安達太良山で「ほんとの空」のした雪山を歩き、岳温泉扇やであだたらの湯を満喫する

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ひとり気ままに山と温泉を楽しむ温泉登山。登山前後に泊まりたい至福の温泉宿を紹介します。第14回は安達太良山を日帰りで登り、岳温泉へ。

写真・文=月山もも

福島県中部にある安達太良山は紅葉が美しいことで知られますが、通年営業している山小屋もあり、積雪期の登山も楽しめる山です。
二本松駅からあだたら高原スキー場まで、冬の間は土日祝日限定で路線バスが運行しているため(2021年は3月14日まで)このバスを利用してスキー場に向かいます。

 

抜けるような青空の下、スノーシューハイク

今回は日帰り登山のため、上りは途中までスキー場のリフトを利用しました。
リフトを降りて歩き始めると、積雪が多く踏み抜いてしまうため、スノーシューを装着します。

抜けるような青空と雪の白のコントラストが美しいです。
安達太良山は、高村光太郎の詩集「智恵子抄」で空の美しさが語られることでも有名ですが、冬の澄んだ空気の中で見上げた青空は目を見張るほどに美しく、これが「ほんとの空」なんだなと思いながら目に焼き付けました。

山頂周辺もまったく風のない最高のコンディション!周辺の山々の絶景を楽しんだ後はくろがね小屋を経由してスキー場へ戻ります。

下山途中には雲海が見え、最後まで目を楽しませてくれました。
この後はスキー場からバスで20分ほどのところにある、岳温泉に向かいます。

 

黒糖まんじゅうをいただき、ホッとひと息

今回宿泊するのは岳温泉の「あだたらの宿扇や」です。

1人で過ごすには十分すぎるほど広いお部屋に案内していただき、煎れていただいたお茶を飲みつつひと休み。お茶うけの黒糖風味のおまんじゅうがおいしかったです。

 

安達太良山の源泉地から引き湯した美肌の湯

岳温泉の源泉は、安達太良山のくろがね小屋近くにある源泉地から温泉街まで8kmという長い距離を引き湯しています。高温の源泉が温泉街まで流れてくるまでに自然と湯もみされて入浴に適した温度まで冷めるので、水を足すことなく、源泉100%のお湯を楽しめるのだそうです。

まずは内湯にのんびりと浸かり、美肌効果も期待できるというph2.5の酸性泉を楽しむことに。女湯の内湯には雰囲気ある円形の浴槽と、長方形の浴槽があります。

長方形の浴槽は深さ35cmと浅めに作られており、半身浴や寝湯をして長湯するのにちょうど良かったです。

大浴場には露天風呂も併設されています。冬のひんやりとした空気の中で浸かるあだたらの湯は格別でした。

露天風呂の周りには、数日前に降った雪が少し残っていました。降雪直後の宿泊であれば、さらに雪見風呂気分が盛り上がるでしょうね。

お風呂上がりには、フロントの前にある「湯上がり処ゆあみ」へ。滞在中、コーヒーやお茶をいただくことができます。

テーブルの上には野の花があしらわれ、何か懐かしい気持ちを感じながら、淹れたてのコーヒーをゆっくりと味わいました。

 

福島産の「えごま」を使った料理が印象的

夕食は1階の食事会場でいただきます。席と席の間には十分な距離があって衝立も置かれているので、1人でも人の目が気になることもなく、ソーシャルディスタンスという意味でも安心感がありました。

まずはお酒がすすみそうな前菜の盛り合わせと食前酒のりんご酒、そして料理長特製のえごまだれでいただくえごま豆腐が提供されます。このえごま豆腐がとろりと濃厚で大変おいしかったです。

予約した「一人旅応援プラン」の特典で夕食時にグラスの生ビールかグラスワイン、もしくはソフトドリンクが1杯ついていました。生ビールをいただき、喉を潤します。

ビールの後は、二本松市の地酒3種類を一度に味わえる「飲みくらべ利き酒セット」を注文。メイン料理の陶板焼きと一緒にいただきます。

今回予約したプランでは、メイン料理は牛肉や海鮮の陶板焼き、しゃぶしゃぶなど6種類の中から予約時に選択します。私は「鴨肉のゆず味噌陶板焼き」を選びました。やや甘めの味噌と旨みの強い鴨肉が、地酒によく合います。

揚げ物は大好きな山菜の天ぷら!抹茶塩でいただきました。

春の息吹を感じられるメニューで、山菜のほろ苦さでますますお酒が進んでしまいますね。

〆のご飯は鮭といくらの親子ごはん。デザートも手がかかったもので大変おいしかったです。

翌朝も食事会場で朝食をいただきます。

サラダのえごまドレッシングがとてもおいしかったのが印象的でした。福島県はえごまの産地なのだそうですね。

食後にコーヒーをいただき、チェックアウトの時間までのんびりと過ごします。冬の安達太良山と温泉を満喫できた、すばらしい旅でした。

 

*紹介した食事、サービスは2020年1月取材時の内容です。
 

岳温泉 あだたらの宿 扇や

料金:1泊2食付き/1室1名20,000円~、2名16,000円~
住所:〒964-0074 福島県二本松市岳温泉1-3
電話:0243-24-2004
HP:http://www.oogi-ya.co.jp/

 

プロフィール

月山もも

山と温泉を愛する女一人旅ブロガー。山麓の温泉宿を一人で巡るうちに「歩いてしか行けない温泉宿」に憧れを抱き、2011年から登山を始める。ゆるハイクから雪山登山まで、テントも一人で担ぐ単独登山女子。 ブログ「山と温泉のきろく」https://www.yamaonsen.com/に、温泉と登山のすばらしさについて綴っている。山と温泉に魅せられる人を増やすことが、人生のよろこび。著書に『ひとり酒、ひとり温泉、ひとり山』(KADOKAWA)。

ひとり温泉登山

山と温泉を愛する月山ももさんによる月1連載。登山前後に入りたい極上の温泉宿をご紹介します。

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