長野県内は入山注意報発表中。登山者への5つのお願いをご確認ください 島崎三歩の「山岳通信」第189号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2020年6月4日に配信された189号では、新型コロナウィルス感染拡大防止のための公道を、登山者に促す情報を提供し、協力を呼びかけている。

 

6月4日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第189号では、期間中に起きた1件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 5月23日、戸隠連峰高妻山で、単独で入山した55歳の男性が、下山中に滑落して負傷、行動できなくなる山岳遭難が発生。翌24日に、男性は捜索中の県警ヘリにより発見され、無事救助された。

高妻山の滑落遭難現場の様子/長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)5月25日付

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

5月4週は、県内で1件の山岳遭難が発生しました。長野県では、できるだけ身近な地域にとどまる「STAY信州」が呼び掛けられています。近隣の里山を調べてみると、あらためて地元の良さや、意外な一面に気がつくことがあると思いますが、入山者が少ないルートは道が荒れていたり、不明瞭であったりする場合がありますので、しっかりとした下調べが必要です。

また、外出自粛により、体を動かす機会が少なかったこともあり、体力や筋力が落ちていると思われるため、身近な里山登山を計画する場合でも、事前に無理のない範囲でトレーニングを行い、体力面や筋力面のほか、往復時間等を考慮し、最初は難易度の低い山を選ぶようにしましょう。
更に、里山であってもしっかりと計画を立て、装備品や行動食の点検を行い、天候チェックも忘れずにお願いします。少しずつゆっくりと、無理のない計画と行動を心掛け「安全登山」の感覚を再確認していきましょう。

5月5週は、県内で山岳遭難の発生はありませんでした。長野県の多くの山小屋では、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、営業予定や方法を変更しています。入山前には必ず最新の情報を確認するとともに、少しでも体調に不安がある場合には、登山を中止にしましょう。

さて、今一度、登山の計画について考えてみましょう。まず長野県は、登山者への五つの「お願い」として、

  • ①体調に不安がある場合は絶対に入山しない
  • ②山小屋・テント場の営業確認、事前予約の徹底
  • ③十分に難易度を落とした山選び
  • ④混雑を回避する登山計画による行動
  • ⑤感染予防グッズ(消毒液、体温計、マスクなど)を携行し、ごみは持ち帰る、

ことを呼び掛けていますので、これに沿った計画をお願いします。

またこのほかにも「道路の交通規制情報や公共交通機関の運行状況の確認」「登山口の駐車場の有無」「天候と登山道状況のチェック」「装備品と行動食などの点検」「トラブル発生時における対応要領の確認」などがあげられ、作成した登山計画書は必ず提出するとともに、家族等にも渡しておきましょう。

登山中の新型コロナウイルス感染拡大を防ぐため、登山者の皆さんが入念な下調べによって計画を立てることは、必ず山岳遭難防止にもつながるはずですので、あらためて、登山計画の立て方を見直してみましょう。

 

長野県内入山注意報発表中

長野県では、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため「入山注意報」を発表しています。 6月以降、これまでの登山シーズンとの大きな違いは――

  • ①山岳における救助活動は、必要に応じて感染防止対策を講じた上で出動するため、通常より救助に向かう時間を要する。
  • ②多くの山小屋が例年より営業開始時期を遅らせているため、相談・休憩・避難・環境維持としての機能が低下する。

となっています。

また、以下の資料の通り、入山自粛エリアと、入山注意区域を発表しています。「入山注意」山域へ入山する際は、「登山者への5つのお願い(PDF)」を守ってください。

「登山者への5つのお願い」は以下の動画もご参照下さい。

 

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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