ゴールデンウィーク直前! 全国現地最新情報2024

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待ちに待ったゴールデンウィークが始まります。大型連休中の天気や残雪状況、開花のタイミングなど、全国の登山地から最新の情報をお届けします。

文=生田悦代

2024年、ゴールデンウィークの各地の様子は?

毎年「今年は雪が少ない」という声を聞く。ここ数年の積雪状況と比較すると、今年は例年並みの積雪。全国的に2月は比較的暖かく積雪が足りなかったが、3月に入り降雪量は増加。4月は暖かい日が多く、融雪が進んだ。

おおむね西日本はすでに雪がないところがほとんどだ。北アルプスの稜線はまだまだ雪山の状態。八ヶ岳や奥秩父でもまだまだ雪が残るところは腐った雪の踏み抜きに注意が必要。また融雪後でも雪が氷状に残るところではアイゼンなどが必要だ。

*4月26日時点での情報。計画を立てる際は最新の情報をチェックすること。

2024年4月21日時点での安達太良山(写真=まきさん)
2024年4月21日時点での安達太良山(写真=まきさん

全国登山地最新情報

北海道/旭岳(あさひだけ)

入山装備に油断なく/旭岳ビジターセンターより

4月の旭岳山麓は気温が高い日が続いたので湿原の雪が割れ始め、リュウカンカが咲いています。ゴールデンウィーク中にはミズバショウも開花しそうです。
旭岳全体としては去年と比べても比較的早めの融雪状況ですが、ロープウェイの上の駅から外は完全な雪山です。場所により積雪、融雪は大きな差があります。入山には雪山登山装備+スノーシューが必要です。冬用の登山靴とアイゼンだけでは潜ってしまいます。
旭岳ロープウェイのウェブサイトが参考になります。積雪量やライブカメラがあるので、入山前に確認しましょう。

東北/朝日岳(あさひだけ)

ブナの芽吹き/朝日鉱泉より

山荘までの林道は手前7kmまで開通。ここまで車はノーマルタイヤでも大丈夫です。
今年は3月にまとまった降雪がありました。山荘付近はブナの芽吹きを迎えました。今年はブナの花がたくさんついています。標高1000m以上は完全な雪山です。爪の多いアイゼンとピッケルやサングラスなど雪山登山装備が必要です。昨年のこの時期ほど倒木はないようですが、GPSなどで登山ルートをロストしないように注意してください。

東北/会津駒ヶ岳(あいづこまがたけ)

道迷いに注意/会津駒の小屋より

登山始まりの滝沢登山道では一番初めに咲くマンサクが咲いています。
積雪は例年よりも雪はかなり少ないですが、標高1400mまでは融雪と残雪交じり、そこからも小屋下から山頂まではたっぷり雪が残っています。小屋前でまだ2m以上の雪があります。登山中は道迷いに注意が必要です。

小屋前で2m以上の積雪あり(写真=会津駒の小屋)
小屋前で2m以上の積雪あり(写真=会津駒の小屋)

上信越/尾瀬(おぜ)

まだ雪があり防寒防水対策は必須/尾瀬保護財団より

尾瀬は一面が雪に覆われているため、入山する場合にはしっかりとした装備が必要です。
至仏山(しぶつさん)の残雪期利用期間は4月19日(金)~5月6日(月)。今シーズンは残雪が非常に少ない状況(融雪状況により規制区域変更の可能性あり)。ルート選択に注意が必要です。スノーブリッジはないようですが、至仏山下部では雪が消えるので、樹林帯での道迷いに注意しましょう。

関東/高尾山(たかおさん)

混雑するため行き交い注意/高尾山ビジターセンターより

6号路ではスミレのなかでも遅い時期に咲き出すコミヤマスミレが開花しています。またヤマユリソウ、チゴユリ、シャガなど春らしい花が開花しています。雨後はぬかるむので足元に注意してください。なおゴールデンウィーク中の高尾山は例年大変混雑するため、4月27日(土)~5月6日(月)は6号路の琵琶滝~5号路の交点の区間が登り方向の一方通行となります。(8時~14時まで)。

関東/瑞牆山(みずがきやま)

氷状になって残る残雪は手ごわい/瑞牆山荘より

東京から近く、山麓からも比較的アプローチのよい瑞牆山、金峰山ですが、こちらははまだ冬の色が濃く残っています。日陰に残る雪は固く氷状になっているところがあります。そのためゴールデンウィークまでは瑞牆山でもチェーンスパイクを携行しましょう。山頂直下に凍結があります。金峰山は6本爪以上が安心です。
ゴールデンウィーク中は、JR韮崎駅からみずがき山荘方面行きの茅ヶ岳みずがき田園バスが連日運行中。

関東/甲武信ヶ岳(こぶしがたけ)

