天気が急変して突発的な雷雨となる天気に注意、「早出・早着」を。島崎三歩の「山岳通信」 第311号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2023年8月28日に配信された第311号では、突発的な雷雨となる天気が続いている状況を説明。「早出・早着」を心掛け、余裕を持った日程で行動することを促している。

 

8月28日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第311号では、期間中に起きた8件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 8月17日、北アルプスの常念岳で、単独で入山した49歳の男性が、山頂から下山中に転倒して負傷する山岳遭難が発生。安曇野警察署山岳遭難救助隊員、警察本部山岳遭難救助隊員および北アルプス南部地区山岳遭難防止対策協会救助隊員が出動して男性を救助した。

  • 8月18日、北アルプスの南岳で、単独で17日から入山していた60歳の男性が、南岳から天狗原に向けて下山中に、稜線の登山道から外れて行動不能となる山岳遭難が発生。北アルプス南部地区山岳遭難防止対策協会救助隊員が出動して男性を救助した。

  • 8月18日、北アルプスの天狗原の天狗沢付近において、雪渓上に倒れている人を発見したとの通報を受け、富山県防災ヘリが出動。登山者と思われる56歳の男性を発見して救助したものの死亡が確認された。男性は単独で入山していた。

  • 8月18日、八ヶ岳連峰で、単独で入山した54歳の男性が、丸山から麦草峠に向け下山途中の登山道上で転倒して負傷する山岳遭難が発生。佐久広域消防本部消防署員と佐久警察署員が出動して男性を救助した。

  • 8月19日、北アルプスの蝶ヶ岳で、単独で入山した53歳の男性が蝶ヶ岳から三股登山口に向けて下山中に、登山道上で左足首をひねって転倒し負傷する山岳遭難が発生。県警ヘリで男性を救助した。

  • 8月19日、北アルプスの槍ヶ岳で、2人パーティで17日から入山していた54歳の男性が、槍ヶ岳から上高地に向けて下山中、疲労により行動不能となる山岳遭難が発生。松本警察署山岳遭難救助隊員および長野県山岳遭難防止常駐隊員が出動し、県警ヘリで男性を救助した。

  • 8月20日、北アルプスの涸沢で、12人パーティで18日から入山していた66歳の女性が、奥穂高岳から横尾へ向けて下山中にバランスを崩して転倒し左足首を負傷する山岳遭難が発生。長野県山岳遭難防止常駐隊員および北アルプス南部地区山岳遭難防止対策協会救助隊員が出動して女性を救助した。

  • 8月20日、御嶽山で、単独で入山した65歳の男性が、御嶽山五ノ池に向けて三ノ池付近を登山中に転倒して左足を負傷し、行動不能となる山岳遭難が発生。木曽地区山岳遭難防止対策協会救助隊員、警察本部地域部山岳安全対策課救助隊員が出動して、県警ヘリで男性を救助した。

御嶽山での遭難現場/長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)8月21日付

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

8月3週は、1件の死亡遭難を含む8件の遭難が発生し、2週に続き、下山中に発生した遭難が多数ありました。
下山は、登りと異なり肉体的な疲労に加え精神的な疲労も溜まりますので、登り以上に足元や周囲の状況に注意して慎重に行動しましょう。

3週は、単独登山中の遭難が大半を占めていました。単独登山は、仲間に気を遣うことなく自分のペースで行動ができますが、万一トラブルに遭遇した場合や遭難した際には、救助を要請できないことがあり、最悪の場合、死亡や行方不明遭難など重大な結果を招くおそれがあります。
単独で登山に行かれる際には、複数人での登山よりも多くのリスクを伴うということを認識し、登山計画を家族や職場等に確実に伝えた上で安全登山を心掛けた行動をお願いします。

県内は、午前中は快晴でも午後になると天気が急変し、突発的な雷雨となる天気が続いています。
行動中は空の状況を観察し、「急に風が吹いてきた」「雲が湧き出ててきた」といったような変化は天気が急変する兆しですので注意が必要です。「早出・早着」を心掛け、余裕をもった日程で行動をしましょう。

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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