茨城県鶏足山・焼森山で早春ハイキング。谷を黄色に埋め尽くすミツマタ群生地を訪ねて
春の到来が年々早くなっている近年ですが、各地の低山から春を告げる花便りが続々届いています。人気のミツマタの群生地を訪れる早春ハイキングのご紹介です。
写真・文=奥谷 晶
季節外れの春の陽気が続き、春を知らせる花々の開花の知らせが続々と届いています。鶏足山(けいそくさん)・焼森山(やけもりさん)のミツマタ群生地も早くもピークを迎えていました。ミツマタはその樹皮が和紙の原料として古代から使われ、春先に、三つに分かれた枝の先に黄色いポンポンの飾りのような花をつけるところからミツマタと名前がつけられたといわれています。
鶏足山、焼森山は標高430mほどの低山です。上赤沢の鶏足山登山口の駐車場から出発し、ファミリーコースと名付けられた登山道を進んで弛み峠(たるみとうげ)に至ります。まずは弛み峠からミツマタ群生地に直行。
両側にミツマタが満開の木が立ち並山道をへて、ミツマタの小径と呼ばれる群生地入口に至ります。ここは戦前に植えられたミツマタが群生地として成長したのが発見され、保護されたものです。遊歩道が整備されていて、ミツマタのトンネルの中を散策できます。林の中のやや薄暗い谷を埋め尽くすミツマタの黄色い半球状の花々に陽光が差し込み、みごとな光景です。
遊歩道は平日にもかかわらず大勢のハイカーでにぎわっていました。帰路には汗ばむ陽気の中を、鶏足山・焼森山山頂をそれぞれピストン。頂上近くには見晴らし台などもあり、陽だまりハイキングを楽しみました。
鶏足山データ
プロフィール
奥谷晶
30代から40代にかけてアルパイン中心の社会人山岳会で本格的登山を学び、山と溪谷社などの山岳ガイドブックの装丁や地図製作にたずさわるとともに、しばらく遠ざかっていた本格的登山を60代から再開。青春時代に残した課題、剱岳源次郎尾根登攀・長治郎谷下降など広い分野で主にソロでの登山活動を続けている。2013年から2019年、週刊ヤマケイの表紙写真などを担当。2019年日本山岳写真協会公募展入選。現在、日本山岳写真協会会員。
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