天候不良でヘリでの救助ができないケースが続く。 島崎三歩の「山岳通信」 第82号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2017年8月14日に配信された第82号では、県内で起きた17件の遭難について触れている。7月下旬は天候不良が続き、多くがヘリコプターを利用できない、厳しい救助活動となった。

 

8月14日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第82号では、7月24日~7月30日の間に起きた山岳遭難の遭難事例が掲載されている。以下に抜粋・掲載する。

 

7月24日~30日の信州の山岳遭難現場より

7月24日~30日の間に長野県内で起きた山岳遭難は以下の17件でした。

  • 7月24日、北アルプス焼岳で、84歳の男性が焼岳に向けて登山中に焼岳南側付近で体調不良により倒れて意識をなくす事象が発生。県警救助隊が救助に駆けつけたものの、その後死亡が確認された。

  • 7月24日、北アルプス涸沢カール下部登山道で、63 歳の男性が下山中に石につまづいて転倒し、負傷する山岳遭難が発生。遭対協及び県警救助隊により救助された。

  • 7月24日、北アルプス八方尾根で、75 歳の女性が下山中に八方池山荘付近で濡れた石を踏んでスリップし転倒。左足関節骨折の重傷を負う山岳遭難が発生。県警救助隊により救助された。

  • 7月25日、南アルプス塩見岳で、70 歳の女性が塩見岳山頂から下山中に天狗岩付近で足を滑らせ転倒、右足首を骨折する山岳遭難が発生。翌7月26 日に遭隊協及び伊那警察署員により救助された。

  • 7月25日、霧ヶ峰湿原付近で、77 歳の女性が登山中に濃霧のため現在地を見失い、道に迷い行動不能となる山岳遭難が発生。諏訪警察署員に救助された。

  • 7月27日、北アルプス燕岳合戦尾根付近で、59 歳の女性が合戦尾根を下山中に「第2 ベンチ」付近で、濡れた木の根に滑って転倒して座骨骨折などの重傷を負う山岳遭難が発生。警察、消防、民間救助隊により救助された。

  • 7月27日、北アルプス槍ヶ岳東鎌尾根付近で、62 歳の女性が槍ヶ岳から東鎌尾根を下山中にめまいにより転倒して右肩などを負傷する山岳遭難が発生。県警ヘリにより救助された。

  • 7月27日、戸隠連峰高妻山で、73 歳の男性が登山道を外れて道に迷い、行動不能となる山岳遭難が発生。翌28 日に捜索中の長野中央署員および遭対協により発見され無事救助となった。

  • 7月28日、北アルプス燕岳合戦尾根付近で、57 歳の女性が合戦尾根を下山中に「第2 ベンチ」付近で、木の根につまづいて転倒して左膝関節骨折などの重傷を負う山岳遭難が発生。遭隊協および県警救助隊により救助された。

  • 7月28日、中央アルプス木曽駒ヶ岳で、36 歳の男性が駒飼ノ池付近で疲労および低体温症により自力歩行困難となる山岳遭難が発生。県警ヘリで救助された。

  • 7月28日、飯田市南信濃木沢の易老渡付近で、南アルプス・易老岳から下山中の74歳の男性が熱中症により自力歩行困難となる山岳遭難が発生。消防および警察により発見され無事救助となった。

  • 7月29日、南アルプス塩見岳で、73 歳の男性が塩見岳山頂から下山中に登山道を外れて道に迷う山岳遭難が発生。遭対協が出動して男性と合流、無事を確認した。

  • 7月29日、北アルプス東沢岳で、74 歳の男性が燕岳から餓鬼岳に向けて縦走中に、東沢岳付近で足を滑らせ転倒し、左足首を捻挫する山岳遭難が発生。左膝骨折の重傷と判明し、2日後の31 日に県警ヘリで救助された。

  • 7月29日、中央アルプス木曽駒ヶ岳で、43 歳の女性が下山中に木の根につまづいて転倒して左足首骨折の重傷を負う山岳遭難が発生した。

  • 7月30日、北アルプス白馬乗鞍岳で、46 歳の女性が栂池へ向けて下山中に白馬大池付近の岩場で足を滑らせ転倒し、左膝を負傷する山岳遭難が発生。遭対協およびび大町警察署員により救助された。

  • 7月30日、北アルプス唐松岳で、51 歳の女性が八方尾根を下山中に第2ケルン付近で、小石に足を滑らせ転倒して左足首脱臼骨折の重傷を負う山岳遭難が発生。県警救助隊などにより救助された。

  • 7月30日、北アルプス餓鬼岳で、56歳の女性が餓鬼岳から下山中に疲労および体調不良のため行動不能となる山岳遭難が発生。県警救助隊などにより救助された。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

7月5週は、県下で17件の遭難が発生しました。そのうち、天候不良によりヘリコプターでの救助ができず、地上で搬送を行った事案が12件ありました。

遭難救助活動は場所や天候によって、搬送や収容活動が長時間にわたる場合があります。また、遭難した場合は、状況によっては自分で応急処置をして、寒さや、傷病に耐え、救助隊の到着を待たなければなりません。

遭難しないための準備を整え心構え待つことは当然ですが、万が一アクシデントに遭遇した場合を想定して、必要な準備を整えることも重要です。あなたの備えは万全ですか?

 

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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