里山では落葉によるリスクが増す時期、里山でも適切な準備を。島崎三歩の「山岳通信」 第245号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2021年11月25日に配信された第245号では、落葉が進む里山の状況についいて言及。落ち葉により登山道が不明瞭になっていたり、滑りやすくなっていたりするリスクなどについて指摘している。

 

11月25日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第245号では、期間中に起きた4件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 11月17日、小県郡青木村の子檀嶺岳で、単独で入山した74歳の男性が、当郷登山口から子檀嶺岳に入山したまま帰宅せず、行方不明となる事象が発生。18日に県警ヘリが出動して捜索を行い、男性を発見したものの死亡が確認された。男性は何らかの原因により滑落した模様。

  • 11月19日、中野市の高社山で、単独で入山した72歳の男性が高社山の登山道で倒れているのを他の登山者が発見。岳南広域消防署員及び県警ヘリが出動して男性を救助したものの死亡が確認された。

  • 11月20日、南佐久郡川上村の小川山で、ロッククライミングのために2人パーティで小川山に入山した48歳の女性が、クライミング中に転落して負傷し、行動不能となる山岳遭難が発生。佐久広域消防本部の消防署員が出動して女性を救助した。

  • 11月20日、南アルプスの仙丈ヶ岳で、単独で入山した62歳の女性が、仙丈ヶ岳から地蔵尾根を下山中、松峰付近で道に迷い行動不能となる山岳遭難が発生。伊那警察署員が出動して女性を救助した。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

11月3週は、4件の山岳遭難が発生し、うち2件は里山での単独死亡遭難です。県内は晩秋となりましたが、天候に恵まれた日が続いたため、里山登山には良い気候となりました。しかし、里山と言えども油断は禁物です。この季節は落ち葉により登山道が不明瞭になっていたり、滑りやすくなっています。
また、ルートによっては登山道が急峻であったり、崖の付近やクサリ場の通過を伴う場合もあります。さらに、体力的に負荷が大きいルートもあり、持病の悪化や循環器系の病気を発症するリスクも高まります。登山計画を立てる際には、里山でもルートの下調べをしっかりと行い、自身の体力や技量のほか、体調や健康状態を考え、無理のない登山をしましょう。

なお、県内は平地でも氷点下を観測する季節となっています。里山でも稜線などで強風に見舞われると、一気に低体温症となり、行動不能となる場合があります。観光気分の登山は、思わぬ遭難につながることから、しっかりとした装備を携行しましょう。

 

長野県内入山注意報発表中

新型コロナウイルス感染症拡大防止のため添付の「入山注意報(9月22日付)」を発表しています。以下の資料の通り、入山を控えていただくエリアと、入山注意区域を発表しています。「入山注意」山域へ入山する際は、「登山者への5つのお願い(PDF)」を守ってください。

 

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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