南アルプス南部調査人、四国遍路を歩く② 歩き遍路の計画と装備など

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

弘法大師空海が修行した地・四国と、ゆかりの八十八寺をお参りする巡礼・四国遍路。南アルプス南部を主なフィールドとして長らく山歩きに傾注してきた筆者が、数カ月に渡って通い続け、歩き遍路を結願(けちがん、すべての霊場を回り終えること)した。その記録とともに、登山経験豊富な筆者ならではのアドバイスをつづっていく。

文・写真=岸田 明、カバー写真=室戸岬の直前にある純白の修行大師像。遠くから確認でき、あたかも遍路に対する灯台のようだ

一日にどれだけ歩けるか

総延長およそ1200kmにもなる歩き遍路の日ごとの計画を考える際、重要な要素は一日に何キロ歩けるかだ。平地であれば通常毎時4km程度は歩けるが、それを何時間続けられるかは個人差があるので、日ごろからトレーニングしておき、自分の力量を知っておくべきだろう。

筆者の場合、結果として一日の平均歩行距離は約30kmで、ほぼ事前に予想していた距離になった。ただこれは平均であって、一日に参拝する霊場が多い場合や、高低差のある山寺参拝がある場合はここまでの距離にはならない。逆に霊場がない区間では40km程度歩いたこともあった。交通の便と宿の所在地の関係で、歩ききるのが特に大変な区間があるが、それについては次回で触れることとする。

〉太龍寺遍路道の林道から山道に入る地点。遍路道にはこのような遍路石が数多く残っている
太龍寺遍路道の林道から山道に入る地点。遍路道にはこのような遍路石が数多く残っている

一日の行動計画や注意点など

遍路宿の大半は朝食が6時か6時半、夕食は夜6時の所が多い。ホテルや素泊まりであれば、出発時刻の自由度は上がる。なお、昼食時間に飲食店のそばを通過することはほとんどないので、昼食は事前購入か、可能であれば遍路宿におにぎりを作ってもらい携行する。

参拝については、霊場の納経所(御朱印所)は朝7時から夕方5時まで開いているので(2024年4月からは朝8時から夕方5時に変更)、一日の出発・到着地が霊場付近の場合は、それを考慮するとよい。作法についてだが、通常の社寺参拝と異なるのは、本堂と大師堂の二箇所にお参りすることである。また参拝の後に納経所を訪れるのが順序だが、通常の作法で参拝し、納経するまでにおよそ20分程度はかかる。また団体がいる場合は、待ち時間が発生することもある。なおトイレは霊場で必ずすませ、またその日の行程でどこにトイレがあるか、事前に概要を把握しておくこと。

ほか霊場により可能であれば、納札前に鐘を打つとよい。参拝する時の心持ちがまったく異なってくるのでおすすめである。

NEXT 装備について
1 2 3 4

プロフィール

岸田 明(きしだ・あきら)

東京都生まれ。中学時代からワンゲルで自然に親しんできた。南アルプス南部専門家を自認し、今までに当山域に500日以上入山。著書に『ヤマケイアルペンガイド南アルプス』(共著・山と溪谷社)、『山と高原地図 塩見・赤石・聖岳』(共著・昭文社)のほか、雑誌『山と溪谷』に多数寄稿。ブログ『南アルプス南部調査人』を発信中。山渓オンラインに記事多数投稿。また最近は四国遍路の投稿が多い。

四国遍路の記事:https://www.yamakei-online.com/yama-ya/group.php?gid=143/

歩き遍路旅の魅力と計画アドバイス

登山経験豊富な筆者ならではのアドバイスと、その記録

編集部おすすめ記事