ヒマワリに似たウサギギクの葉は、兎の耳に似ている?
8月も半ばを過ぎると、高山帯で咲く花は一気に数を減らしていく。そんななかで目立つのが、ウサギギクだ。ところで、この「ウサギ」という名前は、どこから由来しているのだろうか?
8月に入ると、高山の稜線にたくさん咲いていた高山植物も、だんだん数が少なくなってくる。そんななか、ウサギギクは高山帯の乾いた草地に元気に咲く花だ。小さなヒマワリのような形をした黄色い花が、夏の残りを楽しむように咲いている。

ウサギギクは、その名のとおりキク科の植物。キク科の植物の花の多くは、たくさんの小さな花の集まりで「頭花」と呼ばれる。
「頭花」の外側には、ぐるりと花びら状の「舌状花」がある。「頭花」の中心部分には小さな直径1㎜もない星形の花を咲かせる「筒状花」がたくさん集まっている。この構造は大きさの差はあっても、同じキク科の植物であるヒマワリとまったく一緒だ。

小さな花の集まりである頭花の直径は3.5~6㎝と、高山植物としては大きいほうだ。草丈は7~35㎝、茎の先端にひとつだけ頭花をつける。
葉は茎から対をなして、ふたつずつ出る。茎の下部に生える一対の長い葉をウサギの耳に例えた。葉には細かい毛がたくさん生えていて、確かに兎の耳のようだ。

ウサギギクは北海道、中部以北の本州に分布する。花期は7~8月。谷川岳や東北、北海道の山にはよく似たエゾウサギギクが分布する。
プロフィール
髙橋 修
自然・植物写真家。子どものころに『アーサーランサム全集(ツバメ号とアマゾン号など)』(岩波書店)を読んで自然観察に興味を持つ。中学入学のお祝いにニコンの双眼鏡を買ってもらい、野鳥観察にのめりこむ。大学卒業後は山岳専門旅行会社、海専門旅行会社を経て、フリーカメラマンとして活動。山岳写真から、植物写真に目覚め、植物写真家の木原浩氏に師事。植物だけでなく、世界史・文化・お土産・おいしいものまで幅広い知識を持つ。
髙橋 修の「山に生きる花・植物たち」
山には美しい花が咲き、珍しい植物がたくさん生息しています。植物写真家の髙橋修さんが、気になった山の植物たちを、楽しいエピソードと共に紹介していきます。
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