暑さや疲労から身を守る対策を 島崎三歩の「山岳通信」 第271号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2022年8月4日に配信された第271号では、疲労遭難について言及。のどの渇きを感じる前に、塩分を含む飲料水をこまめに補給する、空腹を感じる前にエネルギーを補給するなど、暑さや疲労から身を守るよう促している。

 

8月4日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第271号では、期間中に起きた11件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 7月25日、北アルプスの五竜岳で、4人パーティで入山した60歳の女性が、下山中に左足をひねって負傷し、行動不能となる山岳遭難が発生。長野県山岳遭難防止常駐隊員及び県防災ヘリが出動し、女性を救助した。

  • 7月25日、八ヶ岳連峰の赤岳で、2人パーティで入山した47歳の男性が、下山中にバランスを崩して転倒・負傷する山岳遭難が発生。県警ヘリが出動して男性を救助した。

  • 7月25日、飯田市の富士見台高原で、2人パーティで入山した85歳の男性が、登山中に疲労により行動不能となる山岳遭難が発生。男性を救助した。

  • 7月25日、北アルプスの白馬岳で、17人パーティで入山した22歳の男性が、登山中に体調不良で行動不能になる山岳遭難が発生。28日に警察本部機動隊員と同山岳安全対策課員及び大町警察署山岳遭難救助隊員が同行下山して男性を救助した。

  • 7月26日、北アルプスの焼岳で、単独で入山した49歳の男性が、下山中に転倒して負傷する山岳遭難が発生。防災ヘリが出動して救助した。

  • 7月27日、北アルプスの七倉岳で、単独で入山した81歳の男性が、船窪岳方面に向けて縦走中に疲労で行動不能になる山岳遭難が発生。大町警察署山岳遭難救助隊員及び長野県山岳遭難防止常駐隊員が同行下山して男性を救助した。

  • 7月28日、北アルプスの大天井岳で、13人パーティのツアーで入山した73歳の女性が、燕岳から大天井岳に向けて縦走中にバランスを崩して滑落・負傷する山岳遭難が発生。県警ヘリが出動して女性を救助した。

大天井岳付近の遭難現場の様子/長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)8月1日付
 
  • 7月28日、北アルプス三ツ岳で、単独で入山した66歳の男性が、三ツ岳付近を縦走中に道に迷い行動不能になる山岳遭難が発生。29日に大町警察署山岳遭難救助隊員と長野県山岳遭難防止常駐隊員及び県警ヘリが出動して男性を救助した。

三ツ岳付近の遭難現場の様子/長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)8月1日付
 
  • 7月29日、北アルプスの白馬岳で、単独で入山した55歳の女性が、宿泊予定の山小屋に到着せず行方不明となる山岳遭難が発生。長野県山岳遭難防止常駐隊員が捜索を行い、雪渓で滑落・負傷しているのを発見。30日に県警ヘリが出動して女性を救助した。

白馬岳付近の遭難現場の様子/長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)8月1日付
 
  • 7月31日、北アルプス北穂高岳で、3人パーティで入山した32歳の女性と29歳の男性が、北穂高岳東稜を登攀中に落石で負傷して行動不能となる山岳遭難が発生。松本警察署山岳遭難救助隊員、長野県山岳遭難防止常駐隊、防災ヘリが出動して2人を救助した。

  • 7月31日、木曽郡南木曽町の柿其川で、4人パーティ沢登り中だった48歳の女性が、転落・溺水して行動不能となる山岳遭難が発生。防災ヘリが出動して女性を救助した。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

7月5週、11件の遭難が発生し、滑落、転倒、疲労による遭難が相次ぎました。
疲労遭難は、登りで発生し、転倒による遭難は、全て下山中に発生しています。この時期の登山は、強い直射日光を浴びながらの行動となるため、暑さと疲労で集中力が切れやすく、転倒や滑落のリスクが高くなります。行動中は、のどの渇きを感じる前に、スポーツドリンクなどの塩分を含む飲料水をこまめに補給し、空腹を感じる前にエネルギーを補給するなどして、暑さや疲労から身を守りましょう。

落石による遭難も発生しています。岩場やガレ場を歩行する際には、落石に対する注意を怠らず、かつ、自分自身が落石を起こさない意識を持って行動することが大切です。

天候が安定している場合でも、午後は突発的な雷雨になることもあるため、天候が急変した場合も視野に、ゆとりある計画を立てましょう。

また、新型コロナウイルスの感染が拡大しています。登山を計画している方は、山小屋の営業状況等の最新情報を確認し、登山前の体調管理を徹底し、少しでも体調がすぐれないと感じたら、登山を中止しましょう。

 

全国でコロナ急拡大!登山者のみなさまへのお願い

山小屋等では、安心して登山ができるよう従業員の健康管理をはじめ定員削減や間仕切設置など様々な感染防止対策に取り組んでいます。

登山者のみなさまは、登山前に自身の健康チェックをしっかり行うとともに、マスクなどの基本的な対策や事前予約を徹底し、急な営業休止などに備えて山小屋の営業状況をHPやSNS等で随時確認するようお願いします。

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長野県内入山注意報発表中

新型コロナウイルス感染症拡大防止のため添付の「入山注意報(7月12日付)」を発表しています。以下の資料の通り、入山を控えていただくエリアと、入山注意区域を発表しています。「入山注意」山域へ入山する際は、「登山者への5つのお願い(PDF)」を守ってください。

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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