梅雨こそ行きたい低山ハイク、アジサイを愛でに雨引山へ
読者レポーターより登山レポをお届けします。スラ男さんは、筑波連山・雨引山(あまびきさん)に登り、下山後はアジサイで有名な雨引観音(あまびきかんのん)へ。
文・写真=スラ男
ジトジトと体にまとわりつく湿度、不安定な空模様。梅雨は山から足が遠のいてしまいますが、なんとか晴れ間を狙ってこの時期ならではの花、アジサイを愛でに行きたいところです。あじさい祭りに合わせて、茨城県桜川市の雨引観音をめざします。
公共交通機関を利用して、JR水戸線岩瀬駅からスタート。駅から路線バスで雨引観音へ直行することも可能ですが、お寺まで連なる山々を歩いていけるのがハイカーの特権。ところが、登山口へ向かっていると、雨脚が激しくなってきました。当日の天気は早朝のみ雨でその後は晴れる予報だったのですが、これは・・・!
登山道に入ると、低山らしい樹林帯の天幕が雨をさえぎってくれました。登山口となる御嶽山から筑波山まで続く山々は「関東ふれあいの道」であると同時に、山岳信仰が色濃く残っています。御嶽山には修験道の雰囲気たっぷりの不動の滝が。
山頂まではよく整備されたつづら折りの道を登っていきます。途中にはヤマアジサイが自生しており、雨に濡れてしっとりと艶やか。雨ならではの風景に思わず笑顔です。坂を登り詰めると御嶽神社に着きました。近くにある東屋は展望台でもありますが、自慢の眺めは晴れの日にお預けです。
御嶽神社を後に、緑豊かなトレイルを進みます。実はこの御嶽山は地元有志の方が整備されているそう。アジサイもきれいですし、観光協会によればヤマザクラと紅葉がみごととのことなので、これは時期を変えて再訪したいところですね。
そうそう、今の季節は花だけでなく、山の小さな生きものたちも活発です。足元でガサッと動いたそれは大きなヒキガエル! かわいい!とカメラを構えると、フイッとそっぽを向かれてしまいました(笑)。
採石場脇を通り、階段のアップダウンを経て雨引山までの長い階段でラストスパート。この辺りまで来たころには雨も止んでいましたが、湿度が猛威を振るいます。滝のような汗をかきながらのスチーム・ハイク。みなさま、熱中症対策は万全に。
標高409mの雨引山は、その名の通り雨乞い信仰の伝わる山ですが、豊かな植生と花崗岩の地質にも注目です。この先の加波山(かばさん)や筑波山含めた筑波山地域はジオパークに認定されており、山を歩くことでこの地に根付いたストーリーをたどることができます。健脚の方はぜひ縦走してみてください。
さて、雨引山からは麓にある雨引観音へ下山します。細く粘土質な道もあるので足運びは慎重に。途中「ミャ~オ!」とけたたましい声が響きました。お寺に着くと、満開のアジサイと参拝客で大にぎわい。カワイイ写真が撮れるような、お寺側の粋な工夫もあちこちにあるので見逃せません。
境内を散策していると、飾り羽をバサッと広げたクジャクに道をふさがれました。実はこのクジャクは境内で放し飼いにされており、先ほどの声の主でもあります。一般的に羽を広げるのはメスへの求愛行動ですが、人に対しては縄張りを示す威嚇行動とも。なるほど、邪魔しないように退散しましょう。
ところで、社寺の手水舎や水鉢に浮かぶ花を見かけたことはありませんか?花手水(はなちょうず)といって、季節の花を工夫してより長く美しく魅せる粋な習わしなのですが、雨引観音ではさらに池一面に浮かべられたアジサイの「水中花」を楽しむことができます。ハート形やカラフルにまとめられた水中花は必見のイベントで人気を集めているそうです。
あじさい祭りに合わせて訪ねた雨引山でしたが、筑波山地域は春も秋も見どころたくさん。雨引観音にはクジャクを始め、アヒルやカモが自由に散歩し、ヤギもいるとのことなので動物園要素を取り入れた親子ハイクも楽しめそうです。路線バスで岩瀬駅に戻り、帰途につきました。
(山行日程=2024年6月16日)
登山×社寺には御朱印を

MAP&DATA
コース
JR岩瀬駅~御嶽山登山口~雨引山~雨引観音(参考コースタイム:2時間30分)

スラ男(読者レポーター)
関東近郊の低山をメインに活動。低山で出会う、人と山とが深く結びついた歴史や民俗などを調べるおもしろさにのめりこみ、低山ワールドのさらなる深みへ。そのおもしろさを親子で分かち合いたく、子どもたちの原体験を育む意味も込めて親子ハイキングを始める。
この記事に登場する山
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