県内の積雪量は増加中。雪のコンディションを確認して入山を 島崎三歩の「山岳通信」 第327号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2024年1月18日に配信された第327号では、積雪量の増加に伴いバックカントリーでの遭難が増加している現状を分析。天気予報を確認してリスクの高いコンディションでは入山の見合わせも検討するよう呼びかけている。

 

1月18日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第327号では、期間中に起きた5件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 1月9日、北アルプスの硫黄岳で、2人パーティで入山した46歳と49歳の男性が、七倉登山口から入山して硫黄岳付近を登山中に雪崩に巻き込まれる山岳遭難が発生。1人は無事救出されたものの、もう1人は死亡が確認された。

  • 1月11日、北安曇郡小谷村地籍の親沢付近の山中で、6人パーティで入山した22歳の男性が、バックカントリーをスキーで滑走中に転倒、負傷する山岳遭難が発生した。

  • 1月13日、北安曇郡白馬村大字神城地籍の犬川付近の山中で、単独で入山した46歳の男性が、バックカントリーをスノーボードで滑走中に道に迷い行動不能となる山岳遭難が発生した。

  • 1月14日、八ヶ岳連峰の天狗岳で、8人パーティで入山した51歳の女性が、テント場で停滞中に体調不良により行動不能となる山岳遭難が発生した。

  • 1月14日、北アルプスの八方尾根で、複数人で入山した30歳の男性が、崩沢付近のバックカントリーを滑走中に雪崩に巻き込まれる山岳遭難が発生。男性の死亡が確認された。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

1月2週は、2件の死亡遭難を含む5件の山岳遭難が発生し、うち3件はバックカントリー遭難でした。

週末に発生した雪崩遭難では、前日の夜に長野県内は北部地域や白馬方面では大雪が観測され、翌日は高気圧に覆われ天候が回復し、気温が上昇して雪崩のリスクが高まりやすい状況でした。
雪崩は、降雪や雪質、気温の変化、風などのさまざまな条件が重なることで発生します。入山する際は、数日前からの降雪状況や温度の変化、風雪の状況などを確認し、雪崩警報や注意報が発出されている場合は入山を控えることも大切です。

県内の山域では、降雪が続き、積雪量が増え本格的なバックカントリースキーやスノーボードシーズンとなっていますが、バックカントリーは非圧雪、非整備の斜面を滑走するのを目的としているため、登山以上に高いリスクが伴うことを念頭に慎重な行動を心掛けてください。

今週県内では、再び冬型の気圧配置となるため、大雪が予報されています。登山やバックカントリーを計画されている方は、中止又は延期する判断も視野に入れて、安全を最優先とした行動をお願いします。

スキー場及びバックカントリーエリアにおける日本人向け安全啓発動画

長野県では、スキー場及びバックカントリーエリアにおける安全啓発動画を日本人向けにも公開しています。

長野県内のスキー場利用の注意点、バックカントリースキーの魅力とリスクや安全に楽しむ方法について、ぜひ事前にご覧ください。

スキー場編

バックカントリー編

⇒長野県山岳総合センター啓発動画一覧
(長野県山岳総合センター Youtubeチャンネル)

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

⇒バックナンバーはコチラ!

島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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