夏の終わりの至仏山に登り、群馬県上牧温泉大峰館で温泉・地酒・地ビールを楽しむ

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ひとり気ままに山と温泉を楽しむ温泉登山。登山前後に泊まりたい至福の温泉宿を紹介します。第8回は至仏山の下山後にくつろぎたい上牧温泉。

写真・文=月山もも

尾瀬の西側に位置する至仏山は、日帰り登山も可能な山ですが、山の鼻に1泊するとゆったりと楽しむことができます。今回はテント泊で、尾瀬ヶ原と至仏山を歩いてきました。

沼田駅からバスを乗り継いで、お昼頃に登山口の鳩待峠に着きます。鳩待峠から1時間ほど歩いて、初日は山の鼻キャンプ場にテントを設営。その後は人の少なくなった尾瀬ヶ原を散策して楽しみました。日のあるうちにテントに戻ってきて夕食を作り、早めに就寝します。

  

翌日は早朝に濃い霧の中を歩き始めます。滑りやすい蛇紋岩の登山道を登っていくと、標高をあげるほどに視界がよくなり、振り返ると美しい尾瀬ヶ原を眼下に眺めることができました。

 

山頂の手前に「高天原」と呼ばれる木道歩きのエリアがあり、その名の通り天国のように美しい場所だなといつも思います。山頂に着く頃には周囲は雲に包まれてしまいましたが、小至仏山を経由し、雨には降られずに鳩待峠に戻ってきました。

鳩待峠からは乗合タクシーで尾瀬戸倉へ。バスに乗り換えて沼田駅に着くと、上越線に乗って2駅先の上牧駅で下車します。

 

駅からは美しい利根川の流れを眺めつつ歩くこと10分、本日のお宿、上牧温泉大峰館に着きました。以前も別の季節に泊まったことがあり、今回が2度目の宿泊です。
 
気さくな女将さんに出迎えられ、部屋に案内していただきます。トイレ・洗面付きのきれいな和室で、到着時から布団が敷いてありますが、1人なのでそれでも十分にスペースがありました。

夕食の前に、もちろん温泉へ!
 
大峰館の敷地内から湧き出る源泉は、湧出温度が43度と絶妙で、加水・加温などの必要なく、湧き出たばかりの新鮮な源泉を1年中楽しむことができます。内湯は石造りの清潔な浴室で、42度ぐらいのぴりっと熱めのお湯でした。

併設の露天風呂は広くはありませんが、こちらもほんのり硫黄の香りのする源泉がかけ流されています。内湯よりややぬるめの露天風呂にゆっくりと浸かると、テントを担いで疲れた体もほぐれていくようでした。

お風呂からあがって一休みしたら夕食です。食事処に用意していただきました。

まず、注文したのは地ビールの「月夜野ピルスナー」の生ビールです。飲めるお店があまり多くない、ちょっと珍しい地ビールだと思います。群馬県産の麦芽を使ってみなかみ町で醸造されたビールは、お風呂上がりにぴったりのすっきりとした飲みやすい味わいでした。

お刺身は山の近くの宿らしくニジマスと湯葉、そしてこんにゃくです。ニジマスは群馬の特産「ギンヒカリ」だそうです。こんにゃくのつるりとした食感が夏らしくてうれしいですね。上州牛はかぼちゃや玉ねぎと一緒に、七輪で熱した石の上で焼いていただきました。

ビールがなくなったところで、日本酒をいただきます。「谷川岳」の純米大吟醸の1合瓶を。ほのかに甘みのある上品な味のお酒でした。
大峰館では1合でいただける日本酒の種類が多いのもうれしいポイントです。前回泊まったときは「水芭蕉」のスパークリング日本酒をいただいたのですが、シャンパンのような強烈な炭酸で、こちらも大変おいしかったです。

岩魚の塩焼きや夏野菜の天ぷらをつまみにお酒をいただきます。
初めて宿泊したときは5月だったので、山菜や筍などを使った料理でしたが、今回は夏野菜をメインでメニューもあちこち変わっていて、旬の食材を楽しむことができたのもうれしかったです。

最後は炊き込みご飯と、吸い物がわりの冷たいうどん、デザートもいただいて、ごちそうさまでした!

翌日は朝の光の溢れる浴室で、朝風呂をいただいてから、朝食会場へ向かいます。

大峰館の源泉は飲泉も可能で、朝食では「温泉卵」「温泉水を使った湯豆腐」「温泉粥」と、自慢の温泉水を使用した料理がいくつも並びます。特に「温泉粥」は、クコの実が入っていてお米の甘みも感じられ、優しい味で大変おいしかったです。

朝食後は、サービスのコーヒーをいただき、チェックアウト時間ギリギリまで部屋でのんびりします。2度目の宿泊も、極上の温泉とおいしい料理に癒やされたすばらしい時間でした。
上牧温泉は、尾瀬のほかに谷川岳の帰りにも立ち寄りやすい場所にあります。また、大峰館の周辺では、6月から7月ごろには蛍を観賞することもできるとのこと。次回は私も、蛍を眺められる季節に行きたいなと考えています。​

(取材日=2019年8月下旬、2020年7月上旬)

*掲載情報は、取材時の内容です。

大峰館

料金:1泊2食付き/1室1名15550円~、1室2名13350円~
住所:〒379-1311 群馬県利根郡みなかみ町石倉229
電話:0278-72-3329
HP:http://www.oominekan.jp/

 

プロフィール

月山もも

山と温泉を愛する女一人旅ブロガー。山麓の温泉宿を一人で巡るうちに「歩いてしか行けない温泉宿」に憧れを抱き、2011年から登山を始める。ゆるハイクから雪山登山まで、テントも一人で担ぐ単独登山女子。 ブログ「山と温泉のきろく」https://www.yamaonsen.com/に、温泉と登山のすばらしさについて綴っている。山と温泉に魅せられる人を増やすことが、人生のよろこび。著書に『ひとり酒、ひとり温泉、ひとり山』(KADOKAWA)。

ひとり温泉登山

山と温泉を愛する月山ももさんによる月1連載。登山前後に入りたい極上の温泉宿をご紹介します。

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