南アルプス南部調査人、四国遍路を歩く② 歩き遍路の計画と装備など

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

弘法大師空海が修行した地・四国と、ゆかりの八十八寺をお参りする巡礼・四国遍路。南アルプス南部を主なフィールドとして長らく山歩きに傾注してきた筆者が、数カ月に渡って通い続け、歩き遍路を結願(けちがん、すべての霊場を回り終えること)した。その記録とともに、登山経験豊富な筆者ならではのアドバイスをつづっていく。

文・写真=岸田 明、カバー写真=室戸岬の直前にある純白の修行大師像。遠くから確認でき、あたかも遍路に対する灯台のようだ

「区切り打ち」のポイント

社会人の歩き遍路の場合、休暇取得の都合や疲労などの点から区切り打ちが多く、筆者は結願までに9回もの区切り打ちをして、遍路日数で約41日、行き帰りを含めて実質51日かかっている。

区切り打ちの起終点は鉄道駅にするとよい。徳島県では徳島、立江(たつえ)、日和佐(ひわさ)、牟岐(むぎ)の各駅。高知県では奈半利(なはり)、安芸(あき)、のいち、後免(ごめん)、窪川、中村、宿毛(すくも)の各駅などが主要な起終点のポイントになる。愛媛県では宇和島、そして松山から高松までは遍路道とほぼ平行して鉄道が走っているので、区切りポイント選定の幅が格段に広がる。

宿については、かつてはその日の昼ごろに宿泊する宿を決めて予約を入れればよかったようだが、コロナ禍および高齢化の影響で遍路宿の廃業が進んで数も減り、以前と同じようにはいかなくなっている。そのため、数日前までに予約を入れておくのが安心で、その予約の可否によって日ごとの行動計画も変わってくる。松山以降は適当な所に宿がなくても、鉄道を利用して宿のある駅まで往復することもできる。

予約したものの、たどり着くのが難しい場合、キャンセルは早めに伝え、到着時間が遅くなる場合は到着予想時刻の連絡を宿に入れるのがマナーだ。

〉JR土讃線・土佐久礼(とさくれ)駅近くのガードをくぐる遍路道
JR土讃線・土佐久礼(とさくれ)駅近くのガードをくぐる遍路道

野宿や遍路小屋泊は、コロナ禍以降は地元での受け入れが厳しくなった。野宿の場合、体力に加え大変な精神力とどこでも寝られる図太さが必要だが、地元の方々の了解をいただくのと、周辺を汚さないことが大前提だ。遍路小屋泊はほとんど禁止されているが、それでも一部、大師堂、通夜堂、善根(ぜんこん)宿などと呼ばれる施設に泊まれる可能性はある(要確認)。

NEXT 一日にどれだけ歩けるか
1 2 3 4

プロフィール

岸田 明(きしだ・あきら)

東京都生まれ。中学時代からワンゲルで自然に親しんできた。南アルプス南部専門家を自認し、今までに当山域に500日以上入山。著書に『ヤマケイアルペンガイド南アルプス』(共著・山と溪谷社)、『山と高原地図 塩見・赤石・聖岳』(共著・昭文社)のほか、雑誌『山と溪谷』に多数寄稿。ブログ『南アルプス南部調査人』を発信中。山渓オンラインに記事多数投稿。また最近は四国遍路の投稿が多い。

四国遍路の記事:https://www.yamakei-online.com/yama-ya/group.php?gid=143/

歩き遍路旅の魅力と計画アドバイス

登山経験豊富な筆者ならではのアドバイスと、その記録

編集部おすすめ記事