登山中にトラブルが発生した場合、まずは冷静に状況の確認を 島崎三歩の「山岳通信」 第355号

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長野県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。第355号では、登山中にトラブルが発生した後の行動について言及。冷静になって状況を確認して、救助要請の判断を行なうように促している。


8月22日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第355号では、期間中に起きた8件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 8月13日(火)、北アルプスの針ノ木岳で、2人パーティで入山した58歳の女性が、針ノ木峠から扇沢に向けて下山中に疲労により行動不能となった。

  • 8月13日(火)、生坂村の京ヶ倉で、3人パーティで入山した64歳の男性が、下山中にバランスを崩して滑落、負傷。助けようとした29歳男性も滑落、負傷した。

  • 8月14日(水)、北アルプスの爺ヶ岳で、2人パーティで入山した53歳の男性が、柏原新道を下山中に転倒、負傷した。

  • 8月16日(金)、八ヶ岳連峰のニュウで、単独で入山した64歳の女性が、ニュウから稲子湯に向けて下山中に道に迷い行動不能となった。

  • 8月16日(金)、北アルプスの白馬鑓ヶ岳で、3人パーティで入山した46歳の男性が、白馬鑓温泉に向けて登山中に滑落。技量不足により行動不能となった。

  • 8月16日(金)、北アルプスの前穂高岳で、単独で入山した34歳の男性が、前穂高岳北尾根を登山中になんらかの原因により滑落し、死亡した。

  • 8月17日(土)、中央アルプスの空木岳で、単独で入山した51歳の男性が池山尾根を下山中に転倒、負傷した。

  • 8月18日(日)、八ヶ岳連峰の蓼科山で、17人パーティで入山した75歳の男性が、蓼科山から下山中に転倒、負傷した。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

先週、長野県内では、8件の山岳遭難が発生しました。

京ヶ倉(長野県生坂村)で発生した山岳遭難は、3人パーティのうち1人が下山中に滑落したため、助けようとした同行者も滑落してしまい、2人とも負傷して救助されました。

登山中のトラブルに対しては、皆さんが身につけている知識や技術で解決できるかどうか(セルフレスキュー)を判断することが重要です。

例えば、登山道にいて、疲労(足のけいれん、軽度の熱中症など)であれば、

  • 休ませ、水分補給やエネルギー補給させる
  • 回復した→行動続行(登頂はせずに下山や付近の山小屋へ移動)
  • 回復しない→自力下山できないようであれば110番通報して救助要請

という対応が考えられます。

トラブルが発生した場合は、まずは落ち着いて状況をよく確認しましょう。状況を確認して、自分で解決できないと判断したら、110番通報し、焦らずに状況を説明しましょう。

通報できない圏外にいる場合は、付近の登山者に明確な「救助要請」を依頼してください。なお、通報する際は、警察署ではなく、110番通報をお願いします。110番通報は、通報者の位置情報が取得できる場合がありますので、一刻も早い救助活動につなげるために、まずは110番通報をお願いします。

登山中に発生するトラブルに1番早く対処できるのは、「自分自身」です。入山前に「もし○○になったら・・・」と想像し、必要な知識と技術を身につけ、装備を準備して、安全に山を楽しみましょう。

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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