南アルプス南部調査人、四国遍路を歩く⑥南海トラフ地震と遍路

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弘法大師・空海が修行した地・四国と、ゆかりの八十八寺をお参りする巡礼・四国遍路。南アルプス南部を主なフィールドとして長らく山歩きに傾注してきた筆者が、数カ月にわたって通い続け、歩き遍路を結願(けちがん、すべての霊場を回り終えること)した。その記録とともに、登山経験豊富な筆者ならではのアドバイスをつづっていく。

写真・文=岸田 明 トップ写真=高知県土佐市にある安政地震(1854年)・津波の碑

目次

土砂災害警戒区域の遍路道と霊場

急傾斜地崩壊特別警戒区域の箇所

土砂災害の恐れがある急傾斜地崩壊特別警戒区域に含まれる遍路道の区間は、以下の通り。青字リンクよりヤマタイム地図で場所を確認できる。
【徳島県】
1 鍋岩~鮎喰川~船盡比賣(ふなはてひめ)神社 ※地滑警戒区域を含む
2 大坂峠(牟岐の先) ※国道のほうが危険
【高知県】
3 入木(いりき)川最御崎寺(ほつみさきじ) ※数え切れない警戒区域を通過
4 室戸スカイライン入口~第二十五番津照寺(しんしょうじ)~第二十六番金剛頂寺(こんごうちょうじ)の麓 ※ほぼ全区間警戒区域
5 金剛頂寺不動岩への下降点~奈半利(なはり)東 ※数え切れない警戒区域を通過
6 安田町交差点東付近~伊尾木(いおき) ※ほぼ全区間警戒区域
7 真念庵出口下ノ加江大橋 ※国道を歩き続けたほうが安全
8 ヘンロ小屋・足摺・第20号松尾峠トンネル入口 ※土石流特別警戒区域も4カ所横断
9 大浜中浜 ※県道の方が安全
10 ジョン万次郎資料館入口落窪化石漣痕(れんこん) ※土石流特別警戒区域も4カ所横断
11 和田分岐延光寺遍路道入口 ※国道のほうが安全
【愛媛県】
12 大洲北只(おおずきたただ)郵便局手前 ※国道・子持坂のほうが安全
13 小田川田渡川全区間 ※土石流特別警戒区域もある

急傾斜地崩壊特別警戒区域内および付近にある主な霊場

【徳島県】第十番切幡寺(きりはたじ)、第十一番藤井寺(ふじいでら)、第十二番焼山寺
【高知県】第二十五番津照寺、第二十七番神峯寺(こうのみねじ)、第三十五番清瀧寺(きよたきじ)
【愛媛県】第四十一番龍光寺(りゅうこうじ)、第四十二番仏木寺(ぶつもくじ)、第四十四番大宝寺(だいほうじ)、第五十一番石手寺(いしてじ)、第六十番横峰寺(よこみねじ)
【香川県】第七十一番弥谷寺(いやだにじ)、第七十四番甲山寺(こうやまじ)

土石流特別警戒区域を通る箇所

【高知県】土佐佐賀灘公園鯨道出口~第三十八番金剛福寺(こんごうふくじ)
【愛媛県】鴇田峠久万高原側、第六十番横峰寺湯浪(ゆなみ)休憩所
【香川県】五色台・石鎚神社付近、来栖(前山ダム奥)~譲波(ゆずりは)・女体山越え※後者はヤマタイムのコース外

終わりに

本コラムは、8月8日に発生した日向灘地震を受け、ハザードマップポータルの情報をもとに一遍路としての筆者が緊急にまとめた考察・解析である。用語についてはなるべくハザードマップサイトに準拠したが、一部歩き遍路を意識して表現したものもある。なお本コラムの内容は防災を保証するものではなく、また執筆時点での情報であるので、今後状況により変わる可能性もある点、ご了承いただきたい。

詳細な最新の情報について、以下に挙げる国や県による防災に関する情報サイトなどで確認の上、あらためてご自身で対策を考えてほしい。ほか各市町村でもハザードマップを公開しているので、気になる区間や霊場を確認するのがよいだろう。

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プロフィール

岸田 明(きしだ・あきら)

東京都生まれ。中学時代からワンゲルで自然に親しんできた。南アルプス南部専門家を自認し、今までに当山域に500日以上入山。著書に『ヤマケイアルペンガイド南アルプス』(共著・山と溪谷社)、『山と高原地図 塩見・赤石・聖岳』(共著・昭文社)のほか、雑誌『山と溪谷』に多数寄稿。ブログ『南アルプス南部調査人』を発信中。山渓オンラインに記事多数投稿。また最近は四国遍路の投稿が多い。

四国遍路の記事:https://www.yamakei-online.com/yama-ya/group.php?gid=143/

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