パーティで入山した以上は下山するまで行動を共にしましょう 島崎三歩の「山岳通信」 第298号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2023年4月26日に配信された第298号では、期間中にあった1件の遭難事故について取りあげ、パーティで入山した以上は、下山するまで行動を共にすることを推奨している。

 

4月26日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第298号では、期間中に起きた1件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 4月23日、黒姫山で、4人パーティで入山した62歳の男性が、下山中に仲間とはぐれ行方不明になる山岳遭難が発生。長野県警察本部警備部機動隊、長野中央警察署山岳高原パトロール隊及び長野市戸隠山岳遭難救助隊が捜索活動を行い、24日に男性の無事が確認された。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

4月3週は、山岳遭難の発生はありませんでした。

さて、登山の準備は進んでいますか?登山用具を買い揃えたり、山行計画を立てたりとワクワクしている方も多いかと思います。登山当日の天気が気になるところですが、登山をするに当たり大切なツールの一つがヘルメットです。
この4月から道路交通法が改正となり、自転車に乗る際にヘルメットの着用が努力義務化されました。頭部を守ることの大切さは、登山においても同じことで、「滑落した際に頭部を守る。」「落石から頭部を守る。」など、登山中のもしもの時に頭部を守ってくれるのが「ヘルメット」です。
登山用ヘルメットは、軽量で通気性に優れたヘルメットが多く販売されていますので、自分の好みに合ったヘルメットを探すのも良いかもしれません。しっかりと頭の形に合ったヘルメットを正しくかぶることが大切です。
ヘルメットがザックに表着したまま登山されている方をお見受けしますが、せっかくヘルメットを持っているのであれば、正しく着用しましょう。

4月4週は、1件の山岳遭難が発生しました。

黒姫山の遭難は、下山中に仲間と別行動をしてしまい連絡が取れなくなってしまった事案です。幸い、翌日に無事が確認されましたが、過去には、別行動中に滑落や転倒等により行動不能となり、助けを求めることができないまま遭難してしまう事例も発生しています。
パーティ登山は、複数人で行動することで登頂の達成感を一緒に味わったり、トラブルに遭遇した時に早期に対応しやすい反面、同行者との体力差があることで自分のペースで行動できないこともあります。しかし、登山は市街地とは違って、通信環境が不安定な場所もあり、簡単に連絡を取ることができない場合があります。
行動中は、ペースが遅い人に合わせるのがパーティ登山の大原則です。
ペースの遅い人が「歩くの遅いから先に行って」「疲れたから先に行って」と同行者に伝え、別行動をしてしまうパーティをよく目にしますが、パーティで入山した以上は、下山するまで行動を共にしましょう。

今週末から大型連休に入ります。春山登山で注意してほしいことについて山岳遭難救助隊ツイッターで発信していますので、是非ご覧ください。
https://twitter.com/NAGANO_P_M_R

 

春山登山に特化した注意喚起をTwitterにて発信

長野県警察山岳遭難救助隊公式Twitterでは、「救助隊長からの7つのお願い」として、春山(残雪期)特有の注意喚起を発信しています。
https://twitter.com/NAGANO_P_M_R

①気象遭難防止(4月11日)
②地形や地図の確認(4月12日)
③雪崩に対する注意(4月13日)、雪崩の脅威(4月14日)
④アイゼン・ピッケル等装備品の携行(4月18日)
⑤アイゼン装着時の注意点(4月19日)
⑥シリセードの危険性(4月20日)
⑦紫外線対策(4月21日)

⇒詳細はこちら

 

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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