県内の山は急激な気温低下。気象状況に見合った計画と行動を! 島崎三歩の「山岳通信」 第280号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2022年10月7日に配信された第280号では、県内の山では急激に気温が低くなっている状況を説明。それに伴うリクスを挙げて、事故につながらないような行動・計画を行うよう呼びかけている。

 

10月7日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第280号では、期間中に起きた11件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 9月26日、八ヶ岳連峰の横岳で、2人パーティでクライミングのために入山した39歳の女性が、小同心付近を登山中にバランスを崩して滑落・負傷する山岳遭難が発生。県警ヘリが出動して女性を救助した。

八ヶ岳連峰・横岳での遭難救助現場/長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)10月3日付

  • 9月26日、中央アルプスの東川岳で、3人パーティで入山した70歳の女性が、熊沢岳から東川岳に向けて縦走中につまづき、転倒・負傷する山岳遭難が発生。県警ヘリが出動して女性を救助した。

  • 9月29日、北アルプスの白馬岳で、単独で入山した73歳の男性が、白馬岳から猿倉に向けて下山中に滑落・負傷して行動不能となる山岳遭難が発生。県警ヘリが出動して男性を救助した。

北アルプス・白馬大雪渓での遭難救助現場/長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)10月3日付

  • 9月30日、北アルプスの燕岳で、13人パーティで入山した65歳の男性が、燕岳から合戦尾根を下山中、第二ベンチ付近で転倒・負傷する山岳遭難が発生。安曇野警察署山岳遭難救助隊員が出動して男性を救助した。

  • 9月30日、北アルプスの涸沢で、2人パーティで入山した45歳の男性が、横尾から涸沢に向けて登山中にバランスを崩して転倒・負傷する山岳遭難が発生。松本警察署山岳遭難救助隊員及び長野県山岳遭難防止常駐隊が出動して男性を救助した。

  • 9月30日、北アルプスの乗鞍岳で、2人パーティで入山した43歳の女性が、前川本谷大滝付近でスリップして転倒・負傷する山岳遭難が発生。消防署員が出動して消防ヘリで女性を救助した。

  • 10月1日、北アルプスの燕岳で、単独で入山した39歳の男性が、下山中に合戦小屋付近で疲労により行動不能となる山岳遭難が発生。県警ヘリが出動して男性を救助した。

  • 10月2日、北アルプスの北穂高岳で、単独で入山した37歳の男性が、南岳から北穂高岳に縦走登山中に落石により負傷する山岳遭難が発生。警察本部山岳遭難救助隊員が出動して県警ヘリで男性を救助した。

  • 10月2日、北アルプスの奥穂高岳で、2人パーティで入山した27歳の女性が、奥穂高岳からザイテングラートを下山中に足を踏みはずして滑落・負傷する山岳遭難が発生。警察本部山岳遭難救助隊員及び長野県山岳遭難防止常駐隊員が出動して消防ヘリで女性を救助した。

  • 10月2日、御嶽山で、2人パーティで入山した75歳の男性が、山頂から御岳ロープウェイに向けて下山中、浮石でバランスを崩して転倒・負傷する山岳遭難が発生。木曽地区山岳遭難防止対策協会救助隊員が出動して県警ヘリで男性を救助した。

御嶽山での遭難救助現場/長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)10月3日付

  • 10月2日、北アルプスの槍ヶ岳で、2人パーティで入山した54歳の女性が、天狗池に向けて登山中、疲労による体調不良により行動不能となる山岳遭難が発生。県警ヘリが出動して女性を救助した。

北アルプス・槍ヶ岳での遭難救助現場/長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)10月3日付

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

9月5週は、11件の遭難が発生し、うち転倒・滑落による遭難が8件と多発しています。また、疲労による遭難が2件発生しました。

この時期は、晴天に恵まれれば比較的涼しく行動しやすい反面、風雨にさらされたり、標高の高いところでは気温低下によって、体温が低くなり、体力が奪われます。そのような状態で行動を続けると、疲労による行動不能や集中力の欠如による転倒や滑落につながるため、十分注意をしてください。
また、夏に比べて、喉の渇きを感じにくいため、休憩した際には、こまめに水分やエネルギーを補給し、脱水症状にならないようにしましょう。

平地では秋の涼しい気候でも、標高の高い山域では初冬並みの気温となっていますので、寒さに耐えられる防寒着を必ず携行しましょう。また、日没が早くなっていますので、遅くとも午後3時までには目的地に到着するような計画を立てましょう。

各山域とも、今週から徐々に紅葉が見頃となっているようです。「ちょっと紅葉を見に行こうかな」と気軽な観光気分の延長で入山することのないよう、事前準備と下調べを十分に行い、自分の体力に見合った登山計画をお願いします。

 

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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