残雪による道迷いや暑さ・湿気対策など、この時期特有のリスクを確認 島崎三歩の「山岳通信」 第264号

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2022年6月8日に配信された第264号では、この時期における山でのリスク――、残雪による道迷い、暑さ・湿気対策、山菜採りなど、それぞれのリスクについて改めて説明している。

 

6月8日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第264号では、期間中に起きた7件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 5月30日、中央アルプスの大川入山で、単独で入山した45歳の男性が、大川入山に登山中に体調不良により行動不能となる山岳遭難が発生。消防防災ヘリが出動して男性を救助した。

  • 5月30日、北アルプス常念岳で、2人パーティで29日から入山していた33歳の男性と26歳の女性が、蝶ヶ岳から常念岳に縦走中に道に迷い、登山道を外れて行動不能となる山岳遭難が発生。北アルプス南部地区山岳遭難防止対策協会救助隊員が出動して2人を救助した。

  • 5月30日、南佐久郡川上村地籍の十文字峠付近で、2人パーティで入山した60歳の男性が、十文字峠付近で階段を降りる際にバランスを崩し、転落・負傷する山岳遭難が発生。県警ヘリが出動して男性を救助した。

  • 6月2日、八ヶ岳連峰の横岳で、3人パーティで入山した75歳の女性が、横岳から地蔵の頭に向けて縦走中に登山道から滑落する山岳遭難が発生。県警ヘリで救助しましたが死亡が確認された。

  • 6月4日、南佐久郡川上村地籍の小川山で、5人パーティで小川山に入山した51歳の女性が、ロッククライミング中に足を滑らせて約7メートル転落し負傷する山岳遭難が発生。消防防災ヘリが出動して女性を救助しました。

  • 6月4日、蓼科山で、3人パーティで4日から蓼科山を登山中だった29歳の男性が、岩でつまずき転倒して右足を捻って負傷する山岳遭難が発生。5日に県警ヘリが出動して男性を救助した。

蓼科山山頂付近の遭難現場/長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)6月6日付

  • 6月5日、下高井郡野沢温泉村の水尾山付近で、2人パーティで入山した56歳の女性が、山菜採り中道に迷い行動不能になる遭難が発生。飯山警察署員と志賀高原地区山岳遭難防止対策協会救助隊野沢温泉班が出動して女性を救助した。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

6月1週は死亡遭難を含む7件の遭難が発生しました。この時期は、残雪によって登山道が不明瞭となっていたり、日中は気温の上昇により、暑さと湿気で体力が奪われやすくなっています。事前のルート調べをするとともに、休憩時には自分の現在位置の確認、こまめな水分・栄養補給を意識しましょう。

週末は、山菜採り遭難も発生しています。山菜採りは、山菜を採ることに夢中になる余り、急斜面に入り込んだり、自分の現在位置がわからなくなり遭難してしまいます。「山菜を採りに行くだけだから。」と安易な気持ちで入山するのではなく、必要な装備品を携行し、単独入山は控え、慎重な行動を心掛けましょう。また、複数人で入山しても、互いに声の届く範囲内で行動し、仲間同士ではぐれてしまうことのないように注意しましょう。

県内は、梅雨前線の影響により、局地的に大雨となった地域があります。登山を計画する際には、里山といえども油断することなく、天候が悪い場合には、登山の中止等を検討することも重要です。

 

長野県内入山注意報発表中

新型コロナウイルス感染症拡大防止のため添付の「入山注意報(5月24日付)」を発表しています。以下の資料の通り、入山を控えていただくエリアと、入山注意区域を発表しています。「入山注意」山域へ入山する際は、「登山者への5つのお願い(PDF)」を守ってください。

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

⇒バックナンバーはコチラ!

島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

編集部おすすめ記事