標高の高い山では非常に厳しい環境へ変化。リスクを軽視しない準備と行動を 島崎三歩の「山岳通信」 第243号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2021年11月5日に配信された第243号では、標高の高い山域では雪山のコンディションとなっていることを説明。準備不足や判断ミスが自身や仲間の生命に直結することを念頭に置いて行動することを促している。

 

11月5日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第243号では、期間中に起きた3件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 10月30日、八ヶ岳連峰の赤岳で、2人パーティで29日から入山していた56歳の男性が、赤岳から権現岳に向けて縦走中に腰痛により行動不能となる山岳遭難が発生。県警ヘリが出動して男性を救助した。

八ヶ岳連峰赤岳での遭難現場の状況/長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)11月1日付

  • 10月31日、長野市の虫倉山で、2人パーティで入山した48歳の女性が、登山中に鎖場でバランスを崩して転倒し、滑落する山岳遭難が発生。県警ヘリが出動して女性を救助した。

虫倉山での遭難現場の状況/長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)11月1日付

  • 10月31日、南佐久郡川上村の小川山で、4人パーティでロッククライミングのために入山した52歳の男性が、クライミング中に転落して負傷する山岳遭難が発生。佐久広域消防本部消防署員が出動して男性を救助した。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

10月5週は、3件の山岳遭難が発生しました。県内の里山では、紅葉の見頃を迎えていますが、北アルプス、中央アルプス、南アルプス、八ヶ岳連峰等の標高の高い山域では、まとまった降雪があり、秋山から冬山の様相になっています。今後、これらの山域を登山する際は、積雪や凍結に対応する装備品(アイゼン、ピッケル等)の携行や防寒対策が必須です。

また、多くの山小屋が営業を終える他、登山口に通じる林道等の冬季閉鎖、積雪による道標やマーキングの消失、クサリやはしごの凍結など、登山をする上では非常に厳しい環境へ変化していきます。そのため、準備不足や判断ミスは、そのまま自身や仲間の生命に直結します。「リスク」を軽視することなく、充分な下調べを行うとともに、慎重な判断と行動をお願いします。

なお、登山道へ至る山間部の道路でも、凍結や着雪が予想されます。早めの冬用タイヤへの交換やタイヤチェーンを携行し、「スリップ」による交通事故も防止しましょう。

 

長野県内入山注意報発表中

新型コロナウイルス感染症拡大防止のため添付の「入山注意報(9月22日付)」を発表しています。以下の資料の通り、入山を控えていただくエリアと、入山注意区域を発表しています。「入山注意」山域へ入山する際は、「登山者への5つのお願い(PDF)」を守ってください。

 

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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