北アルプスでは多くの山小屋が営業期間外、慎重な計画と行動を 島崎三歩の「山岳通信」第205号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2020年10月28日に配信された第205号では、標高の高い山では積雪があり、山小屋などの施設は既に営業期間を終了しているところが大半となっており、慎重な計画と行動が必要となることを伝えている。

 

10月28日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第205号では、期間中に起きた6件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 10月18日、北アルプスの奥穂高岳で、単独で入山した59歳の男性が、奥穂高岳を登山中に何らかの原因で行動不能となる山岳遭難が発生。男性は死亡が確認された。

  • 10月21日、八ヶ岳連峰の高見石で、家族と2人で入山した64歳の女性が、白駒池登山口から入山して高見石付近を登山中に転倒、負傷する山岳遭難が発生。女性は県警ヘリで救助された。

八ヶ岳連峰・高見石の遭難現場/長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)10月26日付

  • 10月24日、大町市常盤の鍬ノ峰で、2人パーティで入山した68歳の男性が、鍬ノ峰山頂から下山中にスリップして転倒、左足を負傷する山岳遭難が発生。男性は大町警察署山岳救助隊員及び北アルプス北部地区山岳遭難防止対策協会大町班救助隊員により救助された。

  • 10月24日、北アルプスの大天井岳で、単独で入山した37歳の男性が、燕岳から大天井岳へ向けて縦走中に疲労および日没と天候不良のため行動できなくなる山岳遭難が発生。男性は北アルプス南部地区山岳遭難防止対策協会救助隊員により救助された。

  • 10月24日、北アルプスの涸沢で、単独で入山した44歳の男性が、横尾から涸沢に向けて登山中に疲労と悪天候により行動ができなくなる山岳遭難が発生。男性は県警ヘリで救助された。

北アルプス・涸沢での遭難現場/長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)10月26日付

  • 10月25日、北アルプスの北穂高岳で、単独で入山した60歳の男性が、何らかの原因で行動できなくなって登山道で倒れているところを発見され、県警ヘリで救助されたものの死亡が確認さた。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

10月4週は6件(10月18日奥穂高岳の遭難を含む)の遭難が発生しました。県内の標高の高い山では、既に積雪があり、厳しい寒さとなっており、雪に覆われていない岩稜帯でも、凍結して非常に滑りやすくなっているため、アイゼンなどの冬山装備が必要です。

北アルプス等の山域では、多くの山小屋が今季の営業を終了し、冬に向けて小屋閉めをするため、入山する場合は、事前に営業期間やテント設営などについて確認しましょう。また、山小屋の営業終了により、体力不足や天候不良による行動不能は、ビバークを余儀なくされますので、ツェルト・非常食・ヘッドランプなどの装備品を必ず携行するとともに、慎重な計画と行動に努めましょう。

なお、県内では熊の目撃や負傷事案が発生しています。行動中は鈴やラジオなどを携行し、テント場では、食料やゴミなどを外に放置することのないようにしましょう。

長野県では、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため「長野県内入山注意報」と、「登山者への5つのお願い」を発表しています。登山者の皆さんは、十分にレベルを落とした山域を選び、感染防止対策にご協力をお願いします。

 

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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