雪山シーズンに向けて準備はできていますか? 装備、技術、知識を整えてから入山を 島崎三歩の「山岳通信」 第323号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2023年12月7日に配信された第323号では、本格的な雪山シーズンに備えた準備を着実に進めるよう提言している。

 

12月6日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第323号では、期間中に起きた1件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 12月7日、北アルプスの大天井岳で、単独で入山した42歳の男性が、常念岳から燕岳に向けて縦走中に疲労により行動不能となる山岳遭難が発生。男性は無事に救出された。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

11月4週には、1件の山岳遭難が発生しました。悪天候の中、単独で常念岳から燕岳に向けて縦走中、疲労と寒さなどにより行動不能となってしまったものです。北アルプスなどの高山だけでなく、標高の低い山域でも徐々に降雪が観測されるようになっています。今後、年末年始に向けて各山域では、更に積雪が増える可能性があります。積雪は、冬山登山において、体力の消耗や行動時間に大きく影響します。計画段階から積雪を考慮した余裕のある日程と積雪に対応できる装備品の携行を心掛けましょう。

また、この時期は、日没時刻が早いため、里山登山やハイキングなどでもゆとりある行動とヘッドランプや防寒着、行動食を携行し、「もしも」に備えましょう。

車で登山口まで行かれる方は、スタッドレスタイヤへの交換は済んでいますか。長野県内は平地でも積雪が観測され、場合によっては登山口まで通じる道路が凍結している場合があります。途中、車のスリップ事故や立ち往生して車が動かない事態に備え、あらかじめスタッドレスタイヤへの交換やタイヤチェーンの積載確認なども忘れずにお願いします。

12月に入り、いよいよ冬山シーズンとなりました。例年この時期には、登山のほかバックカントリーやアイスクライミングの遭難も発生しています。バックカントリーやアイスクライミングは、通常の冬山登山よりもリスクのある行動となります。安全に楽しむためには、冬山登山の経験・知識・技術にプラスしてそれぞれの特殊なスキルが求められます。講習会などを通じて正しい知識と技術の習得に努めてください。

今後は、降雪により登山者のトレース(足跡)が消失するため、ラッセルやルート判断を行なわなければならず、夏山登山以上に時間や体力、知識や技術が必要になります。特に単独登山は、そのすべてを一人で行わなければならないことから、慎重な計画と無理のない行動をお願いします。

積雪は、冬山登山において行動時間に大きく影響します。計画段階から、積雪を考慮した余裕のある日程と積雪に対応できる装備品の携行をお願いします。

 

第4回 講演会「雪崩から身を守るために」in 白馬

開催日時: 2023年12月11日(月) 14時~21時
開催場所: 白馬村ウイング21(長野県北安曇郡白馬村北城2066)
主催: 雪崩事故防止研究会
共催: 白馬村・小谷村・(一社)白馬村観光局・(一社)小谷村観光連盟
申込: 事前申込(定員500名、無料)

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プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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