日陰や樹林帯に氷が残っています/甲武信小屋より

北側からのアプローチでは毛木平(もうきだいら)駐車場まではまったく雪もなくてノーマルタイヤで問題ありません。
標高が上がると残雪が氷になって残っているところがあり、ゴールデンウィークはチェーンスパイクなどが必要です。山梨側からの登山道も木賊(とくさ)山周辺では日陰や樹林帯に固くなった雪が残るため同様の装備が安心です。テント場はすべて雪の上になります。
この時期の奥秩父主脈縦走(金峰山~甲武信岳~雲取山)は里の春に誘われて安易に足を踏み入れてはいません。重い雪の踏み抜き、倒木など夏山の倍かそれ以上に時間がかかります。また一部ルートファインディングも必要です。

八ヶ岳/赤岳(あかだけ)・硫黄岳(いおうだけ)・阿弥陀岳(あみだだけ)

稜線までの樹林帯は踏み抜きに注意/赤岳鉱泉より

美濃戸(みのと)~赤岳鉱泉までは一部残雪が残る箇所があります。必要に応じてチェーンスパイクなどを使うといいでしょう。赤岳鉱泉のテントサイトはほぼ雪はありません。赤岳鉱泉から稜線へは樹林帯の残雪が腐っているため下りは特に踏み抜きに注意。日当たりのよいところは融雪し文三郎(ぶんざぶろう)の階段も出ています。稜線もほぼ雪はありませんが、赤岳に行く人は6本爪アイゼンを持っていると安心です。

北八ヶ岳/北横岳(きたよこだけ)

樹林帯の雪に注意/北横岳ヒュッテより

4月21日(日)時点で、ヒュッテから山頂直下までの樹林内には1m程度の残雪がありますが、山頂は陽当りがいいので雪は消えています。
気温が高い日は濡れ対策が必要です。気温上昇時や雨の降った後に冷え込むと、登山道の雪は氷化します。アイゼンは6本爪の軽アイゼン以上の使用をおすすめします。チェーンスパイクは湿雪が付着しやすいため、滑り止め効果を期待できないことがあります。
例年のことですが5月中旬までは降雪することがあり、6月上旬まで登山道の一部は氷雪路です。

南アルプス/甲斐駒ヶ岳(かいこまがたけ)

小屋から上は油断禁物/甲斐駒ヶ岳七丈(しちじょう)小屋より

麓から七丈小屋までの登山道は、刀利天狗までは融雪。刀利天狗から先は雪が増えてくるのでチェーンスパイクを装着すると安心です。七丈小屋から先は12本爪アイゼンとピッケルが必須です。雪面が硬く締まり所々に凍結箇所があります。転倒、滑落に要注意。

北アルプス/涸沢岳(からさわだけ)

積雪少なくても油断せず/涸沢ヒュッテより

近年同様、積雪量はかなり少ないです。北穂高岳(きたほたかだけ)直下から発生した底雪崩により本谷出合下部までデブリのため沢沿いは上がれません。本谷橋を渡り夏道沿いに涸沢へ上がってください。氷が出ているところもあるので、軽アイゼンより6~10本程度のアイゼンの方が歩きやすいでしょう。涸沢カールは全面雪。テント場もデブリがあるので、安全な場所をヒュッテで確認しましょう。

北アルプス/穂高岳(ほたかだけ)

稜線はまだ厳冬期同然/穂高(ほたか)岳山荘より

まだ冬山です。5月でも雪が降ります。雪山装備が必要(万全の防寒、防水対策で)。山荘まで来るには前爪のあるアイゼンとピッケルが必要です。
ルートはゴールデンウィーク中はトレースされると予想されます。テントサイトは全面雪の上です。水場がまだ雪の下のため通過者の給水は有料です。

北アルプス/槍ヶ岳(やりがたけ)

槍沢上部は雪の急傾斜/槍ヶ岳山荘より

今年の積雪は昨年よりは多いですが、一昨年よりは少ないです。登山道は横尾から槍沢ロッヂまでは一部地面が出ているところがあります。槍沢ロッヂ付近はまだまだたっぷり雪があるので、踏み抜きに注意してください。
稜線付近はまだ完全な雪山です。前爪のあるアイゼンとピッケルが必要です。殺生ヒュッテと槍ヶ岳山荘の間にある大岩も完全に雪で埋もれています。稜線が近づくにつれ、傾斜は急になり天候によっては足元の雪が非常に固くなるため慎重に。

頂上付近はまだ冬山の様相(写真=槍ヶ岳山荘)
頂上付近はまだ冬山の様相(写真=槍ヶ岳山荘)

北アルプス/立山(たてやま)

