年末年始の登山では、天気予報と山域ごとの天候リスクの確認の徹底を。島崎三歩の「山岳通信」第209号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2020年12月24日に配信された第209号では、期間中にあった遭難事故はいずれも八ヶ岳連峰で、寒波による悪天候で遭難となった事故に言及し、天候リスクについて改めて注意喚起している。

 

12月24日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第209号では、期間中に起きた3件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 12月13日、八ヶ岳連峰の横岳で、アイスクライミングのために3人パーティで入山した61歳の男性が、横岳裏同心ルンゼ付近でアイスクライミング中に滑落し、腰を負傷して行動ができなくなる山岳遭難が発生。男性は県警ヘリで救助された。

  • 12月15日、八ヶ岳連峰の天狗岳で、2人パーティで入山した48歳の男性および52歳の女性が、天狗岳擂鉢池付近で道に迷い、行動不能となる山岳遭難が発生。翌16日に県警山岳遭難救助隊員、諏訪地区山岳遭難防止対策協会救助隊員が出動して2人を救助したものの、女性の死亡が確認された。

  • 12月19日、八ヶ岳連峰の天狗岳で、単独で入山した66歳の男性が、唐沢鉱泉から天狗岳へ向けて登山中に道に迷い、行動不能となる山岳遭難が発生。諏訪地区山岳遭難防止対策協会救助隊員が出動し、男性を救助した。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

11月4週、12月1週は0件、2週は1件のアイスクライミング中の山岳遭難が発生。3週は2件の山岳遭難が発生し、3名が遭難、うち1名が死亡しています。遭難した山域はいずれも八ヶ岳連峰で、悪天候により行動不能になっています。

長野県内も3週は寒波の影響により、大雪となった地域があり、山岳エリアも大荒れの天候となりました。県内の標高の高い山域では、一旦天候が崩れると、10メートル先も見えない猛吹雪になり、低体温症による行動不能のリスクが非常に高くなります。年末年始に登山を考えている方々は、天気予報を必ず確認するとともに、山域ごとの天候リスクもあわせて確認しましょう。また、計画の際には、自身や仲間の力量に見合った、ゆとりある計画を立てましょう。

長野県では、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため「長野県内入山注意報」と、「登山者への5つのお願い」を発表しています。登山者の皆さんは、十分にレベルを落とした山域を選び、感染防止対策にご協力をお願いします。

 

令和2年冬山情報配信中

長野県警察では、長野県内の冬山での活動での注意点などをまとめた、「令和2年冬山情報」を今年も発表した(PDF)。本ドキュメントには、冬山で遭難しないための心構えや準備、各山岳地域の情報のほか、近年とくに増加傾向にあるバックカントリースキー中の遭難事例について詳しく説明している。

また、「信州 山のプロフェッショナル」の髙梨光さん(HAKUBAVALLEY TOURISM代表理事)へのインタビューなど、冬山での活動のためになる情報が多数掲載されている。

 

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

⇒バックナンバーはコチラ!

島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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