日没時間の早まりによって行動時間は限られています。ヘッドランプなどは必ず携行を 島崎三歩の「山岳通信」 第283号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2022年10月27日に配信された第283号では、日没時間が早まり、行動できる時間が短くなっていることについて言及。何かしらのアクシデントに備えて、ヘッドライトやビバーク装備、防寒具等は必ず携行するように促している。

 

10月27日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第283号では、期間中に起きた7件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 10月18日、八ヶ岳連峰の北横岳で、3人パーティで入山した72歳の男性が、ロープウェイ山頂駅から北横岳に向けて登山中に体調不良により行動不能となる山岳遭難が発生。諏訪広域消防特別救助隊員が出動して男性を救助した。

  • 10月20日、東筑摩郡生坂村の京ヶ倉で、単独で入山した78歳の男性が、下山中に滑落して負傷する山岳遭難が発生。松本広域消防署員が出動して男性を救助した。

  • 10月21日、金峰山で、5人パーティで入山した64歳の女性が、金峰山から下山中に行動不能となる山岳遭難が発生。佐久広域連合消防本部救助隊員、佐久警察署員が出動して女性を救助した。

  • 10月22日、八ヶ岳連峰の雨池山で、2人パーティで入山した59歳の女性が、雨池から雨池峠に向けて登山中に疲労により行動不能となる山岳遭難が発生。警察本部山岳遭難救助隊員、佐久警察署員が出動して女性を救助した。

八ヶ岳連峰・天池峠付近での遭難救助現場/長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)10月24日付
  • 10月23日、北アルプスの前穂高岳で、単独で入山した68歳の男性が、奥穂高岳に向けて重太郎新道を登山中に疲労により行動不能となる山岳遭難が発生。松本警察署山岳遭難救助隊、北アルプス南部地区山岳遭難防止対策協会救助隊員が出動して県警ヘリで男性を救助した。

  • 10月23日、八ヶ岳連峰の箕冠山で、22人パーティのツアー登山で入山した71歳の女性が、箕冠山から夏沢鉱泉に向けて下山中に浮石でバランスを崩して転倒し、負傷する山岳遭難が発生。県警ヘリが出動して女性を救助した。

八ヶ岳連峰・箕冠山付近での遭難救助現場/長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)10月24日付
  • 10月23日、小川山で、11人パーティでクライミングのために入山した27歳の女性が、廻り目平付近でロッククライミング中に足を滑らせて転落し負傷する山岳遭難が発生。佐久広域消防本部救助隊員が出動して女性を救助した。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

10月4週は、7件の遭難が発生し、うち4件が疲労や病気による遭難でした。

県内各地で紅葉が見頃を迎えていますが、「ちょっと紅葉を見に」というような観光の延長で入山していませんか?登山は、体に負荷のかかるスポーツです。十分な下調べと自身の体力と経験に見合った登山計画を立て、無理のない行動をお願いします。

そのほかに、「登山に行った家族と連絡が取れない」「携帯電話を機内モードにして連絡が取れなかった」など遭難には至らない連絡漏れ等による問い合わせも散見されました。登山に行かれる際は、帰りを待つ家族や職場等には必ず登山計画を伝え、登山中はこまめに休憩を取り、水分や栄養を補給し、安全登山を心掛けましょう。

例年この時期には、日帰りの予定でも行動中に日没となり、ヘッドライトがなく道に迷い行動不能になる遭難が発生しています。何かしらのアクシデントに備えて、ヘッドライトやビバーク装備、防寒具等は必ず携行しましょう。

北アルプス等の山域では、山小屋が徐々に営業を終了しています。事前に山小屋の営業期間等を確認しましょう。

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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