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山に登る喜びをページに詰め込んで

1930(昭和5)年、大学を卒業したばかりの一人の青年が、新しい山岳雑誌を立ち上げた。かの田部重治の名著を題号に借り受けた雑誌『山と溪谷』は当時の登山者の評判を呼び、創刊号は2度の増刷を重ねることになる。

当時は世界恐慌真っただなかで日本経済も苦しい状況に置かれていたが、大正期に始まった登山人気は衰えることなく、この新しい登山雑誌のスタートを後押しした。終戦前後に休刊する時期があったものの、1946(昭和21)年にいち早く復刊を果たし、マナスル初登頂で巻き起こった空前の登山ブームを後押しした。以後、山を愛する読者に支えられて2018年に通巻1000号を発行。現在も毎月、山に登る喜びをページに詰め込んで、読者を山に誘っている。

『山と溪谷』は、季節ごとの山のコースガイドや最新の登山技術といった実用情報のほか、人類の限界を押し広げるアルピニズムの現在地、山を取り巻く社会問題、山や自然を表現した文化など、幅広い視点で山や登山に関する記事を作り続けてきた。そこには時代と共に変化する登山のありようを見ることができるが、同時にいつの時代も変わらない登山者たちの息遣いを感じることができる。

雑誌『山と溪谷』の歴史
雑誌『山と溪谷』特集より

最新号から、秀逸な特集記事を抜粋してお届け。

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