大雪渓から白馬岳に登った後は、白馬八方温泉しろうま荘で郷土色あふれる手料理に癒やされる

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ひとり気ままに山と温泉を楽しむ温泉登山。登山前後に泊まりたい至福の温泉宿を紹介します。第19回は白馬岳登山の疲れを山麓の宿で癒します。

写真・文=月山もも

後立山連峰の最高峰白馬岳は、日本最大の雪渓である白馬大雪渓や、その上部にある高山植物のお花畑など、見所の多い人気の山です。

白馬駅を早朝に出発する猿倉行きのバスに乗り、白馬大雪渓を登るルートで白馬岳を目指しました。

 

白馬大雪渓を登り、山頂直下のテント場で1泊

猿倉から1時間ほど歩いて白馬大雪渓の入口に着くと、軽アイゼンを装着して登り始めます。稜線まで4時間ほど雪渓歩きが続きますが、照りつける日差しは眩しいものの、足元から冷気があがってくるため案外快適に歩けました。

雪渓は落石の多発地帯でもあるため、歩き疲れても腰を下ろしてのんびりと休憩を取るのは避けたいところ。上に着いたらビールを飲むんだ!と自分に言い聞かせて、できる限り足早に歩を進めます。

気温が上がり、雪が緩んでくると足取りも重くなりましたが、雪渓の上部に咲き乱れる高山植物の美しい姿に励まされ、無事に幕営地の白馬岳頂上宿舎に到着しました。

テント場は風の通り道になっていて設営には難儀しましたが、周辺にはウルップ草も咲いており、夕日も朝日もすぐ近くで眺められる抜群のロケーションです。

翌朝はテント場の側で雲海と日の出を眺めてからテントを撤収し、白馬岳の山頂を往復してから元来た道を下ります。

 

清潔で設備の整った快適な部屋でひと休み

猿倉からバスに乗り、白馬八方バスターミナルで下車すると、徒歩3分の場所にあるしろうま荘にチェックイン。唐松岳など、周辺の山を登る際の前泊後泊で何度もお世話になっている、お気に入りの宿です。

玄関で靴を脱ぐと、スリッパが「消毒済みのもの」と「使い捨てのもの」から選べるようになっていました。滞在中に自分のスリッパがわからなくなってしまうことのないよう、目印の札なども用意されており、しっかりと感染症対策をされていることがうかがえます。

今回案内いただいた2階のお部屋は、ソファが置かれているのがうれしかったです。疲れていたので、ソファの上でしばらくゴロゴロして過ごしました。

お部屋はすべてデザインが異なるそうで、泊まる度に今回はどんな部屋かなと考えるのも楽しみの一つ。すべての部屋にトイレと洗面所がついており、Wi-Fiもしっかりつながるので快適に過ごせました。

 

強アルカリ性の美肌の湯に疲れも溶けていく

しろうま荘の浴室は地階にある男女別の内湯。

木目のような模様のある「多胡石(たごいし)」で造られており、窓から入ってくる風が心地良い雰囲気ある浴室です。

白馬八方温泉の源泉は強アルカリ性でツルツルした浴感があり、美肌の湯と言われています。湯口からは熱めの源泉が勢いよくかけ流され、お湯に浸かって手足を伸ばし、窓から入ってくる風を感じていると、疲れがお湯に溶けていくようでした。

 

白馬の食材をたっぷり使った優しい味の食事

食事は朝夕共に食事処で。隣の席との間隔も広く、透明の仕切りもあって安心感があります。

お酒は、北アルプスの雪解け水で仕込まれた白馬地ビールのペールエールを。陶器のグラスに注ぐときめ細かい泡が立って、香り高いビールがいっそうおいしく感じられました。

信州サーモンのお刺身はサラダ仕立てになっており、たっぷりの野菜と一緒にいただきます。

焼き魚はヤマメ。付け合わせの味噌は「こしょう味噌」と呼ばれる、信州味噌と青唐辛子を合わせたピリッと辛い味噌で、お酒のつまみにも良いし、白いご飯にも合いそうなお味でした。

茹でたてを出していただいたのは白馬八方温泉の源泉が練り込まれた「温泉うどん」です。細めのうどんですが、喉ごしが良く、ツルッといただけます。

メイン料理の信州牛のすき焼き、揚げ物の信州産大豆を使った揚げ出し豆腐と続きますが、いずれの料理も白馬をはじめとした信州産の食材が使われていて野菜がたくさん食べられ、そして優しい味わいなのです。

白馬生まれ白馬育ちの女将さんによる手料理とのことで、すべて平らげても胃が重くならないように感じます。

 

翌朝の朝食も品数豊富で、大好きな山菜の「こごみ」や、新鮮な野菜サラダなどが並びました。

そして、しろうま荘の朝食には焼きたてのガレットが付くのです! 白馬産の蕎麦粉で焼いたガレット、朝からシードルが飲みたくなりますね。

最後にコーヒーをいただいて、ごちそうさまでした。

 

宿泊した際はいつも翌日の予定を気遣っていただき、リフトなどの割引チケットも購入できます。白馬はどの季節に訪れても楽しい場所ですから、また別の季節にも伺いたいです。

 

*紹介した食事、サービスは2020年8月取材時の内容です。
 

しろうま荘

料金:1泊2食付き/1室1名利用12,100円~、2名11,000円~

住所:〒399-9301 長野県北安曇郡白馬村八方5004
電話:0261-72-2121
HP:http://www.shiroumaso.com/

 

プロフィール

月山もも

山と温泉を愛する女一人旅ブロガー。山麓の温泉宿を一人で巡るうちに「歩いてしか行けない温泉宿」に憧れを抱き、2011年から登山を始める。ゆるハイクから雪山登山まで、テントも一人で担ぐ単独登山女子。 ブログ「山と温泉のきろく」https://www.yamaonsen.com/に、温泉と登山のすばらしさについて綴っている。山と温泉に魅せられる人を増やすことが、人生のよろこび。著書に『ひとり酒、ひとり温泉、ひとり山』(KADOKAWA)。

ひとり温泉登山

山と温泉を愛する月山ももさんによる月1連載。登山前後に入りたい極上の温泉宿をご紹介します。

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