晴天は強い日差し、好天は厳冬期同様になります/立山室堂山荘より

室堂平(むどろうだいら)はまだ雪に覆われていますが、融雪により雪面はゆっくりと沈んできています。稜線付近はアイゼン、ピッケルが必要です。稜線以外はスノーシューが必要なところもあります。室堂の気温は−10℃~10℃前後。基本は雪山登山装備で。稜線は天候により強い風が吹くため、対応できるウェアや目出帽、予備手袋も必要です。紫外線が強くサングラスは必須です。
今年に入り遭難が多発しています。この時期の立山は、天候が悪化すると冬山と同じ環境になるため、登山の難易度も高くなります。4~5月の立山一帯への登山者およびスキーヤーは「入山届」の提出(室堂ターミナルにて)と「雪崩ビーコン」の携帯が必要です。

中央アルプス/木曽駒ヶ岳(きそこまがたけ)

融雪進み落石に注意/宝剣(ほうけん)山荘より

現在の積雪はカール内で260cm、稜線上で40cmほど。今後融雪が進みます。雪上を落ちる落石に警戒が必要。アイゼンは10本爪以上、ピッケル、ヘルメット、気温低下に耐えうるハードシェルは必須装備です。宿泊には予約が必要。ゴールデンウィークの営業日は4月27日(土)~5月5日(日)まで。山の最新情報はFacebookでお知らせしています。

北陸/白山(はくさん)

まだまだ雪山です/白山室堂より

白山室堂は5月1日(水)から営業。宿泊には予約が必要です。
登山道には積雪があり、アイゼンやピッケルなど3000m級山岳の雪山登山装備が基本。気温、天候による雪のコンディションに注意が必要です。白山室堂の水場は5月1日(水)より開放予定。白山室堂のサイトでは5月1日(水)から天気情報を掲載予定です。アプローチの白山公園線は冬期閉鎖中のため、市ノ瀬(いちのせ)~別当出合(べっとうであい)へは林道を歩くことになります。
砂防新道の甚之助避難小屋内(1960m)にある冬季トイレは使用できません。別当出合休憩舎裏手の冬季トイレは使用可能。白山室堂の冬季トイレは5月1日(水)から使用可となります。

関西/大杉谷(おおすぎだに)

京良谷付近の通過に注意/大杉谷登山センターより

2024年は4月19日(金)より開山しました。全長約16km、高低差1415mの登山道で、登りが9割を占めています。日帰りの通り抜けは困難のため、最低でも山小屋で一泊しましょう。京良谷(きょうらだに)付近の石畳では石積みの一部で崩落している箇所があります。付近を通過する際は、谷側を歩かず極力山側を歩くようにしてください。防寒対策、ヤマビル対策に留意してください。大杉谷入山協力金にみなさまのご協力をお願いします。

中国・四国/剣山(つるぎさん)

熱中症、脱水、日焼け対策を/剣山頂上ヒュッテより

4月27日(土)から営業します。宿泊予定の人は事前に予約をしてください。宿泊者にかぎり下山用の飲料水を無料で提供しています。
登山道に雪はありません。地震の影響もありません。トイレ使用可能です。思いのほか暑くなりますので、熱中症、脱水、日焼けに要注意です。
剣山観光登山リフト付近ではオオカメノキの花が咲き始めました。リフトは5月1日(水)~5月6日(月)の期間は、朝8時より運転します。

中国・四国/石鎚山(いしづちさん)

登山道の混雑に注意/石鎚神社頂上小屋より

5月1日(水)より営業開始します。宿泊は予約ください。
登山道に雪はありません。ゴールデンウィーク中の登山道は大変混雑するためすれ違いに注意しましょう。また混雑で時間もかかることを考慮して早出早着を心がけてください。
ゴールデンウィーク期間中の石鎚登山ロープウェイは、7時40分~18時に運行しています。

九州/九重山(くじゅうさん)

アプローチが混雑します/法華院(ほっけいん)温泉山荘より

山荘周辺ではアセビが見頃を迎えています。例年より少し早くドウダンツツジの緑が出てきました。登山中は熱中症に注意しましょう。
ゴールデンウィーク中は長者原(ちょうじゃばる)地区に臨時駐車場が開設されます。長者原から各登山口を結ぶ臨時もバス運行。毎年車道や駐車場の混雑で出発が遅れるケースが多発しており、マイカーもバスも登山スタートが遅くならないように道路状況などの確認を。
くじゅうファンクラブ(阿蘇くじゅう国立公園 長者原ビジターセンター)もFacebookにて最新情報を発信しています。

ゴールデンウィークに登りたい山

2024年のGWは、4月27日(土)から4月29日(月)の3連休と、5月3日(金)から5月6日(月)の4連休の長期休みとなります。 この大型連休をどのように過ごしますか?  長距離縦走から登山と観光を混ぜた計画まで、GWだからこそできる登山のプランを紹介します。

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