大河ドラマ「真田丸」のオープニングに登場する山、岩櫃山

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山はいつ訪れても、季節ごとの魅力を楽しめるが、できるなら「今が旬」な時期に訪れたいもの。山の魅力を知り尽くした旅行会社のガイド/添乗員が、今が魅力たっぷりな山を紹介。今回オススメする旬な山は、群馬県・岩櫃山。

 

NHKの大河ドラマを楽しんでいる人も多いと思います。何となく見始めると、これが結構ハマってしまって、毎週日曜日の夜を楽しみにしてしまうものです。

今年はご存じのとおり、女城主として戦国時代を生き抜いた井伊直虎の生涯を描いた「おんな城主 直虎」です。そして来年・2018年は、幕末の英雄の西郷隆盛の生涯を追う「西郷どん」の予定です。

ところで、昨年は何だったか覚えていますか? そう、堺雅人主演で人気を博した「真田丸」です。見ていた人はご存じと思いますが、そのオープニング映像に登場するゴツゴツとした岩山、登山者なら気になったのではないでしょうか?

その山こそ、今回ご紹介する「岩櫃山(いわびつやま)」です。

迫力ある岩櫃山の岩壁を望む

 

高さ約200mの奇岩・巨岩の迫力に圧倒!

ぐんま百名山、吾妻八景のひとつに数えられ、群馬県東吾妻町のシンボルともなっているのが岩櫃山です。登山のアクセス拠点のひとつとなるJR吾妻線の郷原駅から歩いていくと、高さ約200mの奇岩・巨岩がそそり立つ岩壁が標高以上の迫力で迫ってくる。標高は802mの低山ながら吾妻八景と称されるのも納得です。

主な登山ルートには、JR群馬原町駅からアクセスする平沢地区からの「沢通り」「尾根通り」、郷原駅から古谷地区にアクセスする「密岩通り」と「(旧)赤岩通り」の4ルートがあり、どれも変化に富んだ登山コースです。

なお、「密岩通り」は過去に滑落事故も起きていますので経験者向きのコース。通行止め箇所もあるので事前に確認したほうが良いでしょう。

山頂の鎖場の様子。変化に飛んだ登山コースが魅力

 

スリリングな岩場・鎖場と山中に残る史跡が魅力

岩櫃山は、いつ・誰が訪れても楽しめるのが魅力です。低山といってもバラエティに富んだ登山が楽しめるのが特徴で、スリリングで高度感のある岩場・鎖場コース、史跡を訪ねながら悠久の歴史に思いを馳せるコースと、楽しみを選べます。

ただ、いずれのコースも山頂付近はちょっとした岩場があるので、初心者の人は経験者と一緒のほうが良いかもしれません。

私はいずれも晩秋に山行の機会を得ていますが、山全体に広葉樹林が広がっているので、新緑や紅葉もきっと素晴らしいことでしょう。なお、新緑であれば5月初旬~中旬、紅葉なら11月初旬~中旬あたりがベストです。

「真田丸」ゆかりの岩櫃城後本丸跡などを訪ねる史跡めぐりも楽しい

武田の三堅城と称された北関東一の山城で、真田幸村が少年時代を過ごしたとされる岩櫃城跡、その眼下に広がる日本の原風景のようなどこか懐かしい里山の景観、そして地元の方の温かいおもてなしの心が、さらにこの山に彩りを加えている事は疑う余地もありません。

山頂からの展望。眼下に広がる里山の景観が素晴らしい!

 

梅雨時期や暑い時期(6~9月)、積雪・凍結期(1~2月)以外は、いつ訪れても山の魅力を知ることができるでしょう。

最後に、周辺は温泉も豊富なのも魅力です。日帰りであれば、下山後に「岩櫃城温泉・くつろぎの館」で汗を流すのが定番でしたが、残念ながら今年3月に閉館。

代替の温泉施設「桔梗館」や「吾妻峡温泉・天狗の湯」に行くのも良いですが、折角なのでどこかの山と併せて1泊のんびり山行もオススメ。少し足を伸ばして名湯・四万温泉などがでゆっくするのも良いでしょう。

 

プロフィール

白砂 賢一(しらすな けんいち)

1972年神奈川県生まれ。ガイド歴17年。㈱トラベルギャラリー・旅の本棚/東京営業所勤務。登山専門旅行会社にて、登山ツアーの企画、運営をはじめ、ガイド、ツアーリーダーとして国内外の山々を駆け巡る。現在は登山初心者の方を対象にした登山教室を担当し、講師としてわかりやすく登山の基本を教えている。(公社)日本山岳ガイド協会・登山ガイド(ステージⅡ)。

株式会社トラベルギャラリー・旅の本棚

国内・海外の歩く旅を企画・運営して、30余年の登山・ハイキング専門旅行会社。日帰りの低山からキリマンジャロまで、幅広く豊富なバリエーションの山旅をご提案しています。お客様の安全を第一に、自然保護への理解を深めながら、価値観の高い「山旅」を提供しています。東京、大阪、福岡発着有。日本山岳ガイド協会認定ガイド多数在籍。
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今がいい山、棚からひとつかみ

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