本州の2000m級の山に匹敵します。

しかし雪解け期には、低山ながら、本州の高山に咲く花と同じ種類の花々が次々と開花する花の山に変貌し、変化に富むトレッキングを楽しめるのが魅力です。

モデルコース:アオネバ登山口~マトネ~金北山~白雲台

 

行程:
1日目:アオネバ登山口〜ドンデン山荘(計3時間)
2日目:ドンデン山荘〜金北山〜白雲台(計6時間)

⇒金北山周辺の地図

花咲く日本海の島へ

2017年5月13日~14日、13日雨、14日晴れのち曇り。日本海に浮かぶ佐渡島にあって、花であふれる天空の尾根道、ドンデン山から佐渡島最高峰・金北山を踏破し、白雲台へ降りる縦走路を歩いてきました。

新潟港より高速船で両津港へ、そこからバスでアオネバ登山口へ着くころには、雨が降り出してしまいました。登山口からニリンソウ、タチツボスミレ、ヒトリシズカ、イワカガミなどの群生がいたるところで見られます。シラネアオイもちらほらと見え始め、アオネバ十字路への急登部分では、両側に咲き並んで登山者を迎えてくれました。残念ながら雨に濡れ、花びらがうつむき気味なのは仕方がないところ。この日はドンデン山荘に一泊。ツアー客で大賑わいでした。

カタクリ(写真=奥谷晶)

翌朝、金北山への縦走路へ向かいますが、霧が晴れて予想外の青空が見えはじめました。金北山縦走路入り口から標高937mのマトネへ向かいます。灌木帯の登山道をぬけて、マトネからは開けた起伏のあるザレ場や草原状の縦走路が続きます。稜線からは両津湾が見下ろせ、展望も抜群、カタクリの群生がいたるところで咲き誇り、要所にはシラネアオイの元気な姿も見ることができました。真砂の芝生と呼ばれる芝草原ではエチゴキジムシロの群落が咲き始めていました。

稜線の芝草原に咲くエチゴキジムシロの群落(写真=奥谷晶)

金北山頂上へ近づくにつれ、残雪も増え、雪渓の横断や、雪面をトラバースする箇所もあります。ストックと軽アイゼンなどがあれば安心です。このときは、一部には急峻なところも。ステップが切られたり、トラロープが設置されて整備されていましたが。道迷いには気をつけたいところです。

頂上への最後の斜面には雪渓が残る。要注意のトラバース(写真=奥谷晶)

金北山頂上には金北山神社があり、展望は抜群です。山頂は中高年のグループなど多くの登山客でにぎわっていました。白雲台へは主に車道歩きとなり、防衛省管理ロードを通過します。(事前の許可が必要ですが、電話で済ませることができました。)

頂上にはレーダー基地跡と金北山神社がある(写真=奥谷晶)

車道沿いにもシラネアオイの群落がいくつもみられ、飽きることはありませんでした。

白雲台への下山路にもシラネアオイの群落が多い。大輪の花が見事(写真=奥谷晶)

 

プロフィール

奥谷晶

30代から40代にかけてアルパイン中心の社会人山岳会で本格的登山を学び、山と溪谷社などの山岳ガイドブックの装丁や地図製作にたずさわるとともに、しばらく遠ざかっていた本格的登山を60代から再開。青春時代に残した課題、剱岳源次郎尾根登攀・長治郎谷下降など広い分野で主にソロでの登山活動を続けている。2013年から2019年、週刊ヤマケイの表紙写真などを担当。2019年日本山岳写真協会公募展入選。現在、日本山岳写真協会会員。

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