雪崩事故が頻発! リスクの事前確認と、技量に見合った計画の徹底を。 島崎三歩の「山岳通信」第217号
長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2021年3月18日に配信された第217号では、期間中に雪崩事故が頻発したことについて言及。計画する山のリスクと、自身および仲間の技量に計画が見合っているかを、事前に慎重に確認することを呼びかけている。
3月18日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第217号では、期間中に起きた4件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。
3月11日、松本市の三才山で、単独で入山した22歳の男性が、三才山周辺を登山中に道に迷い、一時行方不明となる山岳遭難が発生。男性は、その後自力で下山した。
3月14日、中央アルプスの千畳敷で、4人パーティで入山した40歳の男性が、八丁坂付近を登山中に雪崩に巻き込まれて軽傷を負う山岳遭難が発生。駒ヶ根警察署員及び中央アルプス地区山岳遭難防止対策協会救助隊員が出動して、男性を救助した。
3月14日、北アルプスの乗鞍岳で、3人パーティで入山した3名(49歳、49歳、41歳の男性)らが、乗鞍岳位ヶ原付近を登山中に雪崩に巻き込まれ、1名(49歳)が意識不明の重体、2名(49歳、41歳)が軽傷を負う山岳遭難が発生。長野県警察山岳遭難救助隊員及び北アルプス南部地区山岳遭難防止対策協会救助隊員が出動して遭難者らを救助したものの、意識不明となっていた男性(49歳)の死亡が確認された。
3月14日、八ヶ岳連峰の天狗岳で、ツアー登山に参加していた72歳の女性が、天狗岳山頂から下山中、東天狗付近でアイゼンを引っかけて転倒、負傷して行動不能となる山岳遭難が発生。諏訪地区山岳遭難防止対策協会救助隊員及び県警ヘリが出動して女性を救助た。
長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイ
3月2週は4件の山岳遭難があり、うち2件は雪崩遭難で、1人が死亡、3名が負傷しています。登山やバックカントリーで立ち入るエリアは、管理された場所では無いため、雪崩や滑落など、常に危険と隣り合わせである認識が必要です。そのため、行動中の危険を事前に予測して回避したり、対応できる知識や技術、装備が必要です。入山する前には、計画する山のリスクを事前に確認するとともに、自身や仲間の技量に見合っているか確認しましょう。
また、県内は暖かい日が続くようになりましたが、標高が高い山域では、天候が崩れると吹雪や降雪になっています。入山前には、天候が良い場合と悪い場合のリスクの両方を確認しておきましょう。
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、緊急事態宣言が発令されている地域があります。登山を考えている方は、緊急事態宣言発令の地域に限らず、各地域ごとの最新情報を確認し、慎重な計画と行動をお願いします。
長野県では、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため「長野県内入山注意報」と、「登山者への5つのお願い」を発表しています。登山者の皆さんは、十分にレベルを落とした山域を選び、感染防止対策にご協力をお願いします。
プロフィール
島崎三歩の「山岳通信」
信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。
島崎三歩の「山岳通信」
長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。