下山中の滑落・転倒が多数発生、休憩・エネルギー補給などで集中力を高める対策を 島崎三歩の「山岳通信」 第310号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2023年8月18日に配信された第310号では、下山中に滑落・転倒により発生した遭難事故が大半を占めている状況を説明し、慎重に行動するための対策(休憩・エネルギー補給)をとるように推奨している。

 

8月18日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第310号では、期間中に起きた9件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 8月7日、中央アルプスの濁沢大峰で、単独で入山した41歳の男性が、登山中に滑落して負傷する山岳遭難が発生。長野県消防防災ヘリが出動して男性を救助した。

  • 8月7日、四阿山で、2人パーティで入山した65歳の男性が、四阿山山頂から菅平牧場へ下山中に足を滑らせて転倒・負傷する山岳遭難が発生。長野県警察山岳遭難救助隊員、上田警察署員および上田地域広域連合消防本部隊員が出動して男性を救助した。

  • 8月10日、中央アルプスの空木岳で、2人パーティで入山した74歳の男性が、山頂から木曽殿越へ向けて登山中にバランスを崩して転倒・負傷する山岳遭難が発生。岐阜県警ヘリが出動して男性を救助した。

  • 8月11日、北アルプスの焼岳で、2人パーティで入山した72歳の男性が、焼岳から焼岳小屋に登山中に疲労により同行者とはぐれ行動不能となる山岳遭難が発生。北アルプス南部地区山岳遭難対策協会救助隊員が出動して男性を救助した。

  • 8月12日、八ヶ岳連峰の中岳で、3人パーティで入山した47歳の男性が、山頂から文三郎尾根を下山中に登山道で足を滑らせて転倒して負傷する山岳遭難が発生。諏訪地区山岳遭難防止対策協会救助隊員、諏訪広域消防特別救助隊員および茅野警察署山岳遭難救助隊員が出動して男性を救助した。

  • 8月12日、北アルプスの唐松岳で、4人パーティで入山した63歳の女性が、下山中につまずき転倒して負傷する山岳遭難が発生。警察本部警備部機動隊員、長野県山岳遭難防止常駐隊員が出動して女性を救助した。

  • 8月12日、北アルプスの白馬岳で、2人パーティで入山した63歳の女性が、白馬岳から白馬大雪渓を下山中に疲労により行動不能となる山岳遭難が発生。大町警察署山岳遭難救助隊員および長野県山岳遭難防止常駐隊員が出動して女性を救助した。

  • 8月12日、八ヶ岳連峰の赤岳鉱泉で、20人パーティで11日から入山していた56歳の女性が、12日に赤岳付近を下山中に発病して体調不良により行動不能となる山岳遭難が発生。諏訪広域消防特別救助隊員、茅野警察署山岳遭難救助隊員および県警ヘリが出動して女性を救助した。

  • 8月13日、入笠山で、2人パーティで入山した62歳の男性が、下山中に登山道で足を滑らせて転倒・負傷する山岳遭難が発生。消防ヘリが出動して男性を救助した。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

8月2週は、9件の遭難が発生しました。9件中6件は、下山中に発生し、滑落・転倒によるものが多発しました。

下山中は、疲労や暑さによって体力や集中力が低下しやすく、足下などへの注意力が散漫になりがちです。登頂した喜びや達成感から気を緩めないために、下山中でもこまめに休憩を取り、意識して水分やカロリーを補給して慎重に行動をすることが重要です。

県内では、まだまだ暑い日が続いています。行動中に疲労や熱中症による遭難を防ぐために、入山前から意識して水分やカロリーを多めに補給して対策を取りましょう。

今週は、台風7号の影響により、不安定な天候が続く予報です。過去には、台風による暴風雨で沢の水が増水し、登山道まで浸水して歩行することが困難になったり、沢を渡る際に転落して流されてしまったという遭難も発生しています。悪天候時の行動は、危険を伴いますので、登山を計画されている方は、登山の延期や中止することを念頭に、ゆとりのある計画をお願いします。

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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