安易な気持ちと準備不足が大きな遭難に発展するもの。 島崎三歩の「山岳通信」 第91号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2017年10月10日に配信された第91号では、県内で起きた全11件の遭難について触れ、謙虚な気持ちで山に向かうように呼びかけている。

 

10月10日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第91号では、9月25日~10月1日の間に起きた山岳遭難の遭難事例が掲載されている。以下に抜粋・掲載する。

 

9月25日~10月1日の信州の山岳遭難現場より

9月25日~10月1日の間に起きた長野県内で起きた山岳遭難は以下の11件でした。

  • 9月25日、北アルプス常念岳で、20歳の男性2人が常念岳へ向かう途中に道を誤って迷い、行動不能となる山岳遭難が発生。翌26日に山岳遭難救助隊と合流し、付き添いで下山した。

  • 9月26日、北アルプス西岳で、80歳の男性が西岳から水俣乗越へ向かう途中のハシゴ場でバランスを崩し滑落し、外傷性くも膜下出血などの重傷を負う山岳遭難が発生。岐阜県警ヘリで救助された。

  • 9月26日、北アルプス前穂高岳で、70歳の男性が単独で重太郎新道を下山中、バランスを崩し滑落して脳挫傷などの重傷を負う山岳遭難が発生。山梨県防災ヘリで救助された。

  • 9月27日、北アルプス爺ヶ岳で、66歳の女性が柏原新道を下山中、砂利でスリップして転倒し左足首骨折の重傷を負う山岳遭難が発生。県警ヘリで救助された。

爺ヶ岳の遭難現場の状況(写真提供:長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)10月3日付)

  • 9月27日、長野市富士ノ塔山で、72歳の男性が仲間とキノコ採りのため入山したが、はぐれて道に迷う山岳遭難が発生。警察などで捜索した結果、翌28日に無事発見となった。

  • 9月29日、北アルプス前穂高岳で、53歳の女性が重太郎新道を下山中、カモシカ立場付近で何らかの原因で滑落する山岳遭難が発生。県警ヘリで救助されたものの、その後死亡が確認された。

  • 9月29日、八ヶ岳連峰阿弥陀岳で、85歳の男性が単独で入山し、下山中に日没となり道を見失い、疲労のため行動不能となる山岳遭難が発生。茅野警察署員が発見・救助した。

  • 9月30日、阿智村地籍の山林で、85歳の男性と82歳の女性の夫婦が、キノコ採りのために入山し何らかのアクシデントに遭遇し、行方不明となる事案が発生。警察などで捜索したところ、同村駒場の山中で心肺停止状態の男性を発見・収容。その後死亡が確認された。未発見であった女性については、10月2日に同村駒場の山中で心肺停止状態で発見。その後死亡が確認された。

  • 10月1日、長野市松代町の山林で、75歳の男性が単独でキノコ採りのため入山中にスリップして滑落、軽傷を負う山岳遭難が発生。警察・消防で捜索して発見・救助した。

  • 10月1日、小谷村の山林で、89歳の女性が家族とキノコ採りのため入山したが、家族とはぐれ道に迷い行方不明となる山岳遭難が発生。警察などで捜索した結果、翌2日に通行人により発見・救助された。

  • 10月1日、中央アルプス仙涯嶺で、60歳の男性および52歳の女性が登山中にルートを誤り道に迷い、行動不能となる山岳遭難が発生。翌2日に木曽署員などにより救助された。

 

山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

9月5週は、県内各地の山域で登山中、あるいはキノコ採り中の遭難が合計で11件発生しました。
「日帰りだから」「前にも登ったことがあるから」といった安易な気持ちで入山し、遭難するケースが後を絶ちません。
山中では些細なミスや準備不足が原因となり大きな遭難に発展します。遭難を他人事と思わずに「もしかしたら自分も遭難するかもしれない」という謙虚な気持ちで山に向かうようにしてください。

 

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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