花と新緑を訪ねて。春から登れる百名山【東京周辺】

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登山シーズンが始まる春。高山はまだまだ雪の季節だが、すでに登山適期を迎えている日本百名山もある。雪山登山の経験がなくても今すぐ登れる百名山を紹介しよう。

構成=山と溪谷オンライン、イメージ写真=PIXTA

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春の百名山登山は、雪の少ないエリアの低い山を選ぼう

街は桜の季節。雪山登山をしない人には、待望の登山シーズンの始まりだが、高山はまだまだ雪に閉ざされている。春に日本百名山を登るなら、雪が少ない地方の、比較的標高が低い山を選ぼう。東京起点で考えると、関東地方や山梨県、静岡県などの山がおすすめ。標高でいえば、2000m未満の山なら雪山登山の経験がなくても登りやすい。逆に、夏は気温が高すぎることも多いので、春から初夏にかけて登る方がいいくらいだ。

今回、関東エリア起点で初級者も楽しめる比較的登りやすい山を集めてみた。また、初級者でなくても冬の間登山から遠ざかってしまっていた人のウォーミングアップにもぴったり。春の花を楽しみながら百名山の登頂記録を積み上げていこう。

 

筑波山(つくばさん/茨城県/877m)。歴史薫る展望の名山

標高1500m以上を基準に選定された日本百名山のなかで、例外的に低いのが関東平野の北にそびえる筑波山だ。しかし、『日本百名山』の著者・深田久弥(ふかだ・きゅうや)は異論が出ることも覚悟で、この山を百座の一つに加えた。その理由は歴史が古いことにある。『常陸国風土記』に記された伝承や、古代から民衆がピクニックを楽しんだ山であること、『万葉集』に収められた高橋虫麻呂の和歌をはじめ、詩歌や絵画といった芸術活動の題材になったことも選定の理由になっている。

関東平野に住む人にとっては、筑波山は茨城のランドマーク的存在だ。裾野を平野に広げたおおらかな双耳峰は東京の街からもよく見えるが、JR常磐線や東北本線、あるいは常磐道や東北道といった自動車道から移動しながら眺めると、角度によってその姿は大きく姿を変える。ちなみに深田久弥は東北本線からの眺めが気に入っていたようで、「その姿が、一番美しく眺められるのは、間々田と小山の間である」(『日本百名山』)と述べている。現在、東京から筑波山へのアクセスは「つくばエクスプレス」が便利だが、筑波山を西側から見る機会があったら、深田のお気に入りの眺めを堪能しよう。

筑西市・母子島(はこじま)遊水池から望む満開の桜と筑波山(写真=PIXTA)

なお、山頂に登ると逆に関東平野を一望できる大展望が待っている。花の多い山でもあり、春のカタクリやニリンソウ、初夏のツツジをはじめとして、さまざまな季節の花が楽しめるのも魅力だ。

初夏を彩るツツジ(写真=アッコちゃんさん

行程・コース

最適日数:日帰り 3時間58分
総歩行距離:6,878m /上り標高: 866m 下り標高: 866m
行程:筑波山神社入口バス停(08:00)・・・筑波山神社(08:15)・・・中茶屋跡(08:55)・・・男女川源流の湧水(09:15)・・・御幸ヶ原(09:45)・・・男体山(10:00)・・・御幸ヶ原(10:10)・・・女体山(10:30)・・・弁慶茶屋跡(11:00)・・・酒迎場(11:40)・・・筑波山神社入口バス停(11:58)
高低図
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