日没時間が早まっている今、入山時刻を早めてリスクの回避を 島崎三歩の「山岳通信」 第356号

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長野県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。第356号では、浅間山で発生した日没に起因した道迷い遭難について言及。入山時刻、装備など、あらためて準備を万全にすることを促している。


8月29日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第356号では、期間中に起きた12件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 8月19日(月)、北アルプスの北穂高岳で、2人パーティで入山した77歳の男性が、涸沢から北穂高岳に向けて登山中に疲労により行動不能となった。

  • 8月19日(月)、浅間連峰のトーミの頭で、単独で入山した48歳の女性が、トーミの頭に向けて登山中に道に迷い行動不能となった。

  • 8月19日(月)、浅間連峰の浅間山で、2人パーティで入山した41歳の男性と29歳の男性が、浅間登山口に向けて下山中に道に迷い、行動不能となった。

  • 8月21日(水)、湯の丸山で、2人パーティで入山した76歳の女性が、烏帽子岳に向けて登山中に疲労により行動不能となった。

  • 8月21日(水)、北アルプスの槍ヶ岳で、単独で入山した70歳の男性が、北鎌尾根を槍ヶ岳に向けて登山中になんらかの原因で滑落、死亡した。

  • 8月22日(木)、北アルプスの燕山荘で、2人パーティで入山した75歳の男性が、燕山荘に宿泊中に疲労により行動不能となった。

  • 8月22日(木)、北アルプスの北穂高岳で、13人パーティで入山した73歳の女性が、北穂高岳から涸沢に向けて下山中に浮き石でバランスを崩して滑落、負傷した。

  • 8月22日(木)、北アルプスの北穂高岳で、13人パーティで入山した8歳の女性が、北穂高岳から涸沢に向けて下山中にバランスを崩して転倒、負傷した。

  • 8月23日(金)、北アルプスの不動岳で、単独で入山した58歳の男性が、不動岳から烏帽子岳に向けて縦走中に滑落、負傷した。

  • 8月23日(金)、北アルプスの奥穂高岳で、単独で入山した75歳の男性が、奥穂高岳から岳沢に向けて下山中に道に迷い行動不能となった。

  • 8月24日(土)、北アルプスの赤岩岳で、単独で入山した55歳の男性が、西岳から大天井岳に向けて登山中にバランスを崩して滑落、負傷した。

  • 8月24日(土)、南アルプスの鋸岳で、単独で入山した47歳の男性が、鋸岳に向けて登山中に足を滑らせて滑落、負傷した。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

先週(8月19日の週)、長野県内では、12件の山岳遭難が発生しました。

浅間山で発生した山岳遭難は、2人パーティで入山後、予定とは別のコースを下山中に沢へ迷い込み、日没近くの110番通報で、救助要請をしています。

  • ▼入山時刻⇒昼の12時頃と入山時刻が遅い⇒“早出早着が登山のキホン”です。
  • ▼装備⇒Aさん・・・雨具あり、ヘッドランプなし(日帰りでも必須装備です)。Bさん・・・雨具なし、ヘッドランプなし(雨で濡れると、夏でも低体温症の危険があります)

という状況でした。救助隊員が駆けつけた時、Bさんは雨で全身がひどく濡れていました。

これからの登山シーズンは、日の入り時刻が日に日に短くなっていきます。長野県の日の入り時刻を挙げると

⇒7月1日19時10分、⇒8月19日18時33分(遭難当日)、⇒9月1日18時16分、⇒10月1日17時31分、となります。

「日帰りだから・・・」と必要な装備を持たずに入山すると、「こんなはずでは・・・」と危険な状況に陥ってしまう場合もあります。必要な知識と技術を身につけ、しっかりと装備を準備して、安全に山を楽しみましょう! お願いします。

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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