道迷いとなった場合、強引な下山は禁物です 島崎三歩の「山岳通信」 第268号

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2022年7月7日に配信された第268号では、里山で起きた遭難事故について言及。万が一道に迷った場合は、強引に下山することは絶対に避けることを促している。

 

7月8日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第268号では、期間中に起きた3件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 6月27日、北アルプスの蝶ヶ岳で、単独で入山した76歳の女性が、常念岳を経由して蝶ヶ岳に向けて縦走中に、疲労により行動不能となる山岳遭難が発生。県警ヘリ及び安曇野警察署山岳遭難救助隊員などが捜索して、28日に県警ヘリで女性を救助した。

  • 7月2日、木曽郡南木曽町読書地籍の岩倉川で、沢登りのために3人パーティで入山した62歳の男性が、岩倉川付近を沢登り中に手を滑らせて約5メートル滑落、骨盤骨折などで負傷。また後方にいた同パーティ内のもう一人の男性(62歳)も、滑落に巻き込まれて脊椎骨折などの負傷をする山岳遭難が発生。防災ヘリが出動して2人を発見、救助した。

  • 7月3日、上田市前山の独鈷山で、2人パーティで入山した60歳の女性が登頂後の下山途中に同行者とはぐれ、登山口に戻らず行方不明になる山岳遭難が発生。消防、県警山岳遭難救助隊、上田警察署救助隊が出動して女性を捜索。4日に心肺停止状態の女性を発見・救助したものの、死亡が確認された。女性は岩場で滑落した模様。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

6月5週は、県内では死亡遭難を含む3件の遭難が発生しました。7月3日発生の独鈷山における滑落遭難は、同行者とはぐれた後、登山道を外れ、滑落してしまった事例です。

最近、県内のいわゆる「里山」での遭難が増加傾向にあります。里山は、標高が低いがゆえに樹林や植生が濃く登山道を見失いやすい上、獣道や作業道等が交錯する場合もあるため、道迷いのリスクが高くなります。事前に地形図を確認し、コース全体を把握するとともに、行動中も紙の地形図や地図アプリなどを活用してこまめに現在地を確認しましょう。また、万が一道に迷った場合は、強引に下山することは絶対にやめましょう。

過去の事例の多くは、強引に下山をしたことにより、結果として沢や崖で滑落して怪我をしたり、亡くなったりしています。「里山だから・・・」と安易な気持ちで入山することなく、装備も心も整えて入山しましょう!

 

令和4年 長野県 登山SAFETY BOOK公開

長野県警では、夏の長野県の山々を安全に登るための情報を収録した「令和4年長野県 登山SAFETY BOOK 夏山山岳情報(PDF)」を公開しました。

本スタイルブックでは、各人気登山地の夏の状況や安全登山情報や、登山ルートグレーティング、夏山診療所情報などを収録。

長野県での登山に役立つ情報が満載となっているので、ぜひご覧ください。

 

長野県内入山注意報発表中

新型コロナウイルス感染症拡大防止のため添付の「入山注意報(7月5日付)」を発表しています。以下の資料の通り、入山を控えていただくエリアと、入山注意区域を発表しています。「入山注意」山域へ入山する際は、「登山者への5つのお願い(PDF)」を守ってください。

 

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

⇒バックナンバーはコチラ!

島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

編集部おすすめ